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2009.6.15

ロボカップ 輝く4冠
本学、他チームに快勝


ヒューマノイドリーグ 大阪大会
 未来ロボティクス学科、輝く4冠!――。「ロボカップジャパンオープン2009大阪」のサッカー「ヒューマノイドリーグ」で、本学チームが4種目を独占優勝した。1997年の第1回大会以来、ロボット工学や人工知能の研究を推進してきた国際プロジェクトの同大会でも、数えるほどしか達成されていない快挙だ。「レスキュー実機リーグ」でも本学ロボットが大健闘した。
ゴールを狙いシュートするCIT Brains
ゴールを狙いシュートするCIT Brains
 ロボカップジャパンオープン2009大阪(大阪委員会主催)は5月8日から3日間、大阪市の京セラドーム大阪に過去最高の222チーム、696人が参加し、広い球場は延べ約5万人の観客で盛り上がった。
 本学が4冠を果たした種目は、ロボカップサッカーの「ヒューマノイドリーグ」。チーム名は「CIT Brains」。2002年の世界大会から正式種目になった自律型2足歩行ロボットによる競技。キッズサイズ(Kid)と、より大型のティーンサイズ(Teen)の両サイズともに参加した。
 キッズサイズは昨年から3対3の競技に変更され、2年目を迎える今年、各チームの攻守の組み立てがレベルアップし、一層、人間のサッカー競技に近いプレーになった。
 2日目の9日までに、スローインや障害物回避ドリブルの技術を競う「テクニカルチャレンジ」部門で、キッズ、ティーン双方がボールを扱う抜群の高度なプレーを披露して優勝を決め、まず2冠をゲット。
 チームでただ一人の女性、未来ロボティクス学科2年の山田幸果さんは競技ロボットカメラのカラー識別調整などを担当。「3体のロボットが同時に動くので戦略が難しいですが、とても面白い」と話し、10日の準決勝、決勝へ臨んだ。
 準決勝は金沢工大チームの「夢考房SiTIK」と対戦。試合開始6分後にゴールを決め、まず1点。その後も「CIT Brains」は3体がそれぞれの役割を見事にこなし、着実に得点を挙げ、結局、5―0で決勝へ。
 いよいよ決勝。相手は社会人チーム「波道」。試合開始3分でロングシュートを決めて1点。シュートの連続失敗にもくじけず、後半も得点を重ね5点を挙げ、初優勝をつかんだ。ロボットの動作は他チームを寄せ付けない機敏さを発揮し、千葉工大のロボット技術のレベルの高さを観衆に印象付けた。
 林原靖男准教授は「2年前にロボカップに出たい、と学生たちが頼みにきた。『死ぬ気で出来るか。1日最低5時間やれるか』と言って始めた。彼らは、本当に5時間毎日取り組んでくれた」と振り返った。さらに「ロボットのかなりの部分は大阪で作られてます。これからもこういう技術を、ここ大阪で育てて欲しい」と地元大阪の高いロボット製造力にエールを送った。
 ティーンのロボット名は「Xega(ゼガ)」。8日がテクニカル・チャレンジ(スローイン・障害物回避ドリブル)、9日はテクニカル・チャレンジの徒競走、最終日10日がサッカーのPK戦を拡張した「ドリブル&キック」競技なので、先頭が難しかった。
 しかし、ティーンはレベルの高い精度を見せて8、9日の競技すべてでトップの成績を挙げ、好調を維持したまま、最終日10日の決勝トーナメント「ドリブル&キック」に臨んだ。
 セットアップ担当の未来ロボティクス学科4年、一澤勝弘君は「調整が難しいですが、気合が入ってます」と緊張気味に決勝戦に臨んだ。
 対戦相手は2メートルを超える大型ロボット「Hajime33号」。ゼガのシュートは、巨体の脇をうまくすり抜けて難なく1点を挙げ、優位に。2、3点目も左右サイドにきわどいシュートを決めて3―0。昨年に続く連続V(昨年沼津大会は同点優勝)を勝ち取った。これで「CIT Brains」は完全優勝の4冠。一澤君は「前半はボールの扱いに失敗したが、中途から本来の力を発揮できた。うれしい」と話した。
 南方英明准教授は「ゼガは大阪生まれで、千葉で育ちました。対戦したHajime33号はいわば弟分です。学生たちのロボット技術習得への情熱で、ゼガがここまでこられたことに感謝したい」と語った。
■ヒューマノイドリーグ参加者■
<CIT Brains>未来ロボティクス学科 南方英明准教授、林原靖男准教授、大学院工学研究科電気電子情報工学専攻2年 清家洋平さん、未来ロボティクス学科4年 一澤勝弘君、同3年 吉澤将君、同2年 町浩輔君、高松和城君、山田幸果さん
「ヒューマノイドリーグ」メンバー
「ヒューマノイドリーグ」メンバー

レスキューも大健闘


惜しくも入賞は逃す
「レスキュー実機リーグ」メンバー
「レスキュー実機リーグ」メンバー
 【レスキュー実機リーグ】ロボカップサッカーで培われた技術を災害救助に利用しようというプロジェクト。災害現場を模したフィールドで、レスキューロボットが災害救助のスピードと精度を競い合う。
 本学は未来ロボット技術研究センター副所長、と学生10人のチーム「CIT Pelican」。開発した重さ22キロのレスキューロボットで、災害を想定したフィールドに設置した人工の瓦礫現場を走った。オペレーターを担当したのは機械サイエンス学科4年、西村健志君。またセットアップとメンテナンスは未来ロボティクス学科4年、川本将嗣君。オペレーターはロボットに搭載したカメラの映像をもとに遠隔地より操作、決勝戦進出の5チームに入った。
 1回目のチャレンジは途中、カメラのモーターがダウンしてしまうアクシデントに見舞われ、西村君は「悔しい」を連発。午後の2回目のチャレンジでは持ち時間12分をフルに使って、坂道や段ボール箱でごった返した現場を走破した。
 西村君は「被災者に見立てた人形を探すのが難しかった。僕の力不足を感じた。2人の息はうまく合っていた」と自己採点70点の評価だった。も「まあ、いいんじゃない」と健闘を賛えたが、惜しくも入賞は逃した。
■レスキュー実機リーグ参加者■
<CIT Pelican>未来ロボット技術研究センター(fuRo) 、吉田智章上席研究員、機械サイエンス学科4年 西村健志、未来ロボティクス学科4年 川本将嗣、同1年 松本和彦、、亀井聡、北村拓也、川野朋子、岡本華奈、大原葵

兵庫県で初の公開実験


「Kenaf」自在に走行 レスキューロボット
瓦礫の山を走行する「Kenaf」
瓦礫の山を走行する「Kenaf」
 大地震被害の建物内での人命救助や不明者情報の収集などを行う「レスキューロボットの実証実験及びデモンストレーション」が5月11日、兵庫県内で初めて報道関係者に公開された。約100人のマスコミ関係者が取材する中、本学未来ロボット技術研究センター(fuRo)のがハンドマイクを手に解説した。本学学生は卓越した技術でレスキューロボットを操縦し、実用化の迫る最新のロボット事情に注目が集まった。
 この公開実験は、NPO法人国際レスキューシステム研究開発機構(IRS=会長・田所諭東北大学大学院教授)の主催。IRSは他の共同研究機関と協力し、2006年度から戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクトに取り組み、「閉鎖空間内高速走行探査群ロボット」を用いたレスキューロボット・システムの研究開発を進めている。研究開始3年を経過した節目として、また2015年ごろに想定した実用化配備に向け、今回、実証実験を公開した。
 会場は兵庫県三木市広域防災センターの広い瓦礫施設。コンクリート塊や傾いた土管などが配置され、現実の災害現場と同じだ。が使用した高速移動ロボットは「千葉工業大学」と横腹に書かれた「Kenaf」。重量22キロ、秒速3メートル弱で移動出来る。バックも同じスピードで戻ってこられる。約2時間近く活動可能で、低重心設計のため、80度傾いても転倒しない安定性を持つ。競技会以外では、この日が初のお披露目となった。
 実際はパソコン画面を見ながら遠隔操作するが、実証実験では機械サイエンス学科4年、西村健志君が近くで監視しながら操縦した。の合図で「Kenaf」は土煙を上げながら高速回転した後、かなりのスピードで瓦礫の山々を渡った。報道陣の間からは機敏なロボットの動きに驚きの声も上がった。
 は「Kenafは優れた安定性に加え、自由にコントロール出来る性能を持っています」と分かりやすく説明を続けた。
 実証実験では、建物内の鉄製ドアを開けて進むロボット「UMRS」も公開された。今後、これらのロボットは700メートルも奥深く侵入するため、無線が届かないケースへの対応などの課題も提起された。田所会長は「2年後ぐらいには全国どこかの消防署にレスキューロボットを1台でも配備していきたい」と実用化の日が近いことを話していた。
目輝かす本学の3人娘

「レスキューロボ、面白い!!」
(左から)大原さん、川野さん、岡本さん
(左から)大原さん、川野さん、岡本さん
 ロボカップジャパンオープンが開かれた京セラドーム大阪の熱気に包まれ、競技に挑むチームの中で、ひときわ目を引く女子学生。「レスキュー実機リーグ」に参加した本学未来ロボティクス学科1年の川野朋子さん、岡本華奈さん、大原葵さん。レスキューチームが初めて迎えた新人3人娘だ。
 「レスキューロボット、いいじゃないですか。面白いですよ。もう、未来ロボに入るため、迷いなく千葉工大を選びました」と川野さんは目を輝かす。高校1年生の時、テレビ番組での情熱的な学生指導方法を知った。「に教えを受けたい」。その一心が大学進路を決めたという。
 本学で女子学生がレスキューロボットと取り組むのは初めて、とは言う。戸惑いの奥に、大きな期待を込める。世界35カ国以上、4000人を超す研究者や学生らが、ロボカップのプロジェクトに参加する今、本学のニューフェース3人娘も大きくはばたくに違いない、と。
 「将来、私の肩に乗って、鳥のように可愛らしく鳴くロボットを作ってみたい」。大原さんの夢は芝園キャンパスで始まったばかりだ。
7月19日(日)芝園で開催

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