NEWS CIT ニュースシーアイティ

2015.11.15

国際会議でダブル受賞


▼小澤研の西村さん、工藤さんポスター賞
西村さんと毛利衛宇宙飛行士(授賞式で) 工藤さんと毛利衛宇宙飛行士(授賞式で)
西村さんと毛利衛宇宙飛行士(授賞式で) 工藤さんと毛利衛宇宙飛行士(授賞式で)
 宇宙空間など微小重力環境下での科学を議論する「第6回国際宇宙物理科学シンポジウム(ISPS‐6)」=日本マイクログラビティ応用学会主催=は9月14〜18日、京都市上京区の同志社大室町キャンパスで開かれ、小澤俊平・機械サイエンス学科准教授の研究室の大学院生2人がポスター発表でBrilliant Poster Award(ポスター賞)をダブル受賞した。
 2人はともに機械サイエンス専攻修士1年で、▽西村大さん=「電磁浮遊法による酸素活量を考慮した銀および銅融体の表面張力」を発表▽工藤裕さん=「レーザー加熱を併用した電磁浮遊法によるチタン融体の表面張力測定」を発表。
 小澤研究室では金属材料などを、微小重力環境下で容器を使わず浮遊させて溶融・凝固させ、新材料を生み出すなどの研究をしている。
 鋳造や結晶成長、溶接など高温融体プロセスを最適化するには、表面形状や表面張力差対流の影響測定が重要だ。測定は高温下で行わなければならず、測定器具から出るわずかな不純物にも大きく影響されるため、測定自体が非常に難しい。
 西村さんは、金属を空中浮揚できる電磁浮遊技術を使って、サンプルが測定器具から汚染されることを完全に抑制して、ろう付プロセスで求められている銅や銀の正確な表面張力測定を行った。
 工藤さんは、この方法にレーザー加熱を組み合わせ、従来は溶融すら困難だったチタンについて、絶対温度2300Kの高温までの表面張力測定に成功した。
 西村さんはポスター構成について、何度も小澤准教授と相談し完成度を高めた。「受賞できて、とてもうれしい。慣れない英語の発表に戸惑いましたが、なんとかやり遂げました。今後は口頭発表にも挑戦していきたい」
 一方、工藤さんも「英語のポスター作りは、日本語に比べ文字数が多くなってしまい、レイアウトに苦戦しました」と語り、「英語が不安でしたが、賞を頂けてすごくうれしい。半面、英語力のなさを身にしみて感じたので精進したい」と語った。
 ISPSは国際会議として、各国の宇宙機関が主催し合っている。
毛利宇宙飛行士に説明する西村さん
毛利宇宙飛行士に説明する西村さん

向日市ロゴで優秀賞


▼デザイン科学科の滝口さん
優秀賞に選ばれたロゴマークと滝口さん 優秀賞に選ばれたロゴマークと滝口さん
優秀賞に選ばれたロゴマークと滝口さん
 デザイン科学科3年の滝口亜美さんが、京都府向日市が募集した「向日市歴まちPRロゴマーク」に応募した作品が、優秀賞に決まった。応募作は189点あり、このうち最優秀賞が1点、優秀賞には4点が選ばれた。10月10日、向日市民会館ホールで表彰式があった。
 向日市は平安京の前の長岡京(784〜794年)の地として有名で、大極殿跡が残る。滝口さんは大極殿のシルエットをメインに、発達していた用水路と碁盤の目状の道路を描き、竹林が多いことから笹をあしらった。
 「向日市には行ったことがなく、市の魅力や長岡宮など、とにかくたくさん調べました」。ロゴに、あまりごちゃごちゃと入れすぎないよう、必要な情報を選んだという。
 滝口さんは「賞をいただけ、とてもうれしい。向日市について多くを知る機会にもなり、よい経験になりました。千葉県から表彰式に来たことで向日市民からうれしい言葉をたくさんいただきました」と語った。

ロボット学会研究奨励賞も


▼入江主任研究員 ロボット自己位置推定で
入江主任研究員
入江主任研究員
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の入江清主任研究員が昨年9月、第32回日本ロボット学会学術講演会(福岡市・九州産業大)で発表した、移動ロボットの自己位置推定方法についての研究が、研究奨励賞に決まった。今年9月4日、同学会の第33回学術講演会(東京都足立区・東京電機大)で表彰された。
 発表論文は「初めて訪れる場所における2次元市街地図を用いた自己位置推定」。
 入江主任研究員は、Google Mapのような既存の市街地図を用いて移動ロボットの自己位置推定を行う研究を進めている。事前情報や物体認識を用いず直接、自己位置推定を可能にする方法で、発表では、統計的依存性を最大化するという新しいアプローチを提案した。
 今年3月の第20回ロボティクスシンポジアでも、この方法を拡充した成果で、友納正裕副所長とともに優秀論文賞を受賞している。
 入江主任研究員は「受賞は大変うれしい。今後さらに研究を進め、本当に使われる技術になるよう頑張りたい」と語っている。

富井教授に優秀著作賞


▼「都市鉄道直通運転のダイヤを考える」
富井教授
富井教授
 富井規雄・情報工学科教授が発表した「都市鉄道直通運転のダイヤを考える」(電気車研究会『鉄道ピクトリアル』2014年6月号掲載)が、鉄道友の会の2015年・島秀雄記念優秀著作賞(定期刊行物部門)に決まった。授賞式は10月4日、東京・九段北のアルカディア市ヶ谷私学会館で行われた。
 富井教授はコンピューターを駆使した鉄道システム工学のスペシャリスト。
 賞の選考委員会によると、受賞作は、鉄道輸送サービスでも特に重要な「運転整理」について身近な実例を引きながら紹介している。必要な図表はカラーで分かりやすく解説。旅客サービス向上へ、専門家としての提案も盛り込まれており、優れた著作だとしている。
 富井教授はこれまでにも『鉄道ダイヤのつくりかた』(オーム社/2012)などの専門書や一般書を出版している。
 島秀雄は、旧国鉄でD51形機関車を設計。後に十河信二国鉄総裁(当時)のもと、技師長として純国産技術で新幹線を完成させ「新幹線の生みの親」と呼ばれた人物。元宇宙開発事業団(現JAXA)の初代理事長も務めた。
 島記念賞は2008年以来、前年発行された鉄道関係の著作物から、単行本、定期刊行物、特別部門の3部門で優秀著作賞を選定している。

福嶋助教に奨励賞


▼戦後の教育理念形成を研究
福嶋助教
福嶋助教
 工学部教育センター社会教室の福嶋尚子助教が日本教育行政学会の年報に投稿した論文が、研究奨励賞を受賞した。10月10日、名古屋大東山キャンパス(名古屋市千種区)で開かれた学会第50回記念大会で表彰された。
 論文は「IFELにおける学校評価論の分析―農業高校に関する基準政策の展開に着目して―」。
 福嶋助教は戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が進めた教育改革で、学校評価理論を導入しようとしたGHQと文部省との間でどんな共通点や違いがあったかを、当時の米民間情報教育局(CIE)の内部文書などから研究。教育指導者講習(IFEL)で日本で初めて学校評価の基準と手続きが形成された経緯と、その内容の特徴を分析した。昨年10月、学会年報に掲載され、審査の結果、特に優れた研究と評価された。
 福嶋助教は「私が初めて取り組んだ歴史研究を多くの先生に読んでいただき、評価されたことを光栄に思っています。今後も研究を進め、研究の面白さを学生に伝えていきたい」と語った。
 日本教育行政学会は、教育行政・政策・制度学系では国内最大の学会で会員は約570人。