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2015.9.15

本学チーム世界連覇


ロボカップ2015 キッドサイズサッカー+テクニカル
2年連続で世界王座に輝いた未ロボ・チームとCIT Brainsロボット
2年連続で世界王座に輝いた未ロボ・チームとCIT Brainsロボット
 未来ロボティクス学科のチーム「CIT Brains」が2年連続の世界王座に輝いた。7月17日から23日まで中国・安徽省の省都、合肥市で開かれた「ロボカップ世界大会2015」のヒューマノイドリーグ・キッドサイズ部門で、「CIT Brains」はサッカーゲームとテクニカルチャレンジを昨年に続いて制覇。初出場のアダルトサイズ部門でもそれぞれ4位と2位に入り、「CIT」の名を世界にとどろかせた。
ルール変更 克服し
 サッカーヒューマノイドリーグは2015年に大きなルール改正を行った。一つはボール変更。人間が使うような、白に色の混じったボールを使うことになった。二つ目はフィールド変更。カーペットから人工芝となった。「CIT Brains」はこの変更に対応し今年5月の国内戦「ロボカップジャパンオープン2015福井」でもサッカーとテクニカルチャレンジを制覇。勢いに乗っての出場だったが、世界大会にはさらなる困難が待ち受けていた。
 最大の障害はボール認識。福井大会では白・黒・青・緑・オレンジなどの多色ボールが使われたが、中国大会では白と灰色のボールが採用された。このため「CIT Brains」が福井大会で成功したカラーヒストグラム技術ではボールを認識できず、認識システムをゼロから作り直さざるを得なかった。
 そこでチームが開発したのが、ボールを形で判断する「テンプレートマッチング」技術。世界大会まで1カ月を切る綱渡りの開発となった。
 また福井大会では会場の都合でフィールドはカーペットだったが世界大会ではルール通り人工芝が使われた。“毛足”が35ミリと予想以上に長く、出場チームを悩ませた。
 これらのルール改定のためキッドサイズ部門は予定24チームのうち8チームが出場を棄権。その結果、16チームが一次予選・二次予選を戦い、ベスト8がトーナメント方式で優勝を争った。
 「CIT Brains」は予選を順調に勝ち進み、準々決勝ではオーストラリアの「NUbots」を2対0、準決勝ではインドネシアの「EROS」を1対0で破り、決勝戦は中国の強豪、浙江大の「ZJU Dancer」との対戦。
 2013年オランダ大会では3位決定戦で「CIT Brains」が敗れ、今年の福井大会で総当たり戦の勝敗差で雪辱した因縁の対決。ゲームは0対0のまま延長戦に入り、1対0で「CIT Brains」が辛勝した。
 ちなみに昨年からここまで「CIT Brains」は世界大会で無敗、今年に入ってからは無失点を続けている。
 また、テクニカルチャレンジは1ハイキック2プッシュ・リカバリー3ジャンプ4ゴールキック・ウイズ・ムービングボールの4種目で争われた。1を除く3種目は今大会初採用。ゴール前のバーを越えてシュートする1と、坂を転がってくるボールを狙ってシュートする4ができたのは、参加7チーム中「CIT Brains」だけだった。
初出場アダルトも 4、2位
 「CIT Brains」にとって今回が初参加となったアダルトサイズは、6チームがサッカーとテクニカルチャレンジを行った。
 成績はサッカー4位、テクニカルチャレンジ2位。ここでも「CIT Brains」の技術力の高さを示した。
 サッカーで優勝した「Team THOR win」は米国のUCLA(カリフォルニア大ロサンゼルス校)とペンシルベニア大の合同チーム。同チームが開発した身長150センチ、体重50キロのロボットと、「CIT Brains」のキッドサイズロボット(60センチ/4キロ)が、大会の全参加チームの代表者による投票で選ばれる「ルイ・ヴィトン・ヒューマノイドカップ」を争った。投票数は同票となり、理事会審査で「Team THOR win」が勝利したが、「CIT Brains」は2年連続でのトップ評価を得た。
■2017年は名古屋で
 今世界大会期間中に2017年のロボカップ世界大会を名古屋で開催することが決まった。名古屋は《2050年までにサッカーW杯のチャンピオンに勝つ自律型のヒューマノイドロボットを作る》という目標を掲げて、1997年に最初のロボカップ世界大会が開かれた発祥の地。名古屋では屋外フィールドで試合することも決まった。
 そこでは、より人間に近いサイズと機能をもったロボットによる競技が予想される。「連続世界王者」となった「CIT Brains」のさらなる開発力の向上が求められている。
■2年生が踏ん張った
 今年のロボカップ中国大会に出場した学生は、チームリーダーの未来ロボティクス学科の山本龍君以下4年生3人と2年生9人の計12人。
 今年5月の福井大会までは実戦経験のなかった2年生中心のチームが世界王座に就くことができた原動力は何か。
 「CIT Brains」を率いる林原靖男教授は「キャンパス内の練習フィールドで実戦形式の試合を数多くこなして、ロボットの問題点を1つ1つ解決してきた経験が生きたこと。1人1人の学生が自分の頭で考え、行動できるようになったことが大きい」と話している。
■CIT Brains世界大会出場メンバー
 伊藤裕介▽安藤雅幸▽山本龍(以上未ロボ4年)▽加瀬林千里▽鈴木裕加里▽スプラトマン・ジョシュア▽関遥太▽平田裕也▽平間翔大▽増田萌乃▽鈴木友崇▽菅野祐輝(以上2年)
 町浩輔(未ロボOB・佐川電子取締役CTO)
 林原靖男(同教授)▽南方英明(同准教授)
決勝戦の様子
決勝戦の様子

メキシコ大使 御宿に


▼本学研修センターなど視察
御宿町の本学研修センターでロペス駐日大使夫妻と瀬戸熊理事長
御宿町の本学研修センターでロペス駐日大使夫妻と瀬戸熊理事長
 メキシコのカルロス・フェルナンド・アルマダ・ロペス駐日大使夫妻が8月27日、千葉県御宿町を訪れ、本学の研修センターなどを視察した。
 江戸時代に御宿の村人が難破したメキシコ船の乗組員を助けた縁で、御宿町とメキシコは現在も密接な友好関係を保っている。その一環で町は昨年に続き今年もメキシコからの短期留学生を受け入れた。本学も留学生の研修センターでの宿泊や学生交流などで協力し、日墨友好に一役買っている。
 大使夫妻は石田義廣町長ら町関係者や本学の瀬戸熊修理事長らとともに乗組員たちが救助された田尻海岸やメキシコ記念塔などを見学した後、研修センターを訪れた。
 瀬戸熊理事長の案内でメキシコの学生たちが泊まった部屋や食堂、太平洋が一望できる大浴場などを見て回った大使は「こんなにすばらしい施設でお世話になったのですね」「素晴らしい環境だ」と、感激していた。