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2016.2.15

最優秀賞に滝口さん
優秀賞に金田君、昆君


27年度・学生懸賞論文 受賞作決まる
 本学図書館(館長=赤羽弘和・建築都市環境学科教授)が昨年9月18日〜11月14日に募集した平成27年度・第4回学生懸賞論文の受賞者が決まった。課題はA・自由課題、B・東京オリンピック・パラリンピックに向けて先端科学技術はどのように貢献できるか、C・図書館所蔵図書を読んだ感想文――の3つ。
 12点の応募があり、選考の結果、最優秀賞には課題C・滝口亜美さん(デザイン科学科3年)の「『人間工学からの発想』が与えてきたもの」(『人間工学からの発想 クオリティ・ライフの探究』小原二郎著)が選ばれた。
 優秀賞には課題A・金田胤人君(プロジェクトマネジメント学科2年)の「真に自分であるために」と、課題C・昆弘都君(情報ネットワーク学科1年)の『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著)が選ばれた。
 3人にはそれぞれ希望の学習教材が贈られた。
 滝口さんが読んだ本は本学の元理事・小原氏の著作で、滝口さんは、人間を大切にするがゆえに、ほどほどに使いにくさを残す、など人間工学の奥深さに触れた思いをつづった。2年生の授業のときの本で、さらに発見があると思い読み返したという。
 「(過去にデザインした)あの椅子は本当に快適なものなのか、など考えさせられました。もう一度身の周りのことに目を向けてよく考えてみることが大事である、ということを伝えたくて書きました。文章を書くことは得意ではなかったので、少し自信がついたような気がします。直してくださった上野(義雪)先生に感謝します」と語った。
 金田君は自由課題に挑戦。私という人間を殺さずに素敵な人間関係を作るには、と考え、「自分を受け入れる」ことで相手の心を温かな感情で満たしたい、という思いにたどり着くまでを描いた。
 昆君は読んだ本の「すべての悩みは対人関係の悩み」の一文に衝撃を受けた。周りの見方に縛られていた自分に気づき、自身を見つめ直していく過程を書いた。
 審査した委員たちは「受賞作はどれも主張が明確で、自分の言葉で丁寧に論じていた。受け売りではない、自分の考えがはっきりと出ていた」。「惜しくも受賞からは外れたが、日本の残飯問題や教育問題について論じたものもあり、全体の水準は高かった。日頃から疑問に思うことや関心を持っていることについて、本を読んだり思索を深めたりすることが優れた論文作成につながるようだ」などと語った。
最優秀賞の滝口さん(左から2人目)。左は赤羽図書館長、右は小宮学長と屋代智之・情報ネットワーク学科教授
最優秀賞の滝口さん(左から2人目)。左は赤羽図書館長、右は小宮学長と屋代智之・情報ネットワーク学科教授

今村研が再現2模型


“フォスター名建築展”に
 東京・六本木の森美術館で年初から2月14日まで開催された「フォスター+パートナーズ展」に、建築都市環境学科・今村創平准教授の研究室の学生が制作した作品が展示され、注目を集めた。
 「フォスター+パートナーズ」はハイテク建築の分野で世界的な評価を受け、「モダニズムのモーツァルト」と呼ばれるイギリスの建築家、ノーマン・フォスター(80)が率いる国際的建築設計組織。「ガーキン」(ピクルスにするキュウリ)の愛称でロンドン市民に親しまれている「スイス・リ本社ビル」や、東西ドイツ統合の象徴「ドイツ連邦議会新議事堂・ライヒスターク」など、数多くの現代建築史上の名作を生み出している。
 「都市と建築のイノベーション」というタイトルが付いた今回の展覧会は日本初の開催。フォスター+パートナーズの設計活動を代表する50のプロジェクトを、イギリスから運ばれた模型やCGなどの膨大な資料で紹介した。その中には現在進行中のアップルの新本社や、3Dプリンターで制作する未来の月面住宅などのプロジェクトも含まれていた。
 六本木ヒルズ森タワー52階の展覧会場入り口を入ってすぐの“特等席”に展示された今村研の作品は「オートノマス・ハウス」=写真右=と「ウィリス・フェーバー・デュマス本社」=下の2枚=の2つの模型。
 二重の網目状の球体が特徴のオートノマス・ハウスは住宅として設計されたもので、若き日のフォスターが強い影響を受けたアメリカの発明家で思想家のバックミンスター・フラーと共同で設計。「建築は軽やかさと自然の光の芸術である」というフォスターの哲学を具現化した原点とも言える作品だが、フラーの死により実際に建築されることはなかった。また、設計図なども一切なかったため、今村研ではわずかに残っていた数枚の写真を基に、多田脩二准教授のアドバイスも得ながら再現した。
 ウィリス・フェーバー・デュマス本社は1970年代に建てられた保険会社の建物で、フォスターが初期にその哲学をどのように作品に反映したかを知ることができる。外装は波打つようなガラスの曲面で覆われ、内部はエスカレーターで結ばれた床が積層されて人々が自由に動き回れる構成のこのビルを、今村研ではアクリルを使って再現した。家具や内部で働く大勢の人たちも、一人一人紙で手づくりしたという。
 制作は昨年7月から12月まで半年がかり。今村准教授は「フォスターの哲学を理解するところから、作品の意図を翻訳し、模型として制作工程を考え、チームとして完成させることができた。さらにそれを大勢の人に見てもらったという経験は学生にとってとても刺激的で貴重だったと思います」と話している。
 参加した学生は次の通り(敬称略)。
■今村研究室
徳永一之介(修士2年)▽三宅菜月▽渡辺大地▽川合豊▽下川翔平▽大橋貴洋▽高島裕希▽佐藤海斗▽谷拓也▽小林基(以上4年)
■藤木研究室
宮下成平(3年)

表面技術の最前線 展示


サーテックで坂本研・プラズマ研究者たち
 ものづくりの基盤・表面技術の最前線を紹介する総合展「SURTECH(サーテック)2016 表面技術要素展」(表面技術協会など主催)が1月27〜29日、東京・有明の東京ビックサイト東4ホールで開催された。本学は今回も表面技術協会の依頼で“表面工学研究グループ”とプラズマ分野の研究者らが、ビジネスマッチングを求める企業関係者に展示を行った=写真下
 表面工学グループは機械サイエンス学科の坂本幸弘教授と研究室の大学院生ら・協力会社で▽ドライプロセスに関する特別展示▽炭素系材料の気相合成法の一つ・熱フィラメントCVD装置を展示▽大気圧プラズマによる表面改質と陽極酸化によるメンブレンフィルターの作製実演――などを行った。
 プラズマ研究者らは「千葉工業大学プラズマフォーラム」のブースを併設。坂本教授のほか井上泰志・機械サイエンス学科教授、尾上薫・生命環境科学科教授、小田昭紀・電気電子情報工学科教授、鈴木進・教育センター教授が▽硬質炭素系材料▽バイオミメティック材料▽ダイヤモンドライクカーボン成膜用プラズマ▽誘電体バリア放電用電極の二次電離係数測定▽大気圧プラズマジェットの環境応用に関する研究――などを発表した。
 サーテック表面技術要素展は表面処理・表面改質・表面硬化など幅広い産業分野に対応した展示会。先端表面技術展や国際ナノテクノロジー総合展、新機能性材料展、関連会議などと同時開催され、今年度は前回を上回る4万8514人(主催者調べ)が来場した。