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2013.3.15

材料技術発表で2人受賞


生環・篠崎さんと山根さん
受賞した篠崎さん(右)と山根さん
受賞した篠崎さん(右)と山根さん
 新材料や材料技術について発表する2012年材料技術研究協会討論会(昨年12月7、8日・東京理科大野田キャンパスで=材料技術研究協会主催)で、篠崎亮太さん(生命環境科学専攻修士1年=橋本和明・柴田裕史研究室)が発表し優秀口頭発表賞を受賞、山根悠佑さん(同)もポスター発表してゴールドポスター賞を受賞した。
 生命環境科学科・構造生物学研究室(河合剛太教授ら)では、文部科学省補助の戦略的研究基盤形成支援事業として「長鎖RNA(リボ核酸)の機能構造を発見するための技術基盤の開発と応用」に取り組んでいる。
 篠崎さんが発表したのはその一環で「チタニア/シリカ複合薄膜の調製および細胞シート調製への応用」の研究。
 再生医療の基盤技術として、人の細胞から細胞シートを培養する研究が進む。出来たシートを損なわず回収するため培養基材に親水・疎水性を温度制御できる温度応答性ポリマーが使われるが、加熱や紫外光による滅菌処理で劣化しがちだ。
 研究室では、光触媒機能があり高い耐熱、耐薬品性を持つチタニア(二酸化チタン)を使えば、紫外光照射で濡れ性の制御、加熱や滅菌処理ができると考え、チタニア/シリカ複合薄膜の調製および細胞シート調製への応用を検討している。
 篠崎さん担当の実験は予定通り進まず、必要データがそろったのが講演日間近。調製が大変だったが、橋本教授らの助力で質問されそうな点を確認、準備したという。
 篠崎さんは「あがり症で発表は苦手。当日もうまく説明できなかった個所があり、受賞は考えていなかったので驚いた。受賞をバネに、今後も良い成果を出せるよう尽くしたい」と語った。
 一方、山根さんは「QCMによるSAM―生体分子間の相互作用測定」をポスター発表した。
 生体分子は相互に作用し、さまざまな生命現象に関与する。水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定法は、電極表面に付着した物質の微量な質量変化を検出できる。
 山根さんらは、チオール化合物が金に容易に吸着する性質に着目し、QCM測定の金電極上に、末端にさまざまな官能基を有するチオールの単分子化膜(SAM)を形成させ、そのSAMと生体分子間に働く相互作用を検討、生命現象のメカニズムを探っている。
 山根さんには初めてのポスター発表で、先生や先輩に教えてもらい、インパクトのある図を意識して作ったという。
 山根さんは「先生方のご指導で賞が頂け、うれしい。無我夢中で作り、賞など考えていなかったので、受賞に驚きました」と語った。

画像圧縮技術 国際会議で発表


平野さん最優秀論文賞
賞状を手に平野さん
賞状を手に平野さん
 最先端の映像処理を扱う国際ワークショップIWAIT2013(2013International Workshop on Advanced Image Technology=1月7、8日・名古屋大で開催)で、情報科学専攻の平野那由他さん(博士後期課程1年、八島由幸研究室)が八島教授と連名で論文を発表、最優秀論文賞を受賞した。
 テーマは「適応的seam伝送による視聴画面アスペクト比スケーラブル映像符号化」。
 テレビやパソコン、スマートフォン、タブレットなどの映像端末には、多様な通信速度や画面サイズに柔軟に対応できる画像圧縮方法が必要とされる。
 平野さんらはシームカービングという画像編集技術を応用して、種々の画面アスペクト比(縦横比)を持つディスプレーに、画像をゆがめず効率的に再生する手法を検討。例えばテレビ用の圧縮画像データをパソコンやスマートフォンに送信するとき、再度符号化する必要なしに、圧縮データのまま切り出し再生できる効率的な映像コンテンツの管理技術を追究した。
 受賞事由によると平野さんらは、従来の画像圧縮符号化標準では対応が不可能だった、画面アスペクト比に対するスケーラビリティーを実現する斬新なアイデアを提案、実験的にその有用性を示した。これを国際会議の場で効果的に発表、参加者に大きなインパクトを与えたと評価された。
 実験ではいろいろな画像に種々のパラメータを適用して試した。全データの結果画像を得るためパソコンを何台も並列動作させ数日間かけて処理、数テラバイトもの容量になった。その結果になかなか納得がいかず、何度もやり直したという。
 平野さんは「シームカービング技術が大きな注目を集めていますが、我々の研究は、これに画像圧縮技術を組み合わせたハイブリッド符号化方式を提案したもの。受賞は信じられないという思いと、研究が認められた喜びとで、とても興奮しました」と語った。

“キッチン空間”コンテスト


高橋さん小野澤さん入選
小野澤さん(左)と高橋さん
小野澤さん(左)と高橋さん
 デザイン科学科3年生の高橋咲樹さん、小野澤仁美さんらが「平成24年度キッチン空間アイデアコンテスト」(公益社団法人インテリア産業協会主催)に応募し、高橋さんが優秀賞(5万円)、小野澤さんが佳作(1万円)に入選した。表彰式は1月22日、京王ホテルプラザで行われた。
 コンテストは、インテリア産業協会がキッチン設計のスペシャリストを育てるため昨年度から実施。今年度は▽団らんキッチン空間▽人に優しい空間・地球に優しいキッチン空間▽暮らしが変わったキッチンリフォーム空間(実施例)――の3テーマで、使いやすい快適なキッチン空間のアイデアを募集した。
 上野義雪デザイン科学科教授の研究室では3年生後期「インテリアデザイン演習3」の科目課題に採用して学生たちにアイデアを募り、出品した。
 応募総数297点について予備審査、本審査(審査委員長=上野教授)が行われ、最優秀賞は逃したが優秀賞4点の1つに高橋さん、佳作9点の1つに小野澤さんの作品が選ばれた。
 高橋さんの作品は「キッチンを家具へ」。キッチンは未だに「母親(妻)の場」と暗に規定。「対面式」が増えて家族のコミュニケーションが増したとされるが本当か――という疑問から出発し、キッチンという場所をあえて作らず、家族にとけ込む“家具としてのキッチン”を提案した。
 キャスターの付いた円形シンクの下にIHヒーター、簡易丸テーブルを組み合わせて、ひとまとめにしたり、3つに展開したりできる。幼いころ好きだった「ままごと」用キッチンを思い浮かべながら、インテリアとしても優れるデザインを追究したという。
 高橋さんは「初応募のコンペで評価していただき、大変光栄です。たくさん学んで、それを生かせるデザインができるよう努力したい」と受賞を喜んだ。
 一方、小野澤さんの作品は「SPOT―人の動きや気配を光と影であらわすキッチン空間の提案―」。キッチンをあえて半透明板で隔て、料理する人の影を自然光で温かく浮かび上がらせ、孤立しがちな家族に一体感を取り戻すよう促した。
 どうしたら集まりたくなる空間ができるか、視覚同線を探り、家族の存在をどうシルエットで意識させるか悩んだという。小野澤さんは「今回の経験を生かし、機会があればまた何かのコンテストに参加したい」と語った。
 「キッチンスペシャリスト」はインテリア産業協会が資格試験をして認定している。資格を取得すると、快適なキッチン空間を提案するアドバイザーとして建築・リフォーム・インテリア・住宅設備業界などで能力を生かせる。
小野澤さんの作品 高橋さんの作品
小野澤さんの作品 高橋さんの作品