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2019.12.15

未来文明、どう構想


朝日新聞社と共催 フォーラム 盛況
笑いを交えパネルディスカッション
笑いを交えパネルディスカッション
 惑星探査研究センター(PERC)の松井孝典所長が基調講演し、未来ロボット技術研究センター(fuRo)の古田貴之所長がパネリストとして登壇するフォーラム「未来の文明をどのように構想するのか」が12月8日、東京・六本木で開催された。受講者は当初400人が予定されていたが、インターネットでの募集に応募が殺到し、急きょ100席を増設する盛況ぶり。「千葉工大」のブランド力を示していた。
松井所長 古田所長
科学の心 説く
基調講演で松井所長
基調講演で松井所長
 このフォーラムは朝日新聞社が主催し、本学が共催。同新聞社が首都圏などの14大学・法人とのジョイントで9月から開催している連続フォーラムの一環だ。
 会は小宮一仁学長が「千葉工大は私立の工業大学では一番古く77年の歴史をもつが、常に未来と世界を見据えて新しい取り組みに挑戦している」と開会のあいさつ。
 続く第1部は松井所長の「文明はなぜ発展するのか?」と題した講演。
 松井所長は、138億年前にビッグバンによって宇宙が誕生し、物質が生まれ、「開放系」という構造と、環境が生まれ、加えて「時間の向き」が生まれた。宇宙という観点からは生物も非生物も全ての開放系が進化するという独自の理論を展開した上で、「文明」について次のように述べた。
 「ホモ・サピエンスは他のホモ属と道筋を分かって、地球上に生物圏とは別の『人間圏』を築いてきた。その生き方が『文明』であり、開放系であるから、文明も進化する。進化はこの宇宙の特徴であり、文明が停滞することはありえない」
 「文明は、知の世界の創造と技術革新を伴ってこれからも発展し続けるだろう。しかし、今の日本の高等教育政策は問題が多い。知を生み出し、普及させる大学が疲弊したら、日本国の未来はない」
ドキドキ感、立ち向かう情熱
 第2部は松井所長と古田所長にタレントの安めぐみさんが加わり、朝日新聞社教育総合本部の木之本敬介ディレクターが司会を務めるパネルディスカッション。
 まず古田所長が「技術革新」の具体例として、fuRoが開発した利用シーンに合わせて変形する「ILY-A」と、パートナーロボットから乗り物へと変形する「CanguRo」の2機の未来モビリティー、パナソニック(株)と共同開発したロボット掃除機をスクリーンに映しながら紹介すると、満員の会場から「ほぉ〜っ」と感嘆のため息が漏れた。
 そして、こうした先進的な技術開発に挑む研究者、技術者の意欲の根源は「ワクワク、ドキドキ感。世の中の皆さんを『おっ!』と思わせることが大切」と話すと、松井所長が「私の今後10年の研究テーマは『文明の起源』。研究者にとってはどんな困難でも『やる!』と立ち向かう情熱が一番重要」と応じる場面も。
 この後、話題は環境問題から「科学するココロ」を育む子育て、これからの技術革新に求められるデザイン科学のあり方など、多方面に及んだ。
 千葉工大の先進性と多面性を参加者にたっぷりと感じてもらえた3時間だった。
座席を増設する盛況となったフォーラム会場
座席を増設する盛況となったフォーラム会場

4年連続ランクイン


世界大学ランキング
本学 「国際性」が上昇
 英国の高等教育専門誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)」の「世界大学ランキング2019」が9月26日に発表され、本学のランクは昨年と同じ「1000+」だった。日本の大学は110校がランクインしたが、このうち医学系の学部を持たない私立大は22校=下表=だった。
 本学は2016年から連続ランクインしているが、「産業界からの収入」(受託研究費や奨学寄付金)が今回ランクインした世界1397校中730位と、強みを維持。また海外の一流大学との提携・交流を積極的に進めてきた点が評価され「国際性」ランクも上昇した。一方、「研究の影響力」(論文の引用数)のスコアは低い順位だった。
 小宮一仁学長は「同じ順位帯に国内のライバル校や有名な大規模総合大の名が多くみられるので、順位は気にせず、独自に着々と上位を目指す施策を進めたい。特に英文の研究論文数が増加するよう、さまざまなバックアップを実施しているので、教員にはこれらを利用し、自身の研究成果を積極的にインパクトファクターの高い論文集に積極的に発表してほしい」と話している。