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2019.10.15

パナソニックと本学、連携加速


寄附講座 全15回を開講
 「パナソニック・千葉工業大学産学連携センター」設立から間もなく2年。本学とパナソニック(株)の連携が加速している。9月25日、全学部生対象の正規の授業として、同社の寄附講座「モノづくりとイノベーション」が開講した。
第2回・小川副社長語る
 寄附講座は来年1月22日までの全15回。小宮一仁学長も聴講した10月2日の第2回授業は、パナソニックの社内カンパニーで家電事業を担うアプライアンス社の小川理子副社長が登壇。「パナソニックが切り開く未来」と題して、昨年、創業100周年を迎えた同社のこれから100年の経営戦略を語った=写真上
 同副社長はアプライアンス社の技術担当兼技術本部長(CTO)を務め、世界的なジャズピアニストの顔も持つ。
 この中で小川氏は「ソサエティー5.0(超スマート社会)に向かって電機業界を取り巻く環境も劇的な変化に立ち向かっている」とした。
 そしてパナソニックは「くらし、世界をアップデートしていく」という津賀一宏社長の経営理念を掲げて、「製品の高機能・高性能化(アップグレード)を目指すのではなく、お客さまをよりよく理解し、理想のくらしに近づけていくためのモノづくり(アップデート)に徹する」と、パナソニックが全社を挙げて変革に取り組んでいることを強調した。
 パナソニック・千葉工大産学連携センターは昨年11月、パナソニック創業100周年記念フォーラムで、提携の成果第一弾の次世代ロボット掃除機(コンセプトモデル)を発表した。
 小川氏は、この開発が当初、旧来のパナソニックのやり方にとらわれがちでなかなか進まなかったが、センター長を兼務する古田貴之fuRo所長の「天才的な」リードで一気に進んだ裏話を披露。「今後は千葉工大とのオープンイノベーションによって、高度に知能化された白物家電のアジャイル開発を進めていく」と語った。
 9月25日の第1回授業は、古田所長が寄附講座全体のガイダンスを行った後、fuRoが開発したHallucⅡχやCanguRoなどのロボットを紹介した。
10月2日の第2回授業 9月25日のガイダンスで
10月2日の第2回授業 9月25日のガイダンスで
fuRoがHallucⅡχを紹介 CanguRoを試乗してみる
fuRoがHallucⅡχを紹介 CanguRoを試乗してみる

パナ社員、タウンキャンパスで研修


「デジタル応用」 未ロボ学生も参加
 パナソニックはfuRoと連携して9月4、5日、本学東京スカイツリータウンキャンパスで中堅エンジニアを対象にした社員研修「デジタル技術応用塾」のワークショップを開催。本学未来ロボティクス専攻の修士課程1年生5人と同学科3年生1人も参加した。
 「デジタル技術応用塾」は、パナソニック社内で人材の層が比較的薄いソフトウエア系技術者を育成するのが目的。さまざまな技術分野の垣根を越えて、上司の推薦を受けた20〜30歳代のエンジニア20人が参加している。6月25日の開講式から来年2月20日の成果発表会まで、約8カ月間の長期研修だ。
 この一連の研修に未ロボの学生が初めて開講式から特別参加。成果報告会まで社員とほぼ同じ研修を受ける。
 研修内容は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのさまざまなソフトとハードを統合して成り立つロボティクスの、柔軟でスピーディーな思考法とアジャイル開発の手法を身に着けることに主眼が置かれている。
 これによって、参加者一人一人に自己変革を促し、パナソニックの将来を担う「核」となるような存在に成長してほしいという願いが込められている。未ロボの学生には、参加者の自己変革の“促進剤”としての役割も期待されているようだ。
 東京スカイツリータウンキャンパスでのワークショップは、この研修の“メインイベント”。「徹底的にロボットをイジリ倒す」「不真面目なことをマジメにやろう」を合い言葉に、参加者は日常業務を離れたアイデア出しに挑戦していた。
 また、fuRoの古田貴之所長も特別講演し、「役に立つモノを……などと考えず、人にワオーッと言わせるものを、欲望のおもむくままにつくることが大切。自分でやってみたいことにチャレンジしようよ!」と激励していた。
応用塾で、自律ロボットがインスタ映えするスポットを選び自分で撮影する「インスタ映えロボット」を考えたグループ 庭を勝手に動き回り株の根っこまで始末する「自動芝刈り機」や「カブトムシ・クワガタを見分けて捕獲するロボット」を考えたグループ
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