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2014.1.15

小西さんら2位 日本人初!上位入賞


低コスト義手を開発
ダイソン・アワード2013
義手「handiii」(左)とJDA受賞者たち。右から2人目が小西さん 義手「handiii」(左)とJDA受賞者たち。右から2人目が小西さん
義手「handiii」左とJDA受賞者たち。右から2人目が小西さん
 本学出身の小西哲哉さん(デザイン科学専攻を2010年修了=長尾徹研究室)らが開発した筋電センサー内蔵義手「handiii」が、若手向け国際デザイン賞で2位を受賞し12月18日、ダイソンショールーム(東京都千代田区)で行われた表彰式で賞金1万ポンド(約160万円)を授与された。日本人作品の上位入賞は初めて。
 賞は、サイクロン式掃除機などで知られるダイソン社提携のジェームズ・ダイソン財団(英国ウィルトシャー州マルムズベリー)が毎年開催している「ジェームズ・ダイソン・アワード2013」(JDA)。大学生と卒業生(卒業後4年以内)を対象に、日常問題を解決する作品を募集。4大陸18カ国から約650件がエントリーしていた。
 小西さんは、東大大学院出身の山浦博志さん、近藤玄大さんとチームを組んで、スマートフォンと3Dプリンターを活用した筋電義手を開発した。
 筋電義手は、脳で考え指令した時に筋肉が収縮し発生する微弱な電気信号をキャッチ、それを義手に伝えて腕を動かす。世界で開発されているが、まだ100万円以上と高価だ。小西さんらは4万円以内で実現しようと、次の3方針でデザインした。
 1コンピューターで電気信号を読み取る代わりに、スマホで信号をキャッチ。義手のセンサーとBluetoothで接続する2モーター以外の全部材を3Dプリンターで安価に作れるように設計。子供も成長に合わせ何度でも作り直せる3モーター数を大幅に削減。従来は手の動きを再現するため指の関節の数(15個)だけモーターを使っていたが、リンク機構を用い6個のモーターで動かせるようにした。
 部品が破損しても、ユーザー自身が新パーツを3Dプリンターで印刷して修理でき、好みの色も実現できる。センサー追加のアップデートなどカスタマイズ性も備えるデザインだ。
 小西さんは長尾研究室でモノづくりの頭脳と技術を磨いた。デザイン科学科ではいち早く3Dプリンターを導入、小西さんも在学中に活用し体験しながら学べたという。
 「今回の受賞作も、長尾研究室に粉体造形を作成してもらうなど、積極的に協力してもらった結果」と、小西さんは古巣に感謝。今後さらに実用に向けて開発を進め、2020年の東京オリンピックではhandiiiを装着した聖火ランナーに走ってもらうことを夢見ている。

FDフォーラム


優秀6発表を表彰
小宮学長(前列中央)と受賞者たち
小宮学長(前列中央)と受賞者たち
 昨年11月に開催された初の「FD(Faculty Development)フォーラム」〜これからの高等教育と千葉工業大学を考える〜(昨年12月号に詳報)について、教育力の向上により資すると思われる発表を審査の結果、次の6件が特に優秀な発表と評価され、11月28日、小宮一仁学長から発表者に表彰状が手渡された。
 ▽米田完教授(未来ロボティクス学科)「講義授業でも毎回各自実験で学生の食指を動かし記憶に残す」
 ▽八馬智准教授(デザイン科学科)「デザインマインドを醸成する導入教育手法の構築―新入生同士のコミュニケーションの活性化を利用して―
 ▽山崎治准教授(情報ネットワーク学科)「修学・大学生活の導入支援と学内支援環境の活用」
 ▽引原有輝准教授(教育センター)「大学体育授業を通じた社会人基礎力の育成の試み―学習者のパーソナリティからみた教育効果の差異について―
 ▽根本直樹助教(生命環境科学科)「2年目教員の試行錯誤〜学生が「聴きたいから受講する」講義を目指すにはどう改善すべきか〜
 ▽南澤麿優覽助教(教育センター)「文理融合型工業大学の境界領域の紹介を導入した化学の教養教育の効果」

3Dプリンターを生かして


手嶋教授 機器アカデミー賞
触って学べる立体教材展示
 3Dプリンターなどのデジタルものづくり技術を活用し、精確な形の立体模型を開発している手嶋吉法教授(機械サイエンス学科=写真)が、日本発達障害ネットワーク体験博覧会(昨年11月30日、東京都文京区の東洋大白山キャンパスで開催=同ネットワーク主催)に「触れば納得!立体模型」を出展し、機器アカデミー賞に選ばれた。
 手嶋教授は科研費(基盤A)プロジェクトの代表者として、目の不自由な人たちが触覚で観賞するための立体模型を、精確な形状データに基づいて積層造形法(3Dプリンターによる造形)で多数開発してきた。晴眼者の観賞用としても、さらには最先端の研究を支援する立体模型としても重要性が増しているという。厚生労働省の懇談会に要請されて出展した。
 手嶋教授は、美しいふくらみやくぼみを持った数学曲面や惑星儀、プランクトン骨格の拡大模型などを会場に展示した。
 来場者が投票し、発達障がい者用ゲームや機器など9ブースが並ぶ中、手嶋教授のコーナーが最多得票を得て同賞に選ばれた。
 手嶋教授は「来場者の支持で受賞し、大変うれしく思っています。今後は作業療法士とも連携し、障がいをもつ人たちに役立つ立体模型の研究開発を、学生たちと力を合わせて進めていきたい」と語った。
 手嶋研究室には立体模型が常設展示されていて、外部からの見学者も訪れる。
 一般社団法人日本発達障害ネットワークは、発達障害について理解啓発や調査研究、政策提言などを行う全国組織で、障がい者の自立や社会参加を支援している。

教員10人表彰


ためになった!授業
教育センター授業アンケート
 教育センター(菅原昌彦センター長=情報科学部教授)のFD(Faculty Development=教員集団の教育能力開発)部会は平成25年度教育センター授業アンケートに基づいて、11授業の教員計10人の表彰を決定、このうち専任教員を昨年11月14日に表彰した=写真。
 授業アンケートは昨年9月、全学科の1、2年に、前期授業(4〜7月)に教育センター教員が担当した教養科目と専門基礎科目について1現代人に必要な教養を深めるのに役立った授業、または興味深いと感じられた授業を最大3つまで選出2専門を学ぶための基礎学力の向上につながったと思われる授業を最大3つまで選出――してもらった。
 12で得票率(得票数/受講者数)の高かった授業をFD部会が審査し、次の教員(敬称略)の表彰が決まった。
 1の授業 ▽少人数クラス=田中岳(フランス語1)、大久保政憲(同)▽中人数クラス=越智敏之(英文構造理解1で2授業分)▽多人数クラス=松村比奈子(日本国憲法)、須藤勲(国際社会論)
 2の授業 ▽少人数クラス=轟木義一(物理学基礎)▽中人数クラス=林誠(微分方程式)、松澤秀則(化学基礎)、相川文弘(物理学基礎)▽多人数クラス=代表・菅原昌彦(物理学実験)。
 専任以外の非常勤教員で最高評価だった田中岳、松村比奈子、林誠の3氏は3月の教育センター懇親会で表彰する。
 この結果に小宮一仁学長は「(授業アンケートは)非常に素晴らしい取り組み。来年度から全学を対象に実施したい」。
 菅原センター長は「授業満足度調査とは異なる視点で学生の声をくみ上げようというのが狙い。教育センター教員は教養と専門基礎の両科目を担当しているため、それぞれのカテゴリーで評価してもらった。非常勤の先生方も含め教育センター教員の授業改善の励みになっていると思う」とコメントしている。
 同アンケートは2010年度から始め、今年度で4回目。