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2019.10.15

玉川大と本学、連携協定


小原國芳氏ゆかりの両大学
玉川学園内の校地にあった興亜工業大学予科校舎の一部
玉川学園内の校地にあった興亜工業大学予科校舎の一部
 本学と玉川大学は9月26日、包括的連携協定を締結し、玉川学園・玉川大の小原芳明理事長・学長、本学の瀬戸熊修理事長、小宮一仁学長ら両大学の幹部が出席して、玉川学園本部(東京都町田市)で調印式を行った。
「新たな学際研究を期待」
調印式で(左から)小宮学長、瀬戸熊理事長、玉川大の小原理事長
調印式で(左から)小宮学長、瀬戸熊理事長、玉川大の小原理事長
 両大学の関係は、本学の前身の興亜工業大学が1942年5月、玉川学園内に設立されたことに始まる。この設立に尽力したのが玉川大をはじめとする玉川学園の創立者で、日本を代表する教育学者の小原國芳氏だった。
 小原氏が1921年に提唱した「全人教育」という当時、全く新しい教育理念の中には、国家を導く人材を育てるためには個性を尊重する教育が大切であるという考え方があり、両大学の建学の精神へと継承されている。
 この教育理念は、文部科学省が推し進めている大学改革における「教育の質的保証」と「次世代を担う人材育成」の原点そのものだ。
 玉川大は現在8学部17学科、学生数約7300人。玉川学園は約61万平方メートルの広大なキャンパスに幼稚部から小学・中学・高等部と大学・大学院までが集まる総合学園となっている。
 一方、興亜工業大は終戦前後の混乱の中で校舎を転々とし、千葉県君津郡に新天地を得た後、千葉工業大学に校名変更した。そして大学設置に必要な校地不足や財政難など数々の困難を乗り越えて発展し、現在5学部17学科、学生数約1万人。入学志願者数が4年連続で全国の大学のベスト10に入る大学に飛躍した。
 協定書調印式では、小原芳明理事長・学長が「今、世界の大学がSTEM(科学・技術・工学・数学)あるいはこれに芸術分野を加えたSTEAMに代表される学際研究を推し進めています。人文・社会科学系と芸術、そして農・工学分野の8学部をもつ玉川大学と、STEM教育のすべての分野で先端的な取り組みをしている千葉工大が手を組むことで、日本に新たな学際研究がスタートすることを期待しています」とあいさつ。
「70余年ぶり 故郷へ」 瀬戸熊理事長
 これに応えて瀬戸熊修理事長は、「私は今日、感無量です。というのも子どものころ、生まれ故郷の千葉県勝浦で小原國芳先生の肉声に接したことがあったのです」と、小原國芳氏と本学の森暁・第2代理事長の弟・清氏にまつわるエピソードを紹介した。
 森清氏は昭和27年から7期、衆議院議員を務めた。その森清氏の選挙演説会が勝浦で開かれ、小原氏が応援に駆けつけた。その時の小原氏の迫力満点の演説の光景が、今でも目に焼き付いているのだという。
 そして、「今日は家を飛び出した息子が、70余年ぶりに故郷に帰ったような気持ちです」と、この包括的連携協定に込めた思いを語った。
 また、小宮一仁学長は玉川学園内に開設された興亜工業大予科1期生の「松本さん」という人が「玉川で過ごした学生生活は本当に素晴らしかった」と書き残していることを披露。「千葉工大に関わる者にとって、玉川学園は“心の故郷”です。この協定を機に、両大学の関係をますます発展させていきたい」と決意を示した。
 今、新習志野キャンパスの図書館には小原氏が好んで書いた「夢」という字のタペストリーが掛かっている=写真。青少年に他より一つでも多くの夢を持ってほしいという願いを込めて、「タ」の部分が一画多く書かれている。
協定の連携事項
 ①教育研究、生涯学習、文化発展②学生の交流③教職員の交流④地域社会の発展⑤国内外の機関等との連携―に関すること。

「CanguRo」受賞候補に


英「ビーズリーデザイン賞」
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)が開発した、パートナーロボットから乗り物へと変形する次世代モビリティー「CanguRo(カングーロ)」=写真=が「ロンドン・デザイン・ミュージアム」が開催する「2019年ビーズリーデザイン賞」(Beazley Designs of the Year 2019)にノミネートされた。
 建築やファッション、グラフィック、デジタルなどあらゆる分野の産業デザインの中で、過去12カ月間に発表された最も革新的な作品を選ぶこの賞は世界的に権威を認められており、秋頃までに選考会が行われる。
 CanguRoは「トランスポート」部門にノミネートされ、米国のビジネス誌「フォーブス」9月10日号は受賞の最終候補作の1つに取り上げて、山中俊治東大教授と千葉工大の古田貴之fuRo所長の作品と紹介している。
 今回のノミネートに当たっては昨年12月〜2019年3月、CanguRoを企画展で展示したニューヨークの名門博物館「クーパー・ヒューイット・スミソニアン・デザイン・ミュージアム」のキュレーター、シンシア・スミス氏の推薦が大きな役割を果たした。
 CanguRoは来年2月9日までロンドン・デザイン・ミュージアムの企画展で展示されている。