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2010.10.15

高齢者が乗れる大型ロボ
「core」開発 fuRoと学生協力


可搬重量100kg・世界最大級二足歩行型
新開発部品、応用に期待
記者会見を開き大型ロボの説明をする古田fuRo所長
記者会見を開き大型ロボの説明をする古田fuRo所長
 少子高齢社会をにらんだ大型二足歩行ロボット――本学は、人を乗せることができ世界最大級の可搬重量性能を持つ「core(コア)」を開発し、9月16日に記者会見を開いて発表した。
 coreは未来ロボット技術研究センター(fuRo)を中心に、各学部・学科の学生たちが協力して作り上げた。
 会見ではfuRoの古田貴之所長が開発の目的や機能、今後の展望などを説明。
 下半身だけで高さ191.15p、重量230sのロボットは、70人近いテレビや新聞の報道陣の前で、まずゆっくり歩き、そのあと、100sのバーベルを積んで屈伸運動をしてみせるなど、パワフルな動きで記者らをうならせた。
 今回の開発は平成21年度にスタートした「fuRo搭乗型二足歩行ロボットプロジェクト」の一環で、大型ロボット脚部のプロトタイプ。
 coreは、今回新規開発した関節駆動用大型モーターシステムを搭載している。このシステムは、大出力のモーターと電磁ブレーキ、絶対角度センサーで構成される駆動ユニットと、独自開発のモーター制御駆動ユニットから成っている。
 歩行時はモーター、静止時はブレーキをハイブリッドに使うことで、大型超重量級ロボットを安全かつ省エネで制御できる。さらに、これも新規開発した衝撃吸収機構を両足に搭載、二足歩行ロボットとしては世界最大級の可搬重量を実現した。
 今回のプロジェクトは脚移動式モビリティを未来の乗り物として開発することを目指す。
 今、高齢者の「足」として利用されているシニアカーの代わりにもなる。自動操縦技術や不整地(凸凹)移動能力を付与すれば、環境にやさしく安全な乗り物となる。
 今後は、実際に人を乗せて歩くロボットや、中型・小型のロボットの開発も進める。
 古田所長によると、これらは未来の乗り物のランドマークで、coreを含むプロジェクトから生まれる各種ロボット用部品は、ロボットシステムだけでなく、今後実用化されるさまざまな福祉機器において実用化・事業化されることが期待されるという。
 また、各学部・学科の学生が参加する「皆で創る」プロジェクトを通じて人材を育成していくという。coreは、ロボット文化づくりそのもののランドマークというわけだ。

「防災の日」本学が実演・展示


中学生らにレスキューロボを披露する小柳副所長
中学生らにレスキューロボを披露する小柳副所長
 9月1日は「防災の日」。第31回9都県市合同防災訓練が行われ、千葉県の主会場となった君津市の小糸川漁港隣接地には県、市、消防、警察、自衛隊などが車両やヘリなどを持ち込み、大掛かりな訓練を中心に実演や展示が実施された。本学も積極的に参加した。
fuRoがレスキューロボ
防災訓練の中学生ら感嘆
 防災訓練の主会場は小糸川漁港隣接地と木更津市の海ほたるパーキングエリア。過去最大の215機関8200人が参加した。
 君津市の会場では、倒壊家屋からの救出訓練が行われ、一方で中学生や地元住民らがバケツリレーによる消火訓練を行った。
 広大な会場では、AED心肺蘇生実習や起震車による地震体験などが行われると共に、40カ所近いブースで展示が行われた。千葉工大は2カ所を使用。未来ロボット技術研究センター(fuRo)は小柳栄次副所長の指揮でレスキューロボットを展示、そして千葉市消防局と協力して実演を披露した。
 主役は最新鋭のレスキューロボット「クインス」などで、小柳副所長が4台を持ち込み、瓦礫や木組みの障害物などを縦横に乗り越えて崩壊した災害現場や被害者の状況を送信する様子を実演した。
 訓練に参加していた地元中学生らが集まり、動き回る車両型ロボットに驚きと感嘆の声を上げ、説明に耳を傾けていた。
 なお、「クインス」は8月下旬から千葉市消防局に貸し出されている。

「液状化対策」の成果発表


畑中研究室がパネル展示
畑中研究室のパネル展示
畑中研究室のパネル展示
 fuRoブースの隣は本学建築都市環境学科・畑中宗憲教授の研究室の「地盤不飽和化による液状化対策工法の開発」展示ブース。この研究は畑中教授による平成18―19年度の科研の基盤研究(C)及び平成20年度の産学共同シーズイノベーション化事業―顕在化ステージのテーマによる竹中工務店技術研究所との共同研究の成果で、パネル展示が中心。
 地震による地盤液状化は深刻な問題で、被害低減のための工法は多く開発されている。しかし、既存の構造物が存在する状況で実施可能な工法はほとんどない。
 現在、地盤の地下水を汲み上げて飽和度を低下させる地下水位低下工法が専門誌などに紹介されているが、この工法は対策地盤および周辺地盤の沈下を引き起こす可能性がある。今回の研究は地盤中にマイクロバブル(MB)を含んだ水を注入し、地盤を不飽和化させることによる液状化対策工法の開発を目指す。
 具体的には、注水管と排水管を設置し、注水側からMB水を入れ、排水側から揚水して地盤内にMB水を注入、それにより地盤内に空気を送って地盤を不飽和化させる。
 この新工法は既存構造物がある基礎地盤にも適用できるコストが安い環境に優しいという3つの特徴を持ち、従来コスト面で困難とされていた道路や鉄道、ライフラインなど広範囲な液状化対策を行うことができると期待されている。
 当日は、千葉県下の市の防災担当者や土木技術者など専門家のほか、一般県民や高校生なども展示ブースを訪れ、想定される地震での千葉県の液状化発生状況や、不飽和化が有用であるメカニズム、具体的な本工法の実施方法について熱心に聞いていた。

就職・進路支援部」に「キャリアセンター」が名称を変更しました。
「キャリアオフィス」は「就職課」となります。