NEWS CIT ニュースシーアイティ

2016.3.15

下吉君 学生最高4位


第28回ROBO‐ONEで、近藤科学賞も
 二足歩行ロボットの格闘競技「第28回ROBO‐ONE」(2月13、14日・茨城県つくば市のつくばカピオ サイバーダインアリーナで開催=二足歩行ロボット協会主催)で、未来ロボティクス学科の下吉拓明君(3年・林原靖男研究室)が製作した「桔梗」が4位に入賞、デザインの美しさや完成度の高さで「近藤科学賞」も授与された。
 今大会には国内ロボットのほか韓国から数体が参戦、計112体が激闘を繰り広げた。
 試合は攻撃(パンチ、キック、投げなど)で相手を倒し合い、先に3回ダウンさせた方が勝ち。
 レフェリーの判定基準が厳しくなったこともあり、例年上位に進出する学生チームがことごとく敗退。そんな中で、下吉君の「桔梗」が準決勝進出を決めると、会場はどよめき、主催者側からも賞賛の声が上がった。
 準決勝では常連の社会人エンジニアに阻まれ、社会人の1〜3位独占を許した。
 下吉君は文化会の総合工学研究会で二足歩行ロボットの開発を続けながら、学内外のイベントや小中学校でのロボット操縦体験教室に参加し、工学技術の普及・教育を助けている。
 ROBO‐ONEは2002年から毎年、全国大会を年2回開催。参加者の技術向上とエンターテインメント性を高めるため、大会ごとにルールが改正されている。近藤科学賞はラジコン機器やロボット関連製品を製造販売する近藤科学(株)の賞。
下吉君と「桔梗」(右の奥のロボット)の対戦風景 下吉君と「桔梗」(右の奥のロボット)の対戦風景
下吉君と「桔梗」(右の奥のロボット)の対戦風景

原主任研究員 優秀講演賞


自律移動ロボットのシステム設計で
原主任研究員
原主任研究員
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の原祥尭主任研究員が第16回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(昨年12月14〜16日、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開催)で「電動車両モータコントローラのROS対応と自律走行に向けたシステム設計」を発表し、優秀講演賞を受賞した。
 発表内容は、自律移動ロボットのシステム設計について。原主任研究員らは、ロボットがさまざまな歩行者空間で自律走行できるよう、高トルクで走破性能が高い移動ロボットを開発。自律走行の実証実験「つくばチャレンジ」では、常に上位の結果を残している。
 今回は、産業レベルで実績があるモータコントローラ(モーターの制御信号を出す機器)と走行機構を活用し、ロボティクスで標準的に使われるROS(Robot Operating System)で、パソコンから制御できるシステムを構築した。これにより、路面の凹凸が大きい屋外でも走行実験ができるようになり、自律移動技術の開発を促進すると期待されている。
 原主任研究員は「評価していただき光栄です。今後は屋外の実環境での走行実験によりデータを収集し、より高度な自律走行の実現へ励みたい」とコメントしている。

庄司さんら優秀講演賞


福祉機器に3Dプリンター活用
 機械サイエンス学科の庄司瞳さん(4年・手嶋吉法研究室)が加わる研究チームが、第16回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(昨年12月14〜16日、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開催)で「3Dプリンタ時代における福祉機器のパラメトリック設計の検討」を発表し、優秀講演賞を受賞した。
 手嶋教授の研究室では、3Dプリンターに関する研究が行われており、今年度は庄司さんら2人の学生が国立障害者リハビリテーションセンター研究所で卒研に取り組んだ。
 福祉機器では、ユーザーごとのカスタマイズが必要なため高価になりがちで、適切な適合は高級機にしか期待できない。設計データに汎用性を持たせ、適合済みの形状データを3Dプリンターで出力させれば、対応が難しかった小児用にも、安価で適合された機器が提供できる。
 研究チームは、まず3Dプリンターで造形した部品の精密な強度特性を調べる引張試験などから始めた。併せて、現在の3Dプリンターに用いられる3次元データ方式について、パラメトリック設計(寸法・体積、幾何データなどのパラメータを変えることで形状を変更できる設計)を取り入れ、中間的データに設計自由度を持たせることで、各人に適合した福祉機器が実現できる可能性があると考えた。
 その単純例を、上肢に障害がある人を対象とした皿について直径、高さ、傾きのパラメータを持つ設計で示してみせた。
 庄司さんは研究者の1人としての受賞で「この研究に携わることができて、とてもうれしいです」と語った。

優秀賞に齋藤君、石田君


27年度 県内大学 卒論発表会
 平成27年度・千葉県内大学卒業論文発表会(県情報サービス産業協会主催、千葉県・県地域IT化推進協など後援)が2月26日、幕張ワールドビジネスガーデン(千葉市美浜区)のマリブウエスト棟で開かれた。情報通信技術の利活用に関する発表会で、学部卒業直前の本学学生・齋藤雄太君(電気電子情報工学科4年・宮田高道研究室)と石田一真君(プロジェクトマネジメント学科4年・竹本篤郎研究室)が卒業論文優秀賞を受賞した。2人の発表内容は次のとおり。

齋藤 雄太君

「グラフベース変換を利用した色差画像符号化」

齋藤 雄太君
 輝度と色差の相関を利用する既存のColorization符号化は、JPEG符号化法と比べ色差画像の符号化効率に優れる一方で、計算量が大きいという問題点があった。齋藤君は均等なブロックに分割した入力輝度画像から重み付きグラフを作成し、このグラフの性質を反映した行列の固有ベクトルを直交基底として用いた変換(グラフベース変換)を行うことを提案。従来手法と比べ、大幅に計算量が削減され符号化効率に優れた符号化を実現した。

石田 一真君

「アジャイル型開発におけるEVM導入に関する提案」

石田 一真君
 ICT(情報通信技術)のシステム開発は従来のウォーターフォール型開発(各工程順に流れ下るように行う)に代わってアジャイル型(短期反復してリスクを最小にする)開発が多くなっている。石田君は、ウォーターフォール型開発管理で使われていたEVM(進捗状況把握管理手法の一つ)を、アジャイル型に対応できるようにする方法を提案。ICT開発をイテレーション(反復)単位で進捗管理し工事進行基準に対応できるように考察した。

小学校2校でロボット出前授業


青木研・米田研 一宮町の活性化に一役
 千葉工大のロボットに実際に触って、科学技術者になる夢を育てよう!
 青木岳史・未来ロボティクス学科准教授と学生たちが2月16日、千葉県一宮町で町立東浪見小学校と一宮小学校の6年生合わせて120人を対象に出前授業を行った。
 町民の減少対策が課題の一宮町は、他地域からの子育て世代の移住などを促して定住人口を増やすための魅力ある町づくりの一環として、町立小2校に普通教室で文教モデルタブレットが使えるICT(情報通信技術)環境を国の地方創生上乗せ交付金を活用して構築。これを利用して2月18日からロボットプログラミング授業を開始した。
 青木准教授の出前授業はこのキックオフイベントとして町側から要請されたもの。同研究室の全方向移動ロボットやボール状の歩行ロボットなど4台と、米田完教授の研究室が開発した歩行ロボットなど3台を持参した。
 授業には青木研4人・米田研3人の学生が参加。子どもたちを3グループに分けてそれぞれ45分ずつ行い、子どもたちは学生が動かす4足や6足の歩行ロボットに乗ったり移動ロボットの思いもかけない動きに歓声を上げたりして初めてのロボット体験を楽しんでいた。
 一宮小学校で行われた授業の1回目には、一宮町の玉川孫一郎町長や町田義昭教育長ら町と教育委員会の幹部も訪れて、授業の様子を見守った。
 玉川町長は「この出前授業を機に、千葉工大ともっと密接な関係を築きたい」と話していた。
ボール状ロボットの動きに興味津々 階段も上れるクローラーロボットに乗る
ボール状ロボットの動きに興味津々 階段も上れるクローラーロボットに乗る

君の技術、君の進路は?


展示会テクサス 本学で開催
 最先端技術を体感して自身の進路に生かそう、と理工系学生のための技術展示会「Te-Ex-Ust(テクサス)inCIT2016」(大学職業指導研究会第四分科会=私大30校加盟=主催)が2月9日、本学津田沼キャンパスで開かれた=写真
 テクサスは学生の就職意識を高めるため2014年度から始められた。技術社会の動向を紹介し、授業や研究で学んだことが社会でどう生かせるのか、学生たちにヒントとなるよう期待するもの。昨年度は東京電機大、(株)ディスコ神楽坂スタジオで開催した。
 今年は本学2、4号館のエントランスや大教室、ラウンジなどを展示会場に、エリエールプロダクト、トヨタテクノクラフト、日本ケミコン、パイオニア、横浜ゴムなど優良 BtoB(企業間取引)企業を中心に約40社がブース出展。製品や技術力をアピールした。
 4号館の教室ではシンポジウムを開催。企業採用担当者や外部講師が「モノづくりの楽しさを知ろう!」と「基本が肝心!今日、身につくビジネスマナー」を講演した。
 会場を訪れた学生たちは他大学の学生も含め約450人。モノづくりを誇る企業の製品や展示を見て回り、現役エンジニアから説明を聞いた。
 本学の小野田貴之・就職課職員は「学生たちが今まで知らなかったことを知るいいきっかけになり、将来を考えるヒントを得たのではないかと思う」と話している。