1面 |
世界戦 完全優勝
Kidsizeサッカー+テクニカル
最高の栄誉ルイ・ヴィトン杯を獲得した本学チーム |
Kidsizeサッカーで本学ロボット |
ブラジル東北部の緑したたる観光の街ジョアン・ペソアで、7月19日から25日まで開かれたロボカップ世界大会に、本学は学生リーダーの前川大輝君など12人を送り込んだ(下のチームメンバー参照)。このうち未来ロボティクス学科4年生の5人は昨年の大会出場経験者だ。
CIT Brainsは今年、国内大会の「ロボカップ・ジャパン・オープン」には出場せず、ぶっつけ本番で世界大会に臨んだ。
挑戦したのは身長40〜90センチのKidsize部門。「自分で考えて動く」自律型2足歩行ロボットが、相手のゴール目がけてボールを蹴り込むサッカーヒューマノイドリーグの一つだ。書類などで審査をパスした世界の強豪22チームが出場した。
昨年の大会まではKidsize部門は1チーム3台のロボットの対戦だったが、今大会では4対4の対戦となり、フィールドも約2倍の広さとなって、難易度が引き上げられた。
競技は、22チームが8グループに分かれて総当たり戦を行う予選リーグと、勝ち残った8チームによる決勝トーナメント方式で行われた。
CIT Brainsは一次予選2試合・二次予選3試合を全勝で突破。準々決勝でフランスの「Rhoban Football Club」を降した後、準決勝では身長90センチとCIT Brainsのロボットより30センチも高いイランの「Baset Kid‐Size」と対戦したが、4対0で快勝。イギリスの「Bold Hearts」との決勝戦へ。
イギリスチームのロボットは、米ペンシルベニア大学が世界的なロボットメーカーと提携して開発したもの。ペンシルベニア大学はこのロボットで昨年まで3年連続キッドサイズ部門を制している。CIT Brainsは前半3点を先取し、楽勝かと思ったが、後半で2点を奪い返されるという波乱の優勝だった。
*
また大会中日にはスローインハイキック障害物回避ドリブル芝チャレンジの合計得点を競うテクニカルチャレンジが行われた。
CIT Brainsはボールを蹴りあげてバーを超させると、ポールをすり抜けながらドリブルでボールを運ぶ、人工芝フィールド上を往復するスピードを競うに出場し、圧倒的な強さを発揮した。
なかでもボールをドリブルしながらポールを回避する障害物回避ドリブルに成功したのは、全参加チームの中でCIT Brainsだけだった。
こうした活躍の結果、ヒューマノイドサッカーに出場したチームの投票で決まる「ベストヒューマノイド」に選出され、最高の栄誉「ルイ・ヴィトン・ヒューマノイド・カップ」を獲得した。
試合の合間にマシンを調整 |
未来ロボティクス学科の林原靖男教授は「人工知能を強化し、4台のロボットが連携して相手に対し的確な攻撃ができたことが大きい」と語る。
実際、“体格”や“運動能力”ではCIT Brainsを上回るロボットもあった。イランチームのロボットを見たときは「とても勝てるとは思えなかった」(林原教授)。それをひっくり返した要因は“頭を使った連携プレー”だった。
また、日ごろから工作センターや豊富な資材を活用して、未来ロボティクス学科だけで年間500台を超えるロボットを製作するという、本学の恵まれたモノづくり環境もその背景にある。
一方、「世界の頂点」に立ったことで、新たな課題にも直面することになった。「『世界一』の名にかけて、自律化されたヒューマノイドロボットの新たな進化形を見せなくてはならない義務ができたということです」と林原教授。それは「世界文化に技術で貢献する」という建学の精神を掲げる千葉工大の義務である。
また、南方准教授は「今年はTeensize出場を見合わせ、Kidsizeに集中したことが安定したロボットの運用につながり勝因になったと思われる」と話している。
■林原靖男(未来ロボティクス学科教授)、南方英明(同准教授)、入江清(未来ロボット技術研究センター主任研究員)
2面→ |
Copyright © Chiba Institute of Technology. All rights reserved.