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2018.7.15

母天体の素顔に迫る ふたご座 流星群


PERCと国立天文台・北大などのチーム
荒井主席研究員 小林上席研究員 石丸研究員
荒井主席研究員 小林上席研究員 石丸研究員
 毎年夜空に見られる3大流星群の一つ、ふたご座流星群について、その母天体である小惑星「フェートン(Phaethon、ファエトンとも呼ばれる)」を観測した本学惑星探査研究センター(PERC)・国立天文台・北海道大などの国際共同研究チームは6月末までに、天体表面の光の反射が、特定方向で強くなる性質(偏光)を調べたところ、他の太陽系天体に比べ、フェートンの偏光度が並外れて大きいことを発見した。
 これは表面粒子のサイズが大きいことを示唆している。室内の実験値と合わせ推定すると、表面物質の粒の直径は360マイクロメートル以上。月表面から持ち帰られた粒子(50マイクロメートル以下)と比べて非常に大きい。
 フェートンは太陽のごく近くを定期的に通過するので、太陽熱で表面粒子が焼き固められたのか、あるいは微細な粒が太陽光圧で吹き飛ばされたのが原因か。偏光度が大きいのは表面物質の隙間が非常に大きい、あるいは表面物質の反射率が予想以上に低いことなども考えられる。
 千葉工大は宇宙航空研究開発機構(JAXA)とフェートンに探査機を送る計画 DESTINY+(デスティニープラス)を進めており、2022年に探査機を打ち上げる予定。フェートンを間近から観測して、これらの謎の解明にあたる。
 チームはPERCの荒井朋子主席研究員、小林正規上席研究員、石丸亮研究員と、国立天文台、北海道大、さらにソウル大の研究者も含めた12人。16年9〜11月に北海道名寄市に設置した北大の1.6メートルピリカ望遠鏡で偏光を観測し、解析を進めていた。
 フェートンは1983年に米欧共同の赤外線天文衛星(IRAS)が発見。直径約6キロと、最大級の地球接近小惑星で、ふたご座流星群のもとになる塵やガスを放出した天体であることは分かっているが、彗星のように活発な塵の放出はなく、太陽に最も近づく時のみ塵を出している。
 フェートンのような彗星と小惑星の両方の性質を持つ小天体は近年次々に発見されており、その実態や起源を解明することは、太陽系小天体の古典的概念を見直す手がかりを与えてくれる。
 この成果は英オンライン科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(6月27日付)に掲載された。

PERC 宇宙研「連携拠点」に採択


惑星探査技術開発や人材育成へ
 本学惑星探査研究センター(PERC)が、日本の宇宙科学研究の核である宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所(ISAS=略称・宇宙研)の大学共同利用連携拠点に採択され、「千葉工業大学惑星探査研究センター惑星探査基盤技術開発・人材育成拠点」として平成30年度から本格活動を始めた。PERCが7月6日、公表した。
 連携拠点では「小天体・ダストの観測・測定機器の開発を主体的に実施する一連の枠組みを通して、太陽系科学探査を観測・観測装置の面から担う人材を継続して育成するサイクルを確立。このサイクルを通して、アストロバイオロジーの新展開も目指す」としている。
 具体的には、ダスト観測装置(カウンターとアナライザー)、天体表層撮像用観測カメラ、ダスト捕集機構などの機器開発とそれらを開発できる人材の育成を目指す。
 現在、JAXAと進める「深宇宙探査技術実証機 DESTINY+」計画でもこの枠組みを活用してミッションの詳細や搭載観測機器を検討していく。
 大学共同利用連携拠点は、文部科学省科学技術・学術審議会の答申に沿って、宇宙研が大学との双方向連携の強化を図るもの。4年をめどに活動し、終了後は大学が活動を継続する。

“先輩”の体験を聴く


工業系高校生が大学生と交流会
 千葉県下の工業高校の生徒が、工業高校から進学した現役大学生の体験などを聴く交流会が6月15日、津田沼2号館大教室を会場に開かれた。
 県工業系高大連携推進委員会と県高校教育研究会工業部会が年に一度開くもので、4回目の今回は6高校の生徒約50人が引率教員とともに参加。本学など8大学の学部生・大学院生17人から熱心に話を聴いた。
 人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)、ロボットなどの高度な技術が実用化され、社会にあふれるに従って、工業高校生の大学進学意欲も高まっている。半面、工業高校で学ぶ普通教科は普通科高校の6割程度で、受験と入学後の一般教養科目の履修には苦労も多い。
 工業高校から工科系大学に進んだ先輩たちは、そうした状況をどう乗り越えたか、高校と大学の勉強と研究の違いや大学生活の実際、卒業後の進路選択など、普段、高校内では聞く機会の少ない生の情報を、高校生と大学生が膝を交えて話し合うのがこの会の趣旨。
 本学からは大学院工学研究科電気電子情報工学専攻博士前期課程2年・中島瑞貴さん▽同機械サイエンス専攻博士前期課程2年・齋藤重徳さん▽工学部生命環境科学科4年・能勢春香さんの3人が参加した。
 高校生たちは交流会に先立って、未来ロボット技術研究センター(fuRo)のレスキューロボット「櫻弐號」、惑星探査研究センター(PERC)の国際宇宙センター(ISS)での流星観測プロジェクト「メテオ」運用室と、秒速9キロで弾丸を打ち出す「衝突銃」を見学した。
■参加高校
京葉工業▽千葉工業▽市川工業▽東総工業▽下総▽茂原樟陽
■参加大学
千葉科学▽東京情報▽日本工業▽日大生産工▽日大理工▽ものつくり▽明海
千葉工大生(左)の説明を聞く高校生たち
千葉工大生(左)の説明を聞く高校生たち

平成31年度 千葉工業大学入学試験日程


平成31年度 千葉工業大学入学試験日程
■31年度入試の変更点
 平成31年度入試の日程がこのほど右表のように決定した。昨年度同様、工学部6学科、創造工学部3学科、先進工学部3学科、情報科学部2学科、社会システム科学部3学科の全17学科で募集が行われる。
 前年度との変更点は、①センター利用入試(前期・中期)で外国語(英語)の外部資格・検定スコアの基準を変更②センター利用入試・一般入試において、試験日前日までウェブによる出願が可能となった。