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2019.3.15

個性ある違和感 食卓照明


味元さん 畠山さん 新人賞
 「感性を刺激するプロダクトアイデア」を求めたサンワカンパニーデザインアワード2018(1月25日、東京・南青山のサンワカンパニー東京ショールームで表彰式)で、デザイン科学科3年、畠山千東路さん、味元伶瑳さん(ともに倉斗綾子研究室)のコンビが提案した食卓照明「line」が新人賞として表彰された。
 作品は、棒状ライトを3〜5本並べて吊るすもので、スチール棒の先端のLEDライト(ガラス筒)の高さを5段階に変えることができる。コンセプトは「個性ある違和感」。
 食卓照明への好みは人それぞれだ。2人の作品は、照明にしては細く無機質な棒で、非日常的な感覚を刺激する。だが、使う人が感性に合わせて筒の高さを調節すると、光量の違う列が生まれ、親しみを感じさせる。1人ひとりの感性に寄り添い、日常にない違和感を感じさせる一方で、使う人の個性に変化できる。
 難しい募集テーマだったといい、2人は感性とは何なのか調べることから始め、どう刺激すればよいのかを考え、プロトタイプを作りながら検討を重ねたという。
 応募138作品中、新人賞は上位から4番目の、新鮮な発想の将来を期待される賞で、大学生の受賞は初めて。畠山さんは「会社の方に『売っていたらぜひ買いたい』と言ってもらえたことがとてもうれしかった」。味元さんは「提案物を学外の方に評価してもらうことは新鮮な感覚でした」と喜びを語った。
畠山さん(左)と味元さん。下は作品の説明図から
畠山さん(左)と味元さん。下は作品の説明図から

意匠コン応募や英語発表を支援


手嶋教授に関東工教賞
 機械電子創成工学科の手嶋吉法教授が研究室(機械サイエンス学科)で行っている「パテント&デザインパテントコンテストへの応募と国際会議での英語発表を研究室の全学生に経験させる取り組み」に対し、関東工学教育協会(略称・関東工教=龍野康次郎会長)は関東工学教育協会賞(奨励賞)を贈ることを決めた。昨年12月に決定、授賞式は5月の予定。
 手嶋研は4年生全員が毎年、文部科学省や特許庁が共催するパテントコンテストかデザインパテントコンテストに応募。4年生はその内容を、院生は各自の研究内容を筑波大主催の研究集会で、全員が英語で発表している。
 研究室の全メンバーは昨年4月から平日の昼休みに毎日、NHK製作の5分間番組「abcニュースシャワー」を教材に、発声しながら繰り返し視聴=写真。語句調べや直訳を持ち回りで担当し、毎日楽しみながらやっているという。これらの取り組みが受賞につながった。
 手嶋教授は「私自身は学部生の頃、英語で発表する機会など1度もなかった。しかし機会を与え、背中を押してあげると学生たちは意外とできる。受賞は学生たちの頑張りのお陰。ワールドワイドに活躍できる人材育成のため、今後も英語で発表する機会を与えていきたい」と語っている。
 関東工学教育協会は、戦後復興への寄与を目指し、昭和27年、米国工学教育協会を参考に設立。工学教育に関する援助、調査・研究、成果の普及・推進や産業界との連携・協力、研究集会の開催などを行っている。

山崎研4人 優秀論文発表賞


電気学会 年間1研究室で異例
(後列左から)高木さん、近藤さん、(前列)芝本さん、円内は成島さん
(後列左から)高木さん、近藤さん、(前列)芝本さん、円内は成島さん
 電気学会が35歳以下の若手研究者・技術者を対象に選ぶ2018年優秀論文発表賞に、山崎克巳研究室から4人が選ばれた。
 受賞したのは近藤涼太さん(電気電子情報工学専攻修士2年)、芝本勇希さん(同)、高木悠太郎さん(同1年)成島広樹さん(発表当時修士2年、現・日立オートモーティブシステムズ勤務)。同じ研究室の学生が年間の賞で4人も選ばれるのは異例。
 発表論文と受賞の感想は次の通り。
近藤 涼太さん
「焼結ネオジム磁石の形状と配向の最適化による集中巻IPMモータの特性改善に関する検討」(昨年8月30日、横浜国立大で開かれた電気学会産業応用部門大会で発表)
 最近のモーター技術の性能向上を図ったもの。集中巻IPMモーターで、焼結ネオジム磁石の形状と配向が自由に取れると想定し、磁石形状と配向を最適化。他の特性を大きく劣化させずに高速域の鉄損を低減させる形状と、逆に全領域でトルクを増加させる形状が得られた。また、dq軸間相互干渉を考慮しトルクを4成分に分解、特性変化の原因を考察した。
 「受賞できるとは思っていませんでした。研究成果が多くの人に認められたように感じ、非常にうれしかった」
芝本 勇希さん
「自動車用クローポールオルタネータの機内磁束分析に基づく出力向上に関する検討」(昨年1月24日、早稲田大で開かれた電気学会静止器・回転機合同研究会で発表)
 自動車用の発電機・クローポールオルタネータの高出力化が求められている。そこで3次元電磁界解析を用いて磁路分析。そこから出力向上を目的とした新しい回転子形状を提案した。従来機と比べ効果を確認し、さらに提案機の出力増加メカニズムを解明した。
 「研究室での目標の1つがこの賞だったので、とてもうれしい。山崎先生と研究室の皆さん、共同研究先シグマ&ハーツ社に感謝します」
成島 広樹さん
「集中巻IPMモータにおける永久磁石形状・配向最適化に関する検討」(同)
 ハイブリッド車用モーターの磁石形状と配向が自由に変更できると仮定し、自動形状の最適化と端部漏れインダクタンスを簡単・高精度に算出する方法を提案。実際の現象と解析との乖離が小さい最適化を目指した。
 「なかなか結果が出ない研究で、苦労が多かった反面、受賞することができて大変うれしく思っております」
高木悠太郎さん
「キャリア高調波によるマイナーヒステリシスループを考慮した埋込磁石同期電動機の鉄損算定に関する検討」(昨年3月14日、九州大で開かれた電気学会全国大会で発表)
 ローター内部に永久磁石を埋め込んだ埋込磁石同期電動機は、電気自動車やエアコンで高効率化が期待されているが、高速回転での鉄損の計算が十分とはいえなかった。そこでマイナー・ヒステリシスループ(材料固有の磁束曲線の一種)を考慮した解析を行い、従来よりも高精度な電磁界解析を行った。
 「賞を頂き大変光栄です。現在は院生で就活中ですが、これも生かして頑張ろうと思います」

体育教育・研究に活躍


金田准教授に大体連の賞
金田准教授
金田准教授
 大学教育での体育を研究調査している全国大学体育連合(大体連)は3月1日、本学の金田晃一・先進工学部教育センター准教授に平成30年度大学体育研修精励賞を贈った。40歳未満に贈る賞で、第10回大学体育指導者養成研修会(日本大理工学部で開催)で表彰した。
 金田准教授は体育指導に5年以上携わり、大体連の全国研修会や指導者養成研修会で積極的に活動する一方、応用生体力学的に「水中動作」を研究し、国際会議では銀メダルを獲得している。
 金田准教授は「大学でスポーツ科目の教鞭を執る者として、全国の大学の動向を知り最新の指導法を研究・研修していくことは、学生に有意義に働くと信じています。今後も時代に応じて、現状に満足しないよう精進していきたいと考えています」とコメントした。