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2022.4.15

視覚障害に道案内システム


知能メディア3人チームが受賞
ちばぎんアイデア賞を受賞した(左から)飯高さん、金子さん、羽生田さん
ちばぎんアイデア賞を受賞した(左から)飯高さん、金子さん、羽生田さん
 地域経済の担い手となる学生たちに起業アイデアを募る「ちばぎん・はまぎん学生ビジコン2021」(千葉銀行・横浜銀行共催)は書類審査とプレゼンテーションで競われ、3月2日、オンラインで結果発表された。本学では知能メディア工学科・森信一郎研究室の金子大紀さん(3年)を代表に飯高正規さん(同)、羽生田浩貴さん(知能メディア工学専攻修士1年)の3人=学年は受賞時=で組んだ「ShinLab1」グループが、オペレーター補助技術を用いた視覚障害者支援サービスを提案し、ちばぎんアイデア賞を受賞した。
 視覚障害者の行動を、クラウド内のオペレーターが遠隔から寄り添い導くもの。利用者はスマートフォンのカメラから自身の正面映像、加速度・ジャイロセンサーなどを支援サーバーに送信。情報は支援サーバーを経て人オペレーターに届く。人オペレーターは、画面表示される利用者の前方の映像と位置情報が含まれた地図を見て歩行指示を入力。聞き分けやすい単音に変換され視覚障害者に通知される仕組み。
 現地で共に歩いて案内しなくてもよくなり、「安全性を高めればとても可能性のある技術」と評価された。ビジコンには84組が応募し、5組が各賞を受賞した。
 金子さんは「先輩方から受け継いできたテーマで受賞できて、少しホッとしています」。羽生田さんは「評価されて、うれしく思います」。飯高さんは「この経験を生かし、今後も励みたい」とコメントを寄せた。

塗膜防水の耐疲労性は…


呉さん若手優秀研究報告賞
 日本建築学会の2021年度(第92回)関東支部研究発表会は3月1、2日、オンラインで開催され、材料施工部門で呉阿龍さん(建築学専攻修士1年、石原沙織研究室=写真)が「コンクリート下地の補修方法がウレタン系塗膜防水の耐疲労性に及ぼす影響」を発表し、3月15日付で若手優秀研究報告賞を受賞した。
 呉さんは中国南岸・広州市からの留学生で、石原研で建物を長寿命化する仕上げ材料を研究中。
 マンションの屋上などは防水層を張り“押えコンクリート”を打設。その上にウレタンゴム系塗膜防水層を塗って保護する。この際、コンクリート下地に発生したひび割れの補修のやり方が、塗膜防水層の耐疲労性を損なうことがあるので、補修方法の影響を研究した。
 当時、学部4年生で仲間だった戸邉郁哉さん、大屋佑友さんと3人で研究したもので、呉さんは「心よりお礼を申し上げます。石原先生には多くのご指導をいただきました。受賞を励みに今後も努力していきます」と感想を寄せた。

“畑違い”動画コンで受賞


建築専攻・竹村さん
 (株)宣伝会議社の月刊誌「ブレーン」が広告界の活性化のため主催している第9回「Brain Online Video Award(BOVA)」動画コンテストで、竹村寿樹さん(建築学専攻修士2年、今村創平研究室=写真)が電通関西支店の周悠里さんと組んで制作した「30日間アカヌケチャレンジ」が、ポケットカード社の協賛企業賞に選出された。
 コンテストは、協賛企業から出された課題に、解決策(3分以内の動画)を寄せるもの。昨年10月からオンラインで募集され4月1日、ブレーン誌5月号で受賞作が発表された。
 竹村さんらは、クレジットカードを扱うポケットカード社が求めた“何気ない日常が実はクリエイティブであふれているのかもしれないと感じる動画”に挑戦。上京したての「ワタシ」が日々の一つ一つの買い物を少しだけ変えてみるうちに、人生が少しずつ楽しく素敵なものになっていく様を可愛らしいアニメとテンポよい映像で描いた。
 ポケットカード社から「明るく、心躍る動画で、メッセージをしっかり体現している」と評価された。
 電通の周さんは東京大建築学科出身で、竹村さんが学部3年の夏休みに中国・上海の建築設計事務所でインターンした際に知り合った。
 周さんが大阪勤務なので互いに完全オンラインで制作。方針を丁寧にすり合わせながら作品を作り上げていく過程は学ぶことが多かったという。
 竹村さんは「専攻とは異なる領域での受賞ですが、異分野への挑戦が結果として残り、うれしく思います」とコメントを寄せた。

NCSPで3人学生論文賞


中島さん内田さん町澤さん
 信号処理学会の国際会議NCSP(NCSP'22=2月28日、3月1日オンライン開催)で、中島樹咲果さん(受賞時は電気電子工学専攻修士1年、魏秀欽研究室)、内田東さん(同)、町澤改さん(同専攻今年度修士1年)の3人の論文がStudent Paper Awardを受賞した。ワイヤレス給電の手法や、電源回路の電力損失低減などに関するもので、英語で発表した。3人の発表内容と受賞の感想は次の通り。
●中島 樹咲果さん
「送電器、受電器、結合器の3つのサブシステムを1つのシステムとして考慮したΦ2級ワイヤレス給電システムの設計手法」
 電気をワイヤレスでスマートフォンや電動機器に供給する技術は研究が進み、将来は電気自動車への給電も期待されている。
 中島さんは高周波・高効率Φ2級共振型電力変換回路を適用したワイヤレス給電システムの設計開発に関して研究。提案手法を用いれば、高精度で高速に設計値を得ることができることを示した。チューニングプロセスを適用することなく、E級ゼロ電圧スイッチング/ゼロ電圧傾きスイッチング条件も達成できるという。
 設計する際、プログラムがうまく収束しなかったり、回路実験では明確な原因がつかめない失敗も多発。周りと相談しながら一つ一つ解決していったという。
 「魏先生や共同研究者、周りの方々の協力で受賞できました。今後も研究に励んでいきたいです」
●内田 東さん
「MOSFETの非線形寄生容量を考慮したEF2級発振器の設計」
 電源回路を小型にするためには、高周波化にしなければならないが、効率が低下してしまう。それを防ぐために、小型化と高効率化の両立を実現できるEF2級発振器の設計を検討した。
 更なる高周波化には、MOSFETの寄生容量を考慮した設計が重要になるため、MOSFETのゲート―ドレイン間とドレイン―ソース間の非線形寄生容量を考慮したEF2級発振器の設計を提案。シミュレーションと回路実験により提案の有効性を確認した。
 初めての国際学会で、資料もスピーチも英語。資料を作るだけで時間がかかって苦労したという。
 「初めての国際学会で受賞でき、大変うれしく思います。魏先生と研究室の皆さんのおかげです。今後も電力エネルギー回路分野の発展に貢献できるよう精進します」
●町澤 改さん
「eGaN FETを使った27.12メガヘルツE級インバーターの設計」
 魏研究室で追究する世界最高水準の超高周波スイッチング技術をベースに、窒化ガリウムの電界効果トランジスタを使い、電圧や周波数を変える超高周波高効率インバーターの設計を研究。具体的な回路を設計し回路実験した。
 1カ月以上、毎日実験し、試行錯誤を繰り返した。英語の発表と質疑応答が悩みの種だった。
 「初の学会発表が国際会議で、緊張しましたが受賞でき、魏先生にご指導と研究室の先輩方のおかげだと思っています」