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2019.2.15

AFMで加工原理を追究


木村さん 優秀講演賞
 砥粒加工学会の2018年度学術講演会(昨年8月末、金沢市の金沢大・角間キャンパスで開催)で、木村賢之心さん(機械サイエンス専攻修士2年、松井伸介研究室=写真)が松井教授と連名で発表した「AFMによる光ファイバ端面のナノ・マイクロ加工 第7報―シリカ、セリア、ジルコニア触針による加工の検討―」が、10月25日の審査委員会で優秀講演賞に決まった。
 松井教授の研究室では、試料表面を原子レベルで観察できるAFM(Atomic Force Microscope=原子間力顕微鏡)によるナノ加工を使い、加工技術の原理を追究している。
 木村さんは、AFM触針を砥粒(対象を削り磨くナノスケールの切れ刃)に見立て、触針材質にシリカ、セリア、ジルコニアなどを使って石英製の光ファイバー端面にナノ・マイクロスクラッチ加工を試みた。
 光ファイバー端面の反射減衰量で加工ダメージの深さを測り、触針先端の摩耗量を算出、スクラッチ加工量と比較し、研磨加工のメカニズムに迫った。
 多くの条件下で実験したので、データを並べただけでは分かりづらく、発表の仕方に苦心したという。
 木村さんは「普段の研究の成果が評価され、大変光栄に思います。指導の松井教授や、助言を頂いた先輩方、友人たちに感謝します」と述べた。

親しみやすい学会誌表紙


濱田さん 再び最優秀賞
 日本設計工学会の2019年会誌・表紙デザインコンテストで、濱田有希さん(未来ロボティクス専攻1年、太田祐介研究室=写真上)の作品が審査10件中の最優秀賞に選ばれた。会誌は毎月発行で、作品は1年間使われ、早速、1月号「ロボット 陸・海・空・未来」特集の表紙を飾った=写真下。濱田さんは17年にも同賞を受賞しており2回目。
 今年の表紙は、ものづくりの設計から製作までの流れを、日本設計工学会(Japan Society for Design Engineering)の略称JSDEの文字順に並べ、J 作りたいものを構想する→S 製図台で図面を描く→D フライス盤で加工する→E 完成、と研究室の活動風景を表現した。
 所属する太田研には、個々の研究机に加えて、工作機械が置かれた加工スペースがあり、研究室1部屋でものづくりが完結する様子から、今回のイラストを思いついたという。
 例年、CADでデザインした表紙が多かったが濱田さんは、より親しんでもらえるようiPadに指で描き、輪郭を適度に揺らして堅苦しさをなくした。フライス盤の角度や部屋の奥行きなど、全体のバランスがとれるよう苦心したという。
 濱田さんは「1月号は内容もとっつきやすく、学会誌を読んだことのない学生にも読みやすいと思うので、ぜひ読んでいただきたいです」と語っている。

レスキュー分野への貢献で


藤井准教授に「竸基弘賞」
 NPO法人・国際レスキューシステム研究機構(IRS)が顕彰する2018年度(第14回)竸基弘賞学術業績賞に、藤井浩光・未来ロボティクス学科准教授=写真=が選ばれ、1月11日、ふたば学舎(神戸市長田区)で授賞式があった。「インフラ自動点検のためのロボット診断システムの研究開発」に対してで、次世代防災技術・レスキューシステムの研究開発に功績があったとしている。
 藤井准教授は、社会インフラの点検をロボットで自動化する研究に取り組み①打音など音響信号を主とするマルチモーダル情報を用いた構造物の自動診断システム②ロボット遠隔操作のための映像提示法――を構築した。
 ①では、集団学習を用いた診断器の生成アルゴリズムを独自に構築し、診断器の自動校正、構造物の劣化状態の推定、ひび割れの侵入方向の推定などの課題を解決。②では、例えば過酷な点検現場で遠隔操作ロボットを支援するため、映像遮蔽領域を透視可能な半隠消映像提示システムなどを提案。これらは災害対応ロボットの遠隔作業や無人建機による施工に適用可能としている。
 藤井准教授は東京大大学院工学系研究科特任講師から昨年4月、本学に着任。魚眼ステレオカメラから得られる全天周時系列画像を用いたオーロラの3次元計測技術や、ロボット遠隔操作のための映像提示技術、構造物の自動診断システムなどの開発で数々の受賞歴がある。
 藤井准教授は「素晴らしい賞を頂け光栄です。ご協力いただいた皆様に感謝するとともに、得られた知見・技術を発展させ、レスキュー分野および社会に貢献できるように努めていきたいと思います」とコメントした。
 IRSは、災害対応に先端技術を生かそうと、産官学民の研究者らが集まったNPO組織。竸基弘賞は、阪神淡路大震災で亡くなった神戸大大学院生・竸基弘さんをしのび、レスキューシステムの研究開発に貢献した若手研究者らを顕彰しようと2005年に開始された。

勝浦市とも連携協定


 本学は1月29日、勝浦市と包括的連携協定を締結した。千葉県内で同様の協定を締結した自治体は習志野市、浦安市、御宿町(以上2014年)、千葉市、香取市(同16年)、船橋市、市川市(同18年)に続いて8番目。本学が積極的に進めている「地域社会との共生」がさらに前進した。
 勝浦市とは、閉校となった小学校施設の再利用についてワークショップで提言したり、同市小学生を対象に小学校での星空観測会を開催したりして、関係を深めてきた。
 同市は人口減少時代に直面するさまざまな問題を解決するため、情報通信などテクノロジーの活用を挙げ、相互の連携強化に期待している。
 勝浦市役所で行われた締結式では、教育用のタブレット端末125台が寄贈され、猿田寿男市長は「児童生徒、教職員への導入はもちろん、プログラミング授業など情報教育に対し通信技術の活用が広がり、さまざまな面での連携を期待している」と話した。瀬戸熊理事長は同市出身で「今回の協定締結は心から喜ばしいこと」とあいさつ。2代目理事長の森暁氏も勝浦市出身だったことにも触れ、「本学の最先端の科学技術と学科がもつ知財を生かし、貢献・協力していきたい」と力強く応じた。
握手する瀬戸熊理事長(左)と猿田寿男勝浦市長
握手する瀬戸熊理事長(左)と猿田寿男勝浦市長

合格81%超、全国1位


知財技能検定で本学
 昨年11月に行われた国家試験「知的財産管理技能検定3級」で、本学の合格率は過去最高の81.6%に達し、合格者数全国1位となった。この好成績の背景には、近年の本学のブランド力上昇に伴う学生たちの学力や勉学意欲、行動力の向上があると分析されている。
 同検定3級の受検常連校には早稲田、東洋、近畿、日本、大阪工大などが名を連ねており、知的財産学部を設けている大学もある。また、高校・高専、専門学校生と一般人も受検するが、今回の平均合格率は約65%だった。
集中講座 実を結ぶ
 本学は同検定の受検希望者(大学院生を含む全学年)を対象に、11月の検定試験前の2カ月間、集中的な対策講座を実施している。外部の優秀な専門家を講師に招いて、2回のガイダンスと週1回180分(2コマ)の講義6回で構成され、受講料は大学負担。「必!合格」を合言葉にした手厚いプログラムが特長だ。
 この講座の外部講師からも「千葉工大の受講生の集中力には圧倒される」といった声が聞こえてくる。
 就職・進路支援部の福江聡部長は「前向きで行動力のある学生諸君がこぞって本学に入学してくれるようになったことが大きい。集中して勉強して国家資格を取ったという自信は、自らのスキルアップに直結する。意欲のある諸君は奮ってこの検定に挑戦してほしい」と話している。