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2017.5.15

AIが花を見分け


406種 深層学習 AreaⅠに新展示
 東京スカイツリータウンキャンパスのAreaⅠ(ロボット技術ゾーン)に4月6日、人工知能・ソフトウエア技術研究センター(STAIR Lab=ステアラボ)が開発した人工知能(AI)で花を識別する「hananona(ハナノナ)」が新しく加わった。また、世界最大級の可搬重量性能を持つ大型2足歩行ロボット「core」や未来の乗り物のコンセプトモデル「HallucⅡ」などが新たに展示された。
花の種類を識別する「hananona」
花の種類を識別する「hananona」
 「hananona」は人工知能が大量の訓練データと深層学習によって獲得した分類能力を可視化する体験型のシステム。テーブル上に置かれた写真集や絵本などから、好きな花の絵や写真を備え付けのカメラで撮影すると、人工知能が解析して花の種類を判定。その結果が正面にあるディスプレー上の「花マップ」に表示される。
 「花マップ」は、人工知能が約30万枚の花の写真を学習した結果を可視化したもの。406種類の花を分類する。カメラで撮影された画像がバラバラに分解されてディスプレーに吸い込まれていくという演出で作られた動画が見学者の興味を誘っている。
 人工知能を使った画像認識の技術は急速に進歩している。例えば船や食器、消防士、動物といった雑多な大小さまざまの物の画像を高い精度で認識する技術もある。「hananona」はそれと基本的に同じ技術を使っているが、花だけに特化し、406種類もの花を認識できるようにしたケースはこれが初めて。
 ステアラボの竹内彰一副所長は「一般の人から見ると結構難しい花の見分けを人工知能がどこまでやれるか、そこをいろいろ体験してもらいたい」と話している。

超重量2足coreや
“輪切りHallucⅡ”も


「HallucⅡ」 HallucⅡの輪切りが見られる「ロボット解剖学」
「HallucⅡ」 HallucⅡの輪切りが見られる「ロボット解剖学」
 AreaⅠにこのほか新たに登場したのは「core」「ロボット解剖学」「HallucⅡ/HallucⅡ」の3コーナー。
 coreは重さ100キロの物を載せて、平坦な床面や段差・階段がある場所などを踏破できる全長1.9メートル、体重230キロの大型・超重量級の2足歩行ロボット。
 左右の足を構成する6つの関節には、未来ロボット技術研究センター(fuRo)が独自に開発したモーターや電磁ブレーキ、絶対角度センサーからなる大型モーターシステムが、足裏部には床からの衝撃を大幅に軽減することのできる衝撃吸収機構が搭載されている。
 『ガンダム』シリーズなどに登場する、人が乗って操縦する巨大なヒト型ロボットのベースに見立てて「core」の動画を見るのも楽しい。
 「ロボット解剖学」は、展示されている「HallucⅡ」をロボットアームの先端に取り付けられたカメラでいろいろな角度から捉え、そのリアルタイム画像とCGのHallucⅡを輪切りにした画像を重ね合わせながら、まるでロボットの複雑な内部構造をスキャンしているかのように見せる工夫をこらせている。見学者は以前、火星探査船操縦シミュレーターとして使用されていたコックピットのスクリーンでその映像を見ることができる。
 HallucⅡは56個のモーターで動く8本の脚・車輪を駆使し、状況に応じてビークル(車両)、インセクト(昆虫)、アニマル(動物)の3形態に変形するのが特徴。これによって効率的な速い移動や、凸凹道を歩いて進むなどの柔軟な移動ができる。また真横や斜めなど、あらゆる方向に進むこともできる。
 これらの性能をさらにグレードアップし、ジェスチャー認識による操作もできるようにしたHallucⅡの動きは、展示コーナーに設置されたモニターの画面で見ることができる。
2足歩行ロボット「core」
2足歩行ロボット「core」
クールビス実施中 5月1日〜9月30日
OPEN CAMPUS