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2016.10.15

「ロボパ!」快調発進


長野、仙台、福岡で子どもたちに人気

 ロボットにさわって、知って、一緒に学ぼうよ!
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の古田貴之所長が最先端ロボットの実演を交えて、分かりやすく面白く、ロボットの魅力を子どもたちに語りかける新たなイベント「ロボパ!」が10月2日長野市、同16日仙台市で開催され、会場定員を上回る申し込みを集めて大盛況だった。
 「ロボパ!」は「ロボットパーク」の略。2004年からfuRoが各地で開催してきた「ロボット解体LIVE」の後継イベントで、主な対象は小・中学生。
 長野市で会場に当てられた長野放送NBSホールには、fuRoが開発した災害対応ロボットの「櫻壱號」「櫻弐號」、未来のロボットビークル「HallucIIX(ハルク・ツー・カイ)」、近未来のパーソナルモビリティー「ILY―A(アイリーエー)」、どんな方向にも移動可能な「全方位移動型電動車イス」が運び込まれ、子どもたちを待ち構えた。
 古田所長はこれら自慢のロボットをユーモアを交えながら紹介し、夢を持って一生懸命に頑張れば、だれでも将来、こんな優れたロボットを作れると訴えかけた。
 講演後の実演では、古田所長が「外国ではゴキブリと呼ばれた」と紹介した「HallucIIX」のユーモラスな動きや「櫻壱號」「櫻弐號」の急な階段の昇り降りに、子どもたちは目を輝かせ、歓声を上げていた。
 イベント終了後はロボットや古田所長との記念撮影。子どもたちと付き添いの父母などに「最先端ロボットといえばfuRo、千葉工大」がしっかりと印象づけられたようだ。
 講演に参加した子供たちからは、「ゴキブリのようなロボットがとても面白かった」「車いすロボットが横にも動いたのでビックリした」「楽しかった。来てよかった」と感想が寄せられた。
 11月27日には福岡市でも開催される。

 長野と仙台での開催に当たっては、会場の集客に本学OB、同窓会会員の多くの協力を得て、両会場とも満員の盛況となった。また、熊本地震で倒壊の危機にさらされた熊本県宇土市庁舎の内部検証に本学建築学科の藤井賢志教授が当たり、fuRoが「櫻壱號」を投入したことから、同市も後援に加わっている。

長野の会場でロボットを説明する古田所長 電動車イスにも子どもたちは興味津々 仙台の会場で親子に語りかける古田所長
長野の会場でロボットを説明する古田所長 電動車イスにも子どもたちは興味津々 仙台の会場で親子に語りかける古田所長
福岡市の開催予告ポスター
福岡市の開催予告ポスター

熊本地震被害の宇土市役所 藤井教授とfuRoチーム


「櫻壱號」で内部調査
 熊本地震(今年4月14、16日)で崩壊寸前の被害を受けた熊本県・宇土市役所の内部被害を解明するため、建築学科の藤井賢志教授と未来ロボット技術研究センター(fuRo)の古田貴之所長、吉田智章主席研究員、西村健志研究員のチームが6月14日、現地で本庁舎の内部調査に挑んだ。
 宇土市役所は鉄筋コンクリート5階建て。上部が大きくゆがみ危険なため立ち入り禁止となった姿はニュースでたびたび報道され、市は再建へ向けて義援金を募っている。
 藤井教授は地震後の4月末、現地に赴き「外観から見た限り、南面と西面の4階が著しく壊れているのに、3階以下で目立った被害が生じていない。加えて、北東側の階段棟の方はあまり壊れていないのが特徴的。被害が大きいと考えられる4階内部を調べたい」と希望。これを受け、古田fuRo所長が指揮して吉田主席研究員を中心に、災害対応型ロボット「櫻壱號」による内部調査計画が立てられた。
 内部調査は宇土市役所が全面協力、フジテレビ系列報道番組「Mr.サンデー」取材班と共同で実施された。「櫻壱號」を西村研究員が操縦し、調査は2時間以内と厳しい制約の中、着々と任務をこなした(調査ビデオはfuRoホームページ内http://www.furo.org/ja/works/sakura/movie.htmlで公開中)。
 「櫻壱號」が撮影した内部を3D画像化して分析した結果、本庁舎事務棟4階の中柱が著しく損傷して縮み、4階天井が1メートル近く下がり、5階床が平均で6度傾斜していた。また4、5階の事務棟と階段棟をつなぐ床が著しく損傷していたことが判明した。
 一方、建設当時(1960年代)の図面から「本庁舎は、上階ほど柱のサイズが極端に小さくなっている」と藤井教授は指摘。
 これと内部調査結果を併せ、被害に至るシナリオを「本庁舎は、壁が多い階段棟と壁のほとんどない事務棟が床でつながっている構造で、地震時に事務棟が大きく振られるように揺れたのではないか。その結果、柱が細くなっていた4階で事務棟中柱が大きく壊れ、5階より上の重さを支えられなくなった。4階と5階の床は、事務棟から階段棟に地震力を流す役割をしていたが、本震時に伝えきれないぐらい大きな力が作用して損傷した」と推測した。
 藤井教授は「建物にこれだけの被害が生じながら、本震発生が人のいない深夜だったのは不幸中の幸い。日本中に、宇土市役所のように古い耐震基準で建設された建物が数多く残っている。建て替えや補強など地震対策をどう考えるか。昔から言われていることではあるが、非常に重要な課題」と話している。
崩壊の危険で人が立ち入れない宇土市役所 建物へと進む「櫻壱號」 「櫻壱號」を操縦する(机の前列手前から)西村研究員、吉田主席研究員、古田所長、藤井教授
崩壊の危険で人が立ち入れない宇土市役所 建物へと進む「櫻壱號」 「櫻壱號」を操縦する(机の前列手前から)西村研究員、吉田主席研究員、古田所長、藤井教授
「櫻壱號」が捉えた、天井が崩れ落ちた宇土市役所の内部
「櫻壱號」が捉えた、天井が崩れ落ちた宇土市役所の内部