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2018.6.15

荻野さん 藤原准教授 JR東日本特別賞


正しい運行情報 提供アイデアで
受賞した藤原准教授(左)と荻野さん(中央)
受賞した藤原准教授(左)と荻野さん(中央)
 社会にやさしい交通機関を実現しようと公共交通オープンデータ協議会(東京メトロやJR東日本など首都圏の交通事業者が加盟)が募集したアプリ開発コンテスト「東京公共交通オープンデータチャレンジ」のアイデア部門で、荻野綾貴さん(電気電子情報工学科4年、藤原明広研究室)が藤原・情報通信システム工学科准教授とともに応募した「公共交通オープンデータを用いたウェブ情報の自動検証システム」が東日本旅客鉄道特別賞に選ばれた。
 5月15日、東京都北区の東洋大・赤羽台キャンパスINIADホールで授賞式があった。
 公共性の高い情報を再利用可能な形で開発者に公開するオープンデータ化が世界で進んでいる。荻野さんらは、東京公共交通オープンデータが公開している鉄道のリアルタイム運行情報データを活用。Twitter上の関連するツイートに自動的にリツイートする形で、リアルタイムの正しい運行情報を提供するシステムを作った。
 「遅延」「混雑」「欠航」などのキーワードに該当するツイートや、構文解析ソフトで地理や路線に関する情報を抽出。偽情報が交じらないよう、公開データや関係情報のリツイートを繰り返して正しい運行情報を割り出し、提供する。
 荻野さんは受賞に「とても驚いています。2020年の東京五輪開催で、たくさんの人々が東京を訪れることが予想されるので、混乱が少しでも少なくなるように、アイデアを練りました」と語った。
 今回は開発が間に合わず、アルゴリズムを提案して特別賞5作品の中に入った。改善を続けて、次はアプリ部門に応募したいという。

ジムカーナ男子団体3位


自動車部 鈴鹿の全日本学生選手権出場へ
 舗装路でタイムを競い合う平成30年度全関東学生ジムカーナ選手権大会は5月13日、静岡県駿東郡小山町の富士スピードウェイ・ジムカーナコースに21校が参加して開かれ、本学体育会自動車部(主将・大井健司さん=機械工学科3年)のチームが男子団体で3位に入賞。全日本学生ジムカーナ選手権(8月18、19日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催)への出場を決めた。
 チームは倉田祐太郎さん(機械工学科3年)、チーム最年少の伊丹琉哉さん(同2年)、兼定吉登さん(機械サイエンス学科4年)=出走順=の3人。
 ジムカーナは、パイロンで指定されたコースを正確なテクニックで走り抜け、タイムを競う競技。
 本学車両は本番直前まで順調だったが、1走目・倉田さんが走り終えたところでブレーキが故障。しかし、パドックの部員が一丸となって応急修理し、短時間で出走に漕ぎ着けた。
 午後は大雨となり、コースに水が溜まってスピンする車両も増える中、千葉工大チームは落ち着いた走りを見せ、合計3分3秒の好タイムをたたき出した。1位は法政大、2位は中央大チームだった。
疾走する自動車部の車と(左から)兼定さん、伊丹さん、倉田さん 疾走する自動車部の車と(左から)兼定さん、伊丹さん、倉田さん
疾走する自動車部の車と(左から)兼定さん、伊丹さん、倉田さん

ロボ世界競技会で活躍


fuRo支援の中高生チーム
 米デトロイトで4月末に開催された高校生の国際的なロボット競技大会で、未来ロボット技術研究センター(fuRo)の富山健研究員らが支援した千葉県内の中・高校生チームが好成績を収め、「千葉工大のロボット教育」に改めて関係者の熱い視線が注がれている。
 このチームは東邦大付属東邦高校3年の中嶋花音さんをリーダーとして、県内の男女高校生を中心に中学生を加えた「サクラ・テンペスタ」=注参照
 4月25〜28日、世界から3647チームが参加して開かれた「ファースト・ロボティクス・コンペティション」(FRC)に初挑戦。最も印象に残る活躍をした新人チームに与えられる「Rookie Inspiration Award」を獲得した。
 FRCは世界的な話題を集めた“電動立ち乗り2輪車”―「セグウエイ」の開発者、ディーン・ケーメン氏らが創設した理数系(STEM)教育振興のための米NPO団体「青少年科学技術振興会」(FIRST)が開催する競技会。米国内および世界各地で行われる地区予選で受賞したチームが集まって年に1回、世界大会が開かれている。
 「サクラ・テンペスタ」は、高校1〜2年にかけての米国留学時にFRCに参加した中嶋さんが、その経験を生かして県内で仲間を募って結成。今年3月にホノルルで開かれたハワイ地区大会で、参加37チーム中10位と健闘して「Rookie All Star Award」を獲得し、日本チームとしては初めて世界大会出場を果たした。
 この「サクラ・テンペスタ」のメンバーに対して、富山研究員は未来ロボティクス専攻修士課程の瀬戸悠介さん(上田研究室)らの協力を得て、「ロボットとは何か?」を手始めに、プログラミングの基礎から実際のロボット製作まで、津田沼校舎内の自分の研究室などで指導や助言を重ねた。
 ちなみに今回のFRCで参加チームが挑んだのは「天秤に四角いブロックを載せる伸縮ロボットの製作」と、このロボットを使った「3チーム連携(アライアンス)による対抗戦」。ロボット製作期間は6週間だった。
富山研究員の話
 FRCではロボット製作だけでなく、資金づくりやチームの運営、社会貢献までが審査の対象で、これはまさしくプロジェクトマネジメントです。このようなチームを支援することは、千葉工大の教育力を示すという意味でも意義深いと思います。
富山研究員(左)のアドバイスを受ける参加者
富山研究員(左)のアドバイスを受ける参加者
≪注≫サクラ・テンペスタ
「テンペスタ」はイタリア語で「嵐」。「日本の女性が男性の多いロボット大会に嵐を呼び込む」という意味を込めたという。

浦氏、坂本氏に叙勲


浦 修一氏 坂本正夫氏
浦 修一氏 坂本正夫氏
 危険性の高い業務に長年従事した人に贈られる「危険業務従事者叙勲」が4月29日に発表され、千葉工大の浦修一氏(新習志野施設課・用務員)が瑞宝双光章を、坂本正夫氏(千種校地・警備員)が瑞宝単光章をそれぞれ受章した。

入江上席研究員 友納副所長
優秀講演賞


自律ロボットのSLAMを改良
友納副所長 入江上席研究員
友納副所長 入江上席研究員
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の友納正裕副所長と入江清上席研究員が第18回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(昨年12月20〜22日、仙台市の仙台国際センターで開催)で発表した「姿勢表現に回転ベクトルを用いた三次元グラフベース SLAM」が同部門の優秀講演賞に決まり、このほど賞状が届いた。
 SLAM(Simultane ously Localization and Mapping)は、ロボットが自律走行するため地図構築や自己位置推定をする際の数理的最適化手法で、車の自動運転やヒューマノイドの環境認識などにも欠かせない。2人は、従来知られた手法とは違う方法で解くことができることを示し、これを実装したソフトウェアを公開した。
 入江上席研究員は「受賞を大変うれしく思います。公開ソフトは友納正裕著「SLAM入門」(今年3月、オーム社から発売)でも使われており、さらに広く使われるようになることを願っています」とコメントした。