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2012.5.15

進化を続け創立70周年


技術大国ニッポン支え
柔軟に改革 3万人志願の大学に
 現存する私立工業大学で国内最古の歴史を持つ千葉工業大学は5月15日、創立70周年を迎えた。昭和17年のこの日、興亜工業大学として設立認可され、第1期生160人が入学して以来、太平洋戦争と、続く社会の激動に耐え、進化を続けてきた。時代の先を見通し施設・学制を充実させて、技術大国ニッポンを支える人材を送り出してきた。今では3万余人が入学志願し、在学生1万人規模の大学へと成長している。本学では5月15日、ホテルオークラ東京(東京都港区虎ノ門)で創立70周年記念祝賀会を開き、さらに広い国際社会へ、貢献できる人材を送り出そうと、決意を新たにした。
次の飛躍へ記念祝賀会
玉川学園内の校地に建てられた興亜工業大学予科校舎の一部
玉川学園内の校地に建てられた興亜工業大学予科校舎の一部
昭和30年当時の本学正門(現・津田沼キャンパス通用門=国の登録有形文化財)。元陸軍鉄道第二連隊の門を残したもので習志野市民から「工大の煉瓦門」と呼ばれた
昭和30年当時の本学正門(現・津田沼キャンパス通用門=国の登録有形文化財)。
元陸軍鉄道第二連隊の門を残したもので習志野市民から「工大の煉瓦門」と呼ばれた
 本学の前身・興亜工業大学は、米国と戦端を開いた真珠湾攻撃の翌年に、教育学者で玉川学園を創立した小原國芳園長が主導し東京府町田町(現東京都町田市の同学園内)に創設。当時は私立工業大学として藤原工業大学に次ぎ国内2番目だったが、藤原工大は後に慶應義塾大学工学部となり、本学が現存最古となった。
 建学の精神・教育方針づくりには本多光太郎博士(元東北帝大総長・金属工学者)や西田幾多郎博士(哲学者)、徳富蘇峰(政治評論家)、武者小路実篤(作家)らが加わった。
 優秀な技術者を育成するだけでなく、世界文化を視野に、教養と高い人格を求めた教育理念で、国への奉仕一色の当時の理工系学校では異色だった。予科3年・本科3年の6年制で航空、冶金、工業経営の3学科。全寮制でスタートし、帝大に次ぎ、工学志望の優秀な若者が多く入学したといわれる。
 その後、予科は戦争などの影響を受け玉川学園から東京・紀尾井町の上智学院内、本科は川崎市の日本冶金川崎製造所内に、と転々としたが空襲に罹災。そのため東大、東工大、東北大などに学生を預けた時期もあった。
 終戦翌年の昭和21年2月、千葉県君津市に移転し、以来、千葉県が郷土となった。同時に「興亜」という国策的だった名前を「千葉工業大学」に改称した。しかし翌年2月、漏電火災で君津校舎の4分の3を失った。昭和24年、津田沼の田中航空機器製作所内に移転した。
 昭和27年、元陸軍鉄道第二連隊施設の払い下げが決まり、現在の津田沼校地に根を下ろした。
 津田沼校舎が手狭になり、昭和37年、故豊田耕作会長(当時は常務理事)らが中心となって千葉市花見川区千種町に土地を取得。さらに55年、都市街路計画で、津田沼校地の一部を習志野市と用地交換して芝園校地を、また隣接する茜浜校地も得た。昭和61年4月、芝園ニューキャンパス誕生により、長年の懸案だった大学設置基準上の中心校地面積の問題も解消し、新たな展開を図った。
 平成18年、魅力ある大学づくりを掲げて津田沼・芝園キャンパス再開発5カ年計画を発表。都心から電車で30分の利便な地に、現在のツインタワーを擁した未来志向のキャンパスが出来上がった。
しなやかに 明るい学風
「70年のあゆみ」刊行
「70年のあゆみ」刊行
 習志野市を中心に新天地を得た本学が、70年間で育てた特色は、開放的な施設が物語るような明るい学風と、学制改革の柔軟さだ。理事会・教職員の努力で時代の必要をいち早く察知し、旧電気工学科、建築学科などを電気電子情報工学科や建築都市環境学科、生命環境科学科、デザイン科学科などに改組。経済の国際化スピード化に対応し情報ネットワーク学科、プロジェクトマネジメント学科を国内初開設した。
 平成14年、鯨生態観測衛星「観太くん」打ち上げに成功。未来ロボティクス学科の新設、未来ロボット技術研究センター(fuRo)や惑星探査研究センター(PERC)と次代を見通し他大学に先駆けた開設が続く。
 これらの効果により、千葉工大は平成12年前後から、未来技術を志向する若者たちの憧れの的へと変容した。入学生は年々増加し、本学の財政基盤は固められ、9年前から国内私大有数の財務優良校になった。卒業生は平成24年4月現在7万4460人。産官学連携が育つなかで優秀な先輩たちが巣立って行った。
 千葉工大の70年は、技術大国ニッポンの歩みと重なる。先輩たちは、かつての高度経済成長の工業技術を支え、今は進化した新素材・表面工学、自動車・機械技術、電子・情報化技術、国土改造への反省で生まれた環境技術、生活の質を問い直すプロダクトデザイン――などを学び、各界で、日本のものづくりと生活の質の向上を支えている。閉塞感がいわれる日本だが、時代の先に応える本学のしなやかさは、今後も発揮されそうだ。
 創立70周年の5月、本学は東京スカイツリー・イーストタワー内にサテライトキャンパスを確保し、ロボットなどCIT技術の紹介を始める。また、次期「ハヤブサ2」には、PERC開発の機器が搭載され、探査研究に参加する予定だ。次の創立80周年へ、飛躍が始まる。
千葉工業大学 OPEN CAMPUS