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2018.3.15

地域貢献 初の報告会


本学 県下1町10市と創成探る
ポスター発表を見る参加者たち
ポスター発表を見る参加者たち
 5学部17学科と大学院の各研究科が、千葉県下の地域課題の解決をテーマに日ごろ行っている教育・研究、アクティブラーニング、課外活動などの成果を一堂に集めた初の「千葉工大地域貢献プロジェクト報告会」が2月28日、津田沼キャンパス7号館で開催された。
 ポスターセッション方式で報告されたプロジェクトは産官学融合課や教務課、附属研究所、fuRoが行っているものを含めて合計34。
 プロジェクトの対象地域は、本学と包括連携協定を結んでいる御宿町と香取、習志野、千葉、浦安の4市のほか、南房総、勝浦、銚子、一宮、いすみ、船橋の合わせて1町10市。御宿町の石田義廣町長をはじめ大半の市から担当者が見学に訪れ、報告者の教職員や学生たちと活発な交流を繰り広げていた。
 報告会の冒頭、あいさつした小宮一仁学長は「地域と大学とのつながりは、一方が他方に貢献するのではなく、ウイン・ウインの関係が大切。お互いに知恵を出し合って、新たな地域創成に取り組んでいくことが重要だ」と強調した。
 また、石田御宿町長は同町がメキシコとの国際交流で行っている同国の選抜大学生の日本研修に本学が全面協力していることや、昨年10月に開催した「千葉工大ロケットフェスティバル」などを例に挙げ、「御宿の活性化に多大なご尽力をいただいていることに感謝している」とあいさつした。
 この報告会を企画し、開催にこぎ着けた地域貢献担当の鎌田元弘副学長は「本学の地域貢献活動の狙いは、学生と教職員が一体となって大学全体で地域の課題解決、資源活用などに取り組むところにある。とりわけ5学部17学科の知財を活用して、いろいろな分野の課題解決に取り組むプログラムを構築できることが強みだ。その中で学生を鍛え、社会に有用な人材を輩出するという大学本来の使命を一層推進していきたい」と話している。

メテオ計画 流星自動検出へ コンペ


ステアラボとPERCが初共催
 人工知能・ソフトウェア技術研究センター(STAIR Lab=ステアラボ)と惑星探査研究センター(PERC)が初めて共催する千葉工大ならではのコンペティション「メテオサーチチャレンジ」が3月3日、スタートした。
 国際宇宙ステーション(ISS)から超高感度CMOSカラーハイビジョンカメラで流星を長期連続観測するPERCの「メテオプロジェクト」が始まったのは2016年7月7日。これまでにPERCには200時間以上の観測動画データが届き、そのデータから600個以上の流星が見つかっている。
 しかし、動画上の流星を見つける作業はすべて研究員の目視で行われており、約半分のデータが未確認の状態だ。このため流星を自動で検出するソフトウエアの開発が期待されていた。
 そこでステアラボとPERCが共同で、動画上の流星を検出するアルゴリズムの性能を競うコンペを開催することになり、3月3日、東京スカイツリータウンキャンパスで開かれた「ステアラボ人工知能シンポジウム2018」=下の記事参照=に合わせてキックオフイベントが行われ、ステアラボの吉川友也主任研究員とPERCの千秋博紀上席研究員が講演した。
 吉川主任研究員によると、①動画には地球上の都市の光、雷、放射線によるノイズなど、さまざまな光が映っており、その中から流星の光を正しく検出しなければならない②動画上の流星はただの“光る点”でしかないため、時間軸の方向を捉える工夫が必要③応募者に提供されるデータセットでは、流星が映っているデータ(正例)200本に対し、映っていないデータ(負例)は9800本あるため、この不均衡を解決しなければならない――などの難関が待ち構えているという。
 コンペは今年6月30日終了。賞金は第1位30万円▽第2位15万円▽第3位8万円。

分析プロ3人が講演


ステアラボ2回目のAIシンポ
 人工知能・ソフトウェア技術研究センターは3月3日、東京スカイツリータウンキャンパスで「ステアラボ人工知能シンポジウム2018」を開いた=写真
 昨年に続いて2回目となる今回のテーマは「データ分析コンテストに着目して」。参加者定員の150人を大きく上回る369人の申し込みがあり、「千葉工大ステアラボ」の知名度と存在感を示す形となった。
 講師はデータ分析コンテストの分野ではいずれも世界的な“超”有名人の(株)Studio Ousiaの山田育矢氏▽(株)Preferred Networksの秋葉拓哉氏▽(株)リクルートテクノロジーズ Advanced Technology Labの小嵜耕平氏の3人。
 山田氏は「知識ベースを活用した自然言語処理の手法とその応用」▽秋葉氏は「深層学習によるKaggle画像分類コンテストへのアプローチ」▽小嵜氏は「データ分析コンテストの勝者解答から学ぶ」と題してそれぞれ講演。
 申込者の約6割は企業の開発職と研究職で、これに企業のその他の職種を合わせると企業関係者が全体の8割を超えた。
 ここ数年、盛んになってきたコンペティション形式のデータ分析コンテストは、企業側にとっては難度の高い課題を参加データサイエンティストに解いてもらえるメリットがある。一方、参加者側も普段は眼にすることが難しい企業のデータに触れられる利点があり、ウイン・ウインの関係が成り立っている。
 この日の参加者の顔ぶれも、このような人工知能の世界の1つの傾向を表しているようだ。
 このシンポジウムの「まとめ」と題したツイッターには、直後から「名だたるコンペ参加者からの講演の後の『メテオ』の説明もよかった」「とても面白く、主催者・発表者の皆さまに感謝」などの投稿が数多く寄せられている。

青木准教授、宇井さんが講演


ちば新事業創出NWセミナー
 千葉県産業振興センターが産学官連携促進の一環として開催している「ちば新事業創出ネットワークセミナー」で2月14日、本学未来ロボティクス学科の青木岳史准教授と、同学科卒業生で介護機器開発ベンチャーの(株)aba代表取締役、宇井吉美さん(大学院工学研究科博士後期課程2年)が講演した。
 青木准教授の講演テーマは「新しいロボットメカニズムの開発〜球体外殻を持つ歩行ロボットの研究〜」。
 このロボットは、災害現場の被害状況などを探索するのが目的。レスキュー隊が災害現場に投げ入れると、回転や4足歩行、跳躍などを自律で行って不整地を自在に動き回り、内臓カメラで周辺を撮影して、その情報を前線基地に送ってくる機能を想定して、開発が進められている。
 青木准教授は、デザインコンセプトから球体外殻の構造、脚機構の設計、制御システムの構成、さらに動作実験とそれに基づく改良、今後の研究の展開などを、実験データなどを駆使しながら解説した。
 宇井さんの講演テーマは「ロボット技術で、誰もが介護できる未來を!〜AI機能搭載非装着排泄センサーHelppad(ヘルプパッド)の開発〜」。
 「Helppad」はabaがパラマウントベッド(株)と共同開発した介護用排泄検知シートで、今春に発売される。
 特長は①ベッドの上に敷くだけで使え、人体に非装着②尿と大便の両方を検知する③個人差のある臭いを学習する。
 この機能を活用して、要介護者個々の排泄リズムをパターン表化し、介護業務の効率化やケアの質向上、将来的には個々の要介護者に最適な食品や薬品の選定、福祉用具の最適化……など多くの課題を解決。介護に携わる人たちの負担も軽減し、介護現場に明るい未来をもたらすと宇井さんは訴えた。
 千葉市中央区のホテルで開かれたこの講演会にはものづくり企業のほか、宇井さんの講演を聴こうと介護業界、福祉行政関係者など全部で約70人が参加した。
講演する㊧青木准教授と㊨宇井さん 講演する㊧青木准教授と㊨宇井さん
講演する㊧青木准教授と㊨宇井さん