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2022.4.15

「技術」で躍進 本学を 誇りに


瀬戸熊修理事長 祝辞
 新入生諸君、入学おめでとうございます。また、保護者の皆様にも心よりお喜びを申し上げます。まん延防止等重点措置は解除されたとはいえ、新型コロナウイルス禍がなお続いており、ご家族の皆様と一同に介して入学を祝うことができないことについて、心よりお詫び申し上げます。
 新型コロナウイルスが世界的に蔓延して2年が経ちました。日本でも2万8千人以上の方々が亡くなり、人的にも経済的にも大きな痛手を受けました。受験生だった新入生諸君も大変な思いをしながら勉学に励んだことでしょう。
 コロナ禍で多くの大学はキャンパスを閉鎖し、オンライン授業に切り替えました。そんな中、本学では「優秀な技術者や科学者を育成するには対面教育が最も重要である」との考えのもと、万全のコロナ対策を施した上で、他の大学に先駆けてキャンパスを開放し、対面授業や実験実習・研究活動を再開させました。
 また、「対面教育にはワクチン接種は必要不可欠だ」と判断し、昨年6月から学生や教職員らを対象に本学キャンパスで新型コロナワクチンの職域接種を実施しました。関係省庁とも迅速に折衝し、その対応についても入念に準備を進めたことが実り、千葉県内での職域接種としては異例の早さでワクチンが届き、1万1千余名に接種することができました。
 このような取り組みは教育界で注目されただけでなく、新聞やテレビなど多数のメディアで紹介されました。進学情報誌「大学通信」が昨年7月に全国の進学校2000校を対象に実施したアンケート調査では、本学は「コロナ対策が上手だった大学」として、他大学の追随を許さない高い評価で全国1位に選ばれました。
 学術面でも、さまざまな成果を上げました。昨年4月には、未来ロボット技術研究センター(fuRo)が開発した次世代モビリティー「カングーロ」が、イタリアで行われた世界最大級の国際デザインコンペ「Aダッシュ・デザインアワード」で最高賞となるプラチナ賞を受賞しました。
 11月9日には惑星探査研究センター(PERC)が開発に携わった超小型衛星「アスタリスク」が無事宇宙に打ち上げられました。今後3年から5年にわたり、宇宙の塵などを観測し、生命や惑星の起源を探ります。
 新しい試みにも次々に挑戦しています。デジタルトランスフォーメイション(DX)や暗号通貨など高度に複雑化したIT社会に対応するため、昨年11月に「変革センター」を設立しました。所長には、マサチューセッツ工科大学のメディア・ラボ所長などを務め、この分野の第一人者でもあり、世界的にも著名な伊藤穰一先生に就任していただきました。
 このほかにも、海底鉱物資源探査や、AI(人工知能)、ロケット工学など、本学の研究はさまざまな分野で大きな成果を上げています。
 そして、うれしいニュースがありました。皆様も俳優の舘ひろしさんをご存じだと思います。舘さんは昭和45年に本学工学部建築学科に入学され、卒業に必要な単位をほぼ取得しながら、俳優業が多忙となり、中退されました。本学は昨年3月、舘さんが社会で顕著な功績を上げていること等を鑑み、特別卒業認定しました。
 そんな舘ひろしさんの家族史がNHKの人気番組「ファミリーヒストリー」で放映され、本学在学中のエピソードも大きく取り上げられました。この番組は、全国で二千万人近い方が視聴されたそうです。
 このように本学への注目度は年々増しており、おかげさまで、今年の志願者の増加数は3万367人と2年連続で全国1位になりました。一般選抜志願者数も13万9千人を超え、有力な総合大学を押えて、昨年と同じく全国2位となりました。新入生諸君は、この狭き門をくぐって本学の学生となったことを誇りにしてほしいと思います。
将来像を描いて
 さて、本学の前身である興亜工業大学は1942年に旧制私立理工系大学として、東京都町田市にある玉川大学の地で産声をあげ、今年5月に創立80周年を迎えます。現存する私立理工系大学として、日本で最も古い歴史と伝統を有する大学です。
 興亜工業大学は、終戦前後の混乱に翻弄されながら創立された玉川大学の地を離れ、1946年に千葉工業大学に名称変更し、紆余曲折を経て旧陸軍鉄道第二連隊跡地であった津田沼キャンパスに拠点を構えました。現在は5学部17学科、5研究科14専攻を有し、学生数は1万人を超えています。OB・OGは9万人を超えました。
 新入生諸君にまず申しておきたいのは、理工系大学は文科系の大学と大きく違うということです。諸君がそれぞれの学部・学科で学んだ知識や技術が、将来の職業と直結するからです。それだけに自らの将来像をいかに思い描きながら研究課題に取り組んでいくか、その心構えがとても大切になります。
 コロナ禍により、医療のみならず、あらゆる科学技術が、日本、そして世界を危機から救うバックボーンであることが再認識されました。小さな島国にすぎない日本は、科学技術立国として幾多の苦難を乗り越えて国際社会での地位を築き上げてきました。そして将来も科学技術国家であり続けなければ、国際社会の激流の中で生き残っていくことはできません。
 「世界文化に技術で貢献する」これが本学の建学の精神です。新入生諸君はこの精神をしっかりと、胸に刻んでいただきたい。ロシアのウクライナ侵攻により、世界は混迷の度を増しています。この混迷から未来を見据え、大いなる国造りのためには、諸君がしっかりとした基礎学力を身につけ、日本のお家芸といわれてきた技術力をより一層磨きあげていくことであると確信しています。
ぜひ「好奇心」を
 高校までは、正解が一つの学び方をしてきました。大学では、いくつもの正解はありますが、日々社会や技術が変化する中で、どれがこの状況や環境で最適な答えで有るか、立証・考察する力を身につける場となります。
 大学での学びは「過去から学び、現在に生かし、未来に向けて夢や目標を持つ」ことであり、一番大切なことは、何も疑問を持たない好奇心の無い状態に陥らないことです。さまざまな分野での偉業を果たした先人の殆どが、好奇心が、謎や問題に果敢に挑戦する行動力となり、失敗を重ねながらも、成功への道につながる大きな原動力になったと語られています。入学した学科の専門性の範囲にとらわれず、一見関係ないかなと思う分野にも、ぜひ「好奇心」をもって目を向けてください。諸君の4年後の卒業研究が、これまでに無い全く新しい答えを導く技術を創造しているかもしれません。
 そして、新習志野キャンパスの図書館には「夢」という書を掲げています。興亜工業大学の創設に深く関わった玉川大学の創立者であり教育学者の小原國芳先生(1887〜1977)が揮毫した書です。実はこの「夢」という字は一画多く、「大きな夢を持ってほしい」「一つでも多くの夢を持ってほしい」という思いが込められているのです。
 一流の科学者・技術者にもっとも必要なのは「夢」です。夢があってこそ、真に社会に役立つ科学技術が生まれてくるからです。新入生諸君は、大きな夢を抱きつつ、ひたむきに研究・学術に勤しんでいただきたい。
 諸君の夢が実現するように教職員も全力でサポートしていきます。9万人を超えるOB・OGもきっと支援してくれることでしょう。保護者の皆様にはぜひ温かいご支援と励ましを賜りたいと思っております。諸君の夢がいずれ大きく花開くことを心より祈念し、私の祝辞と致します。

入学式スナップ


記念写真を撮り合う新入生たち 記念写真を撮り合う新入生たち
記念写真を撮り合う新入生たち
ガイダンス風景 右は先端材料工学科、左は未来ロボティクス学科 ガイダンス風景 右は先端材料工学科、左は未来ロボティクス学科
ガイダンス風景 右は先端材料工学科、左は未来ロボティクス学科