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2022.4.15

未来開く2795人


令和4年度入学式
コロナ感染症対策のなか行われた令和4年度入学式=4月5日、幕張メッセで
コロナ感染症対策のなか行われた令和4年度入学式=4月5日、幕張メッセで
 令和4年度の千葉工業大学入学式が4月5日、幕張メッセ(千葉市美浜区)イベントホールで行われた。入学志願者が過去最高を大きく更新して全国2位となる約14万人となり、超狭き門を突破した学部生と、さらに専門分野の研究に挑戦する大学院生の合わせて2795人が出席。長引くコロナ禍中、困難を乗り越えて受験し合格した新入生たちが、晴れやかな気持ちで大学生活への一歩を踏み出せるよう、式場では感染対策を万全にして迎え入れた。
「技術で貢献へ研鑽」新入生宣誓
宣誓する新入生代表・佐々木彩音さん 歓迎の言葉を贈る在学生代表・瀧岡玲奈さん
宣誓する新入生代表・佐々木彩音さん 歓迎の言葉を贈る在学生代表・瀧岡玲奈さん
 今年度の新入生は工学部6学科843人、創造工学部3学科458人、先進工学部3学科405人、情報科学部2学科332人、社会システム科学部3学科329人と、大学院428人(修士課程5研究科418人、博士後期課程3研究科10人)の計2795人。
 入学式は午前10時半に開会し、保護者らにはYouTubeライブで式典の様子を配信した。松井孝典学長は式辞で「コロナ禍という困難な状況ですが、物事の本質を見極め、これまで身に付けた知識や技能を駆使して解決策を見出し、新たな未来をいかにして切り開いていくか。それは皆さんのような、若い世代に託されています。大学生活の中で「積極的に新たな『知の流れ』を生み出す過程に参画し、人類の発展に寄与していただきたい。今後の皆さんの、知へのチャレンジに大いに期待しています」と話した。
 瀬戸熊修理事長は祝辞で、「『世界文化に技術で貢献する』という本学の建学の精神をしっかりと胸に刻んでほしい」と述べ、混迷する世界情勢に負けず望ましい未来を実現するには、諸君がしっかりとした基礎学力を身に付け、日本の技術力をさらに磨き上げていくことが必要、と話したほか、「一流の科学者・技術者にもっとも必要なのは『夢』です。大きな夢を抱きつつ研究・学術に勤しんでください」とエールを送った。
 在学生を代表して瀧岡玲奈さん(建築学科4年)は、「千里の道も一歩から」と、ことわざを挙げ、「これから授業や課題で多くの学びがあると思います。その学びはきっと皆さんの夢を叶えるための一歩になるでしょう。まずは、今日出会う仲間から、授業やサークル、学校行事で出会う仲間まで、仲間の輪を広げていってみてください。きっと皆さんの夢の支えになり、仲間との絆は一生の宝になります。そんな宝物を千葉工業大学でたくさん手に入れて頂ければ幸いです。」と歓迎の言葉を贈った。
 これに応え、新入生を代表して佐々木彩音さん(経営情報科学科・岩手県・盛岡第二高出身)が宣誓。「いま私たちが行うべきことは、これからの4年間の学びで自分の可能性を高めたいという意欲を持ち、将来、必要とされる広い知識や技術を身に付け、困難に屈せず日々研鑽に励み、建学の精神である「世界文化に技術で貢献する」を実現できる人材になることだと思います」と決意を述べた。
「クリエイティブに」
心臓外科医がエール 80周年に
 入学式に続いて、medock総合健診クリニックの須磨久善院長=写真=による本学創立80周年の記念講演が行われた。須磨院長は「Creative Mind」(クリエイティブ・マインド)と題して講演、心臓外科医としての経験を踏まえ、「クリエイティブ・マインドとchallenge Spirit(チャレンジ・スピリット)の二つが私を支えてきた言葉です。この言葉をみなさんに贈りたい」と新入生らにエールを送った。
 須磨院長は世界的に著名な心臓外科医。1986年に世界に先駆け、心筋梗塞の患者に胃の動脈を使って冠動脈バイパス手術を成功させたほか、96年に心不全の拡張型心筋症の患者に対して、左心室の容積を縮小して機能回復を図る日本初のバチスタ手術を行った。以来、数多くの拡張型心筋症に対する左心室形成術を成功させている。
 講演ではまず、胃の動脈を使う冠動脈バイパス手術について解説。「86年当時は足の静脈を使って太さ2_の血管同士をつないでいたが、足の静脈だと10年で血管が詰まってしまう。その頃は米国留学中だったが、虎ノ門病院で何例も胃がんの手術をした経験から胃の動脈が硬化しにくいということが分かっていたので、足の静脈の代わりに胃の動脈を使うことを思いついた」と説明した。
 その上で「ゼロから1を生み出すことがクリエイティブ、1から数多く増やすことがプロダクティブ。両者は全く違う。これから君たちがやってほしいことはクリエイティブだ」と発想の重要性を強調した。
 また、須磨院長は「知識よりイマジネーションが大事」というアインシュタインの言葉を引用。AI(人工知能)による診断技術の向上やVR(仮想現実技術)による医療教育・患者への説明、ロボットによる精緻な手術などが現実化しつつある医療のパラダイム変化を例に「大事なことは己を知る、なすべき仕事を知る、時代の流れを知ること。そして、そのために好奇心を忘れないでほしい」と語り、講演を締めくくった。
OPEN CAMPUS 2022