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2017.1.15

“夢の火星探査車”を審査


千秋上席研究員 千葉の小・中学生コンテストで
 小学生と中学生が自分たちで作った火星ローバー(探査車)の性能やデザインを競うコンテストが12月3日、千葉市中央区の千葉市科学館で開かれ、惑星探査研究センター(PERC)の千秋博紀上席研究員が小学生部門の審査員を務めた。
 今年で18回を迎えた「火星ローバーコンテストin千葉」にPERCはこれまでも審査員を派遣しており、千秋上席研究員は3回目。
 コンテストは参加者の小・中学生がアイデアを出し合い、試行錯誤を繰り返して製作したローバーを、火星表面を模したコースで走らせたり、与えられたミッションをクリアしたりするもの。これによって子どもたちの目を宇宙や機械に向け、科学技術への関心を高めるのが狙いだ。
 今回、小学生部門には“入門編”のベーシック部門と“応用編”のアドバンス部門とを合わせて26チームが参加。千秋上席研究員は千葉大学の教員と組んでチームごとにアドバイスを与えたり、出場ローバーを評価して各種の賞を決めたりしていた。
 千葉市は「科学都市」を標榜して科学教育振興策や先端技術を活用した街の活性化戦略などを実施。本学とは昨年4月に包括協定を締結している。
千秋上席研究員の話
 私たちはこのコンテストを通じて、子どもたちがものづくりの面白さや試行錯誤の大切さを学んでくれることを期待しています。これはすぐに成果が得られるものではありませんが、継続することで子どもたち自身とサポートする先生方、保護者のレベルも確実に上がっていると実感しています。こうして科学・工学の底上げをすることが、研究や教育のレベルアップにつながると思います。これは千葉市と本学の包括協定の目指すところでもあります。
表彰された小学生たちと記念撮影する千秋上席研究員(後列左端)
表彰された小学生たちと記念撮影する千秋上席研究員(後列左端)
作品にアドバイスする千秋上席研究員(中央)
作品にアドバイスする千秋上席研究員(中央)

クリスマス小学生WS


きぼーるで中川助教と学生たち
 千葉市科学館(愛称きぼーる=千葉市中央区)で小学生向けクリスマス・ワークショップ(WS)が昨年10月29、30日、11月5、6日の4日間、本学情報ネットワーク学科の中川助教らと千葉商工会議所の協力で開かれ、延べ約70人の子どもたちが「クリスマスリース」と「LEDキャンドル」作りを楽しんだ=写真
 千葉市中央公園や通りをイルミネーションで彩る「ルミラージュちば2016」(12月1日〜2月14日)の点灯式に先立つ催しで今年で2回目。
 WS内容は中川助教が企画。ボランティアのスタッフとして同学科の黒田旬彦さん、重原大樹さん、庄司和史さん、中野内亮祐さん、今井駿汰さん、薩摩顕蔵さんら6人のほか、大学事務局の小川靖夫局次長、仲村啓介課長が加わった。
 子どもたちは用意された材料などで、リースとキャンドルを自由な発想で作り上げ、LEDキャンドルは自宅に飾ろうと持ち帰った。リースはルミラージュちば開催中、きぼーる1階アトリウムの大きなクリスマスツリーに飾り付けられ、来場した人々の記念撮影の場としてにぎわった。

ゲームで基礎力向上


遠山教授講演 9教員もポスター発表
 千葉エリアの大学や研究機関の研究成果を域内の企業や地域社会の発展につなげようという「千葉エリア産学官連携オープンフォーラム」が昨年11月25日、千葉大学西千葉キャンパスで開かれ、本学プロジェクトマネジメント学科の遠山正朗教授が研究シーズ講演したほか9人の教員が研究をポスター発表した。
 遠山教授の発表は「PM教育を介して社会人基礎力を育成するヒトづくりプログラム研究」。マネジメントゲームを活用して社会人基礎力の向上を効率的に行う教育の理論と応用例を、ポスター展示と併せて紹介した。
 この中で同教授は、1新入社員教育などに用いられている物語形式のゲームブック210の選択肢から3を選ぶ意思決定をするスリーテン――という2種類のゲームをテーマに、授業でこれらのゲームを作製した学生と、そのゲームでプレーした側がともに社会人としての素養を向上させていることを報告。
 さらに千葉県が募集した「消費生活の安定および向上に向けた県民提案事業」に、同学科経営システムコース3年生の事業「作業分解図により食材から地産地消を理解するカードゲームの開発」が県の委託事業として採択され、学生によって実際にゲームが作られつつあることを発表した。
 経営システムコースでは、ほかにも社会人基礎力向上のための「大学生カレーコンペティション」プロジェクトが「ちば食育ボランティア」に登録されている。
 遠山教授は「ポスターセッションでは、企業関係者から『このカードゲームを社員教育に使えないだろうか』という話があり、学と官だけでなく、産との連携にも生かせるかなという手応えを感じています」と話している。
 ポスター発表した本学教員は以下のとおり。
 長瀬亮教授(機械電子創成工学科)▽森信一郎教授(知能メディア工学科)▽河合剛太教授(生命科学科)▽松島大教授(都市環境工学科)▽松崎元教授(デザイン科学科)▽上田隆一准教授(未来ロボティクス学科)▽伊與田光宏教授(情報工学科)▽山崎治准教授(情報ネットワーク学科)▽岩下基教授(経営情報科学科)

「研究への思い」講演


荒井上席研究員 キャンパス見学DAYで
 「津田沼キャンパス見学DAY」の12月18日、惑星探査研究センター(PERC)の荒井朋子上席研究員が、訪れた高校生・受験生や保護者・一般来場者たちに、惑星科学研究者としての経験や生き方を語りかけ、大きな拍手を浴びた=写真
 講演は荒井上席研究員もメンバーに加わっている「千葉工業大学・女性研究者ネットワークフォーラム」の企画で、タイトルは「宇宙からの流星観測プロジェクト『メテオ』最新状況と今後の展望」。会場の4号館435教室には約100人が詰めかけた。
 荒井上席研究員は「地球や太陽系の歴史を記録する化石や隕石について知りたい」との思いから大学は地質学科に進んだ。大学院時代にアメリカ航空宇宙局(NASA)のジョンソンスペースセンターでアポロ探査で持ち帰られた月の岩石を研究する機会に恵まれ、地球外の天体の探査に興味を持ち、学位取得後は宇宙開発事業団=宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前身=に就職した。
 配属された国際宇宙ステーションプロジェクトの職場では約200人の同僚職員の中で、女性は宇宙飛行士になった山崎直子さんと2人だけだったこと。その後、月など地球外の天体の「岩石」を研究し続けたいとの思いから、JAXAを退職し国立極地研究所を経て本学に移籍。2013年に参加した米国の南極隕石探査隊では研究者10人のうち4人が女性だった――など、日米欧の研究環境の違いを紹介した。
 現在取り組んでいる「メテオ」は、地球に飛来する流星の塵を手がかりに「生命と太陽系の起源」に挑む壮大なプロジェクトで、民生品を活用し開発期間とコストを抑えたコンパクトな宇宙科学ミッションでもある。2度の打ち上げロケット爆発や国際宇宙ステーション側の不具合に遭遇しながらも、流星観測は昨年7月、順調にスタート。近く最初の研究成果について論文執筆にかかる予定だと語った。
 千葉工大・女性研究者ネットワークフォーラムは小浦節子応用化学科教授の呼びかけで2015年5月に発足。現在14人の女性教員が参加している。ネットワークの目的は女子学生にとどまらず全ての学生に、将来どんな道があるかというロールモデルを示すこと。また、社会の多様化に伴う女性研究者の活動分野の広がり(ダイバーシティー)についても学生たちに紹介したいとしている。
 小浦教授は荒井上席研究員の講演について「いろんな研究には女性・男性の差があるのではなく、いかに強い思いで挑むかが重要なのだと感じました」と話した。

新種サンゴに命名


松本研究員の名前
 ニュージーランドの深海サンゴの新種に惑星探査研究センター(PERC)の松本亜沙子研究員(非常勤=写真)の名前が付けられた。
 松本研究員が昨年9月、深海サンゴシンポジウム(米ボストンで開催)での研究発表に先立ち、スミソニアン自然史博物館(ワシントン)に調査に立ち寄った際、パーティー会場で、同館のサンゴ研究者で旧知のステファン・D・ケアンズ博士からサプライズがあった。
 ケアンズ博士は松本研究員に、ニュージーランドの深海サンゴ(八放サンゴ)についての自著をプレゼント。献本メッセージに「See p.106!(106ページを見よ!)」の文字が。開いてみると新属・新種の深海サンゴに「Pachyprimnoa asakoae gen. et. sp.nov.」と、松本研究員の「アサコ」の名前がつけられていた。
 松本研究員は「ケアンズ博士のような重鎮の研究者に献名していただけるとは、身に余る光栄で本当に驚きました。研究のバトンを受け継げるよう努力を続けたいと思いました」と語った。
 松本研究員は東京大を卒業後、同大の地球惑星科学・松井孝典(現PERC所長)研究室などで生命の起源・進化、極限生物(超深海、深海、超低水温)などを研究。東京大海洋研究所に在籍当時、世界で初めて日本海溝の超深海7703メートルでの生きた魚の撮影に成功したことで知られる。