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2016.10.15

OCCプロセスで鋳造した合金の評価研究


澤谷さん優秀ポスター賞
 金属材料の国際会議「第9回環太平洋先端材料とプロセシング国際会議(PRICM9)」(8月1〜5日、京都市左京区の国立京都国際会館で開催)で澤谷拓馬さん(機械サイエンス専攻修士2年=本保元次郎研究室=写真)が「加熱鋳型式連続鋳造法OCCプロセスを用いて作製したAl-Fe合金の一方向凝固組織と結晶方位」を英語でポスター発表し、Excellent Poster Award for Young Scientist(若手科学者優秀ポスター賞)を受賞した。
 OCCプロセスは大野篤美名誉教授が生み出し本保教授が引き継ぐ千葉工大発の、世界をリードする鋳造法。従来の鋳造(冷却鋳型で外側から固める)に対しOCCは逆に鋳型を加熱し金属を内部から固める。不純物などの偏析が防げるので耐久・耐食・耐疲労、加工性が飛躍的に向上し、超薄箔や極細線の加工も容易になった。
 澤谷さんはOCCプロセスでAl-Fe合金を作製し、優位性を評価した。自動車のワイヤハーネス(電線束)などに応用すれば軽量化・燃費向上、アルミのリサイクル性の向上などが期待でき、環境に貢献できる研究だ。
 実験で作った実物を会場に持参し、示しながら説明。英文ポスターは、日本語より説明文が長くなったのでレイアウトが難しかったという。
 受賞に澤谷さんは「とてもうれしいです。初めての英語発表でしたが、やり遂げることができました。英語力のなさを痛感したので、これをバネに精進します」と語った。
 PRICMは環太平洋5カ国(日本、中国、韓国、オーストラリア、米国)の金属材料関係学会が1992年から約3年ごとに共同開催。今回は日本金属学会が主催し日本で初開催された。

移動ロボット 自己位置推定の新手法


友納副所長 入江主任研究員
ROBOMEC表彰
入江主任研究員 友納副所長
入江主任研究員 友納副所長
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の友納正裕副所長と入江清主任研究員が昨年3月、第20回ロボティクスシンポジアで発表し優秀論文賞を獲得した「2次元市街地図を用いた初めて訪れる場所における自己位置推定-二乗損失相互情報量による手法-」が、日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門の2016年度ROBOMEC表彰論文に選ばれた。同部門講演会2016(6月8〜11日、神奈川県横浜市の大さん橋ホールで開催)で表彰された。
 論文は、Google Mapのような既存の市街地図を用いて移動ロボットの自己位置を推定する新手法を提案したもの。統計的依存性を最大化して、従来必要だった事前情報や物体認識を用いず直接、自己位置推定が可能なことを示した。
 ROBOMEC表彰は該当年度に高い評価を得た論文著者を顕彰している。入江主任研究員は「(同一論文で)重ねて賞を頂き大変光栄に思います。今後も完成度を高めるべく頑張りたいと思います」とコメントした。
 ロボティクスシンポジアは、ロボット分野の3大主要学会=計測自動制御学会、日本機械学会、日本ロボット学会=が年1回共催するロボット学で最高レベルの国内会議。口頭発表された論文が査読審査され、最優秀論文賞1件と優秀論文賞1〜2件が決まる。

秋季研究発表大会で齋藤さん、細谷さん、玉田さん


PM関係3人 奨励賞
 プロジェクトマネジメント学会の2016年度秋季研究発表大会(9月1、2日、広島市の広島修道大で開催)で、本学の齋藤みいるさん(マネジメント工学専攻1年=武田善行研究室)、細谷直紀さん(プロジェクトマネジメント学科3年=下村道夫研究室)、玉田亮さん(同)の3人が研究発表し、ともに学生研究発表賞奨励賞を受賞した。研究内容と受賞の感想は以下の通り。
★齋藤みいるさん=「係り受け関係にある単語の組合せを考慮したP/N分析法の提案」
 普段使われる文書内から単語のペアを作成することで、その文書が肯定的な内容か否定的なのかを分類する研究をした。
 ウェブ上のブログなどに登場する意見は量が膨大で、さまざまな方法で整理が行われている。P/N(ポジティブ・ネガティブ)分析は文書の内容が肯定的か否定的かで分類する。齋藤さんらはその識別向上を狙った。
 従来は単語一つずつにP/N値を割り当てる分析法だった。齋藤さんらは単語と単語の修飾・被修飾といった係り受け関係に着目し、単語のペアを作成する方法で識別向上を図った。
 例えば「最悪な」の語は単独で使うより「対応」と組み合わせると、より否定値が大きくなった。「大きな」は肯定値だが、「ごみ」という語を組み合わせると逆転して否定値となった――など。
 今回は形容詞との組み合わせを主体にしたが、今後は名詞・動詞などに広げていく。
 「なんとか受賞でき、うれしいです。武田先生と手伝ってくれた研究室の後輩に感謝します。(もっと上の賞を目指し)今後も頑張りたい」
★細谷直紀さん=「PBLにおける心の持ち方がプロジェクトに与える影響に関する一考察」
 プロジェクト推進中は心の持ち方が大切。例えばポジティブに考えるべき事象をネガティブに考えてしまうと、本人やメンバーのモチベーションが低下。逆にポジティブに捉えすぎると品質低下、納期遅れ、コスト増につながる恐れがある。
 細谷さんは、プロジェクト経験が浅い大学生のPBL(Project Based Learning=課題解決型学習)に着目。プロセス群ごとに直面する主な事象に対する“あるべき心の持ち方”と、それを誤った場合のプロジェクトに与える影響を整理し、それぞれの誤りに対する回避・低減策を提案した。
 例えば〈メンバーのさぼり・非協力〉=作業が増え自分が損していると考えず、自分の学習機会、成長機会が増えたと捉える。そんな気持ちにさせる方法→自身のスキルアップ状況を可視化する。
 〈教員に説明したら、大幅な修正が必要となってしまった〉=面倒が増えたと思わず、考えを改善する貴重な機会と捉える。→関係者(先輩、同僚)が助言する――など。
 「正直、自信がなかったので、驚きとうれしさが混じっています。受賞はとても光栄で今後の励みになります」
★玉田亮さん=「卒業旅行プロジェクトにおける同行者選択方法の提案」
 大学生活を締めくくる卒業旅行を誰と行くか。相手との親密度だけで選ぶと、旅行目的、旅行先の興味、体力、金銭感覚の相違などで満足度の不一致が生じかねない。失敗しない同行者選びを方式化すると――。
 玉田さんらは考慮すべき条件を▽親密度▽旅行目的(対象・手段含む)▽費用▽体力――と設定。旅行目的・手段の一致性、計画者との親密度などをレベル化、数値化していった。そして目的・必要費用・必要な徒歩移動距離からなる「卒業旅行ベクトル」を設定。次に、同じ要素と親密度からなる「同行候補者ベクトル」を設定し、卒業旅行ベクトルとのユークリッド距離を求める。その値が小さい者順に同行者の人数分だけ選定すればよい、というのが考え出した方式だ。
 「素直にうれしい気持ちであふれています。今後の研究への励みになります」

工学系に限らず高・大連携で人材育成協定


津田沼高校と
 本学は8月2日、千葉県立津田沼高校(習志野市秋津五丁目=安田一夫校長、生徒数約千人)と高校・大学間で教育の連携協定を締結した。
 高校側は在校生が大学教育・研究に触れることで、学ぶ意義や将来の夢に目覚めてもらいたいと希望。本学は教育連携で地域社会の人材育成に寄与したいと考えた。
 津田沼高は本学津田沼、新習志野のどちらのキャンパスからも近い中間に位置する。今後、工学系に限らない高等学校との高大連携で新たな可能性を探る。
 締結式は本学津田沼校舎1号館20階ラウンジで行われ、安田校長=写真右=と小宮学長=同左=が協定書にサインし握手を交わした。

東京高専とも協定


 本学は9月30日、国立高等専門学校機構東京工業高等専門学校(東京都八王子市=新保幸一校長、生徒数約千人)と包括的な連携協定を締結した。国際的に活躍できる有能な工科系人材を地域で育てるためで教育・研究活動全般に係るもの。
 締結式は本学津田沼キャンパスで行われ、小宮一仁学長と新保校長が締結書を交わした。

チュラロンコン大薬学部と交流協定


 小宮一仁学長は9月22日、タイ・バンコクを訪問し、チュラロンコン大学薬学部(サークルブムルンシル学部長)と交流協定を締結した。本学と交流協定を結んだ海外大学はこれで16カ国・地域31大学となった。
 チュラロンコン大はタイ最古の最も権威ある国立大。18学部と種々の研究機関がある。交換留学など幅広い学術交流が期待されている。