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2017.7.15

経情・金融4教授に論文賞
山口教授には特別賞


産学連携学会が授与
(左から)山崎教授、山口教授、藤本教授、越山教授
(左から)山崎教授、山口教授、藤本教授、越山教授

 本学経営情報科学科の山口佳和教授と藤本淳教授、金融・経営リスク科学科の山崎晃教授、越山健彦教授の4人が連名で産学連携学会の学会誌「産学連携学」に発表した論文「大学特許と影響要因の関係の定量的評価に関する研究」が同学会の2017年度論文賞を受賞。特に山口教授には、学会をリードした多数の論文掲載に対し、同学会から2017年度特別賞が贈られた。学会第15回大会(6月15、16日、宇都宮市の栃木県総合文化センターで開催)で報告された。
 4教授は社会システム科学の立場から産学連携の在り方を研究。今回論文は千葉工大を含む全国の92大学を対象に大学特許に関するデータ、大学の指標や活動に関するデータを収集、分析した。
 その結果、特許出願件数/教員数、特許保有件数/教員数、特許実施件数/教員数、特許実施収入/教員数を、5個、4個、2個、3個の説明変数で説明する重回帰式(重決定係数はそれぞれ76.9%、74.9%、44.1%、48.2%)が導き出された。説明変数の多くは、産学連携活動を表す変数が占めたが、一部に学生の状況、研究活動、大学のタイプを表す変数も選択された。
 大学特許を増やすには産学連携の促進が必要だが、併せて研究活動の強化と大学院の充実も重要であることなど、新しい知見が導き出されたことが評価された。

 山口教授は学会誌第1号から論文を継続投稿。第12巻第2号まで査読論文12報、研究ノート1報が掲載された。掲載論文などが10報を超えたのは山口教授だけで、「特に顕著な業績等を残し記録にとどめるべき者」として特別賞が贈られた。

吉川主任研究員 優勝


人工知能学会のモデリング・コンペ
 人工知能学会は全国大会(5月23〜26日、名古屋駅前の愛知県産業労働センター ウインクあいちで開催)に際し、2017年度データ解析コンペティション(JSAI Cup 2017)を同所で開催。本学人工知能・ソフトウェア技術研究センター(ステアラボ)の吉川友也主任研究員=写真=が確かなモデリング技術で優勝し、23日、全国大会報告会で表彰された。
 コンペは、参加者に気象データとJR東日本首都圏5路線の鉄道支障履歴データを提供。このデータから、別の5路線の各時刻の支障状況を予測するモデルの構築と精度を競わせた。
 大半の参加者が降水量、雷、風速からモデルを組む中で、吉川主任研究員は地震データも加えた精細モデルを構築。性能、アイデアともに最も優れていると評価された。
 モデリングを競うコンペは近年、盛んに催されるが、吉川主任研究員は初参加。日ごろの研究とは異なる知識や能力が必要と感じたという。
 優勝に「試行錯誤しながらも良い結果が得られたことはとてもうれしく思います。この経験を生かし、ステアラボ主催でコンペを開いたり、本学学生と一緒に参加チームを作っていけたらと思います」と語った。
 大会スポンサーには富士通、NEC、日本マイクロソフト、オーム、トヨタ自、NTTドコモなど、日本を代表する企業50社以上が参加。人工知能(AI)技術の将来を注視した。

豪の選抜高校生 研修


▼fuRoのロボットに歓声
 オーストラリア・クイーンズランド州の高校で日本語を学び、かつ理系科目でトップクラスの成績を修めている1年生15人が6月28日、東京スカイツリータウンキャンパスを訪れ、本学のロボット技術や人工知能、惑星探査の研究成果を見学。未来ロボット技術研究センター(fuRo)の富山健研究員と先川原正浩室長の話に耳を傾けた。
 一行は、東京都教育委員会とクイーンズランド教育省との間で昨年11月に締結された教育に関する覚書に基づいて企画された「東京体験スクール」に派遣するために、同州全土の高校から選抜された女子生徒12人、男子生徒3人と引率の女性教員3人=写真、後列左端に富山研究員と先川原室長。
 同州は女性の理系教育に特に力を入れており、またオーストラリア国内で最も日本語熱が高いことで知られている。
 「東京ではSTEM(サイエンス・テクノロジー・エンジニアリング・マスマティックス)分野に特化した研修をしたい。特に6月28日はロボティクス関連施設で」という同州側の希望に沿って本学が選ばれた。
 富山研究員は「ロボット工学と数学」と題して、ロボットの動きは微分と積分の一つの数式に帰結することを英語で授業。未来ロボティクス学科1年生の授業をやや優しくした程度の内容に、高校生たちは眼を輝かせて聞き入っていた。
 先川原室長は「HallucⅡ」や「core」、「ILY-A」、「櫻壱號」などfuRoの技術の粋を集めたロボットたちをパワーポイントを使って紹介。HallucⅡのユーモラスな動きなどに、高校生たちは大きな歓声を上げていた。
 同行した同州政府駐日事務所の係官は、本学の対応に「皆、大喜びで感謝しています。これからも第2回、第3回とこのスクールを実施する予定なので、千葉工大にもよろしくお願いしたい」と話していた。

山崎教授 ポスター賞1位


米電気電子学会の国際会議でオルタネーター高出力化発表
国際会議の山崎教授(左から2人目)
国際会議の山崎教授(左から2人目)
 電気電子工学で世界最大の学会・米国電気電子学会(IEEE)の「電気機器とドライブに関する国際会議」(IEMDC=5月21〜25日、フロリダ州マイアミ市で開催)で、本学電気電子工学科の山崎克巳教授が、自動車用オルタネーター(発電機)の高出力化に関する研究を、自動車部品製造のシグマ&ハーツ社(タイ)と連名でポスター発表し、優秀ポスター論文発表賞1位を獲得した。
 シグマ&ハーツ社の額素明会長は本学OB。その縁で山崎教授と共同研究している。今回は新構造のオルタネーターを山崎教授のアイデアに基づいて同社で試作。重量を軽減し出力も増加することが確認された。
 オルタネーターはほぼ全ての自動車に搭載されており、装置の小型高出力化は至上命題。このため山崎教授らのポスターは高い関心を呼び、欧州でオルタネーターを生産している仏ヴァレオ社の技術者など多数の研究者から質問を受けたという。
 覆面審査員10人が300件近い発表を審査した結果、山崎教授らの1位が決まった。
 山崎教授は「会議の終わりに『1位から3位までを表彰する』と発表があり、何と1位として私たちのポスター発表が呼ばれた。非常に光栄で名誉なこと」とコメントを寄せた。
 IEMDCは1997年以来、米国で2年に1度開催。山崎教授は第1回大会以来毎回参加している。

藤田教授に貢献賞


情報処理学会で長年 論文査読活動
 情報処理学会(富田達夫代表=当時)は6月2日、東京都千代田区の学士会館で、論文誌の査読に貢献したとして本学情報工学科の藤田茂教授=写真=に2016年度学会活動貢献賞を贈った。
 情報処理学会(1960年設立)は会員数1万8千人。コンピューターとコミュニケーションを中心とした情報処理に関する学術・技術の発展を目的としている。
 藤田教授は学会で多数の査読を担当。2008年6月〜09年5月に学会論文誌の知能グループ主査、10年12月〜11年11月には「分散処理とネットワークサービス」特集号幹事を担当し、査読を取りまとめた。
 藤田教授は「学術団体の活動は、無報酬を基本に互いの研究を支援するもの。論文誌査読は、投稿論文を新規性、有用性などの観点から評価・判定する重要作業ですが、外部からは見えにくいものです。今回、10年以上にわたる査読を評価していただき、大変感謝しています」。また、「査読活動は、どのように論文を書けばよいかという有益な経験になり、学生・院生の研究、教育に間接的に反映しています」と語った。