NEWS CIT ニュースシーアイティ

2012.11.15

イノベーション・ジャパン2012―大学見本市 開く


電力の省エネ技術
西田教授 高性能整流器など出展
 国内大学の研究成果と産業界が出合い、新たな価値を生み出すための「イノベーション・ジャパン2012―大学見本市」(科学技術振興機構など主催)が9月27、28日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開かれた。
 本学からは、パワーエレクトロニクス(電子・電力の発生・輸送・貯蔵・消費全般にかかる変換・制御技術)を研究している西田保幸・電気電子情報工学科教授が成果を出展。28日の特別協賛シンポジウムでは小柳栄次・未来ロボット技術研究センター副所長が、福島第一原発建屋内を探査したクインスの活動ぶりを報告した。
西田教授の「高性能電力変換システム」展示
西田教授の「高性能電力変換システム」展示
 イノベーション・ジャパンは今年で9回目。科学技術振興機構が選んだ大学の情報通信、ライフサイエンス、環境保全、防災など10分野の研究成果300件が企業に提示された。
 西田教授は低炭素・エネルギー部門に「高性能電力変換システム」を展示し、パートナー企業を募った。
 紹介したのは▽数年前から手がけ2台目になったコンバートEV(電気自動車)▽スイッチが入る際のロスやノイズを避けた三相インバータ(直流/交流変換器)▽三相パッシブPFC整流器(交流/直流変換器)――など。いずれも新しい電力変換技術によって、エネルギーの有効利用を提案するもので、関係業界の注目を集めた。
クインスの活動を報告
小柳副所長 シンポジウムで
聴衆を前にクインスの活動を報告する小柳副所長
聴衆を前にクインスの活動を報告する小柳副所長
 日本の活力再生を探るシンポジウムでは「福島からの再生・・・・・・現場からの報告と大学の貢献」の部で、小柳副所長が「福島原発でクインスが見たもの」と題して、聴衆約200人を前に報告した。
 それによると、クインスは▽2011年4月15日・搭載ハードウエアの耐放射線試験▽6月20日・1号機を福島へ搬出▽7月26日・3号炉2階スプレー冷却系の保全状態調査▽9月24日・3号炉1階の詳細な線量測定と写真撮影▽10月20日・2号炉建屋1〜5階の線量測定、5階燃料プール撮影▽2012年2月20日・2号機、3号機を福島へ搬出▽2月27日、2号機による2号炉5階の調査▽5月23日・2号機による3号炉TIP室内環境調査▽6月13日・2号機による2号炉3〜5階調査――など数々のミッションをこなしてきた。
 クインスは、外国製ロボットでは昇降できない急斜度階段(40度以上)や瓦礫を走破する能力を誇り、日本製ロボットとして初めて原子炉建屋に投入された。しかし、建屋内での実働には課題が山積。小柳チームは東京電力が要請する任務に合わせて急きょ、耐放射線特性や有線による遠隔通信と制御、ヒューマンインタフェースなどの問題を解決し、福島へ向かった。
 小柳副所長はこれらの技術的解決によって、原子炉の冷温停止に向け重要な情報を収集できたこと、現地作業員の被ばく量軽減や作業工程短縮に貢献できたことを、図や映像によって報告した。

ロシア人学生ら来日


本学施設や秋葉原を見学
研究成果について説明を聞くロシア人学生たち
研究成果について説明を聞くロシア人学生たち
 今年度日露青年交流事業の1つ、ロボット技術分野ロシア人学生招聘プログラム(10月3〜10日・外務省実施)によりロシア人学生・教員25人が来日し、東京、千葉、大阪、金沢などの大学や研究施設を見学した。
 来日したのはモスクワ国立機械工学大学テストセンターのイヂアトゥロフ・センター長、サラトフ国立工科大学、ノボシビルスク国立工科大学、アストラハン国立工科大学、サンクトペテルブルグ国立大学などの学生・研究者たち。千葉工大には10月4日に来学。同9日にも行動を共にし、本学学生22人がボランティア参加してロシア人学生らと交流した。
 10月4日(木)午前、津田沼新2号棟20階ラウンジで初顔合わせ。ロシア側は極東連邦大学のズエフ・アレクサンドル准教授が研究内容を紹介、ロボット技術プログラム・コーディネーターのクサキナ・リリヤさんがロシアで開催されているロボットコンテストについて説明した。
 本学側は未来ロボティクス専攻の土橋一成さん(修士2年)が、ロボット研究や大会への参加活動などを説明したほか、東日本大震災当日、新1号棟から撮影した映像を放映し、被災地で活躍したレスキューロボットなど、大学全体の活動についても解説した。
 その後、工作センターを見学、さらに未来ロボティクス学科の研究室に用意されたロボットや研究成果を視察。数々のユニークなロボットの登場に、予定時間をオーバーして意見交換が繰り広げられた。
 午後は本学学生3人とロシア人学生3人ずつがグループを組み、各グループに分かれて、幕張メッセで開催中の最先端IT・エレクトロニクス総合展「シーテック・ジャパン」を見学した。
 9日(火)は各グループで、秋葉原の電気街を見学。家電や電子部品だけでなくゲーム関連や食べ物、メイド姿など、さまざまな日本文化に触れた。
 昨年、訪露した未ロボ学生たちは「ロシア人学生たちは、工作センターなどで工作機械の充実ぶりに驚き、改めて千葉工大はものづくりの環境に恵まれていると感じました。ロシア側は日本文化について、簡単なあいさつやサブカルチャーなどの知識を持っているのに、我々はロシア文化をほとんど知らなかったので、交流を機に学んでいきたい」(土橋さん)
 「日本の電化製品やサブカルチャーについて詳しく、どちらが案内をしているのか分からなくなるシーンもありました」(野平幸佑さん=修士2年)
 「とても話しやすい方々で、身振り手振りを交ぜて意思疎通ができました。日本の電化製品に大変興味を持っていて、うれしく感じました。ロシアとの交流が進んでいくといいと思いました」(山田幸果さん=未来ロボティクス学科4年)――などと感想を語った。
ボランティア参加した未ロボの学生と肩を組んで
ボランティア参加した未ロボの学生と肩を組んで

日々進化する津田沼敷地内


 津田沼校舎敷地内の整備が着々と進行、学内環境は日々進化を遂げている。
 バス停の整備や、キャンパス内に敷き詰められた車道用インターロッキングなどに続き、旧部室棟と旧本館の跡地には、新たに、自然豊かな緑が広がる庭園と駐輪場が配置される予定だ。
 先ごろ庭園の仲間入りをした金木犀の大木は、キャンパスに秋の香りを運び、まきの木は隆々と青空に伸びている=写真。学生たちの新たな癒しの空間として、完成が待ち遠しい。