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2015.11.15

新習志野で「シンナライブ」


▼取って置きの話 ミニレク 図書館前
■初回は竹内教授
 昼休みの30分間、図書館の前で普段の授業では聞けない先生方の“取って置き”の話を聞こう!
 新習志野キャンパス図書館事務課のスタッフが教員との“協働”イベントとして企画した「シンナライブ」が10月5日スタート。教育センターの竹内栄美子教授が「デモクラシーと文学〜中野重治から大江健三郎へ〜」と題して、集まった約30人の学生たちに語りかけた=写真
 1、2年生が学ぶ新習志野キャンパスでは先輩学生が少なく、ゼミや卒論指導もないため、教員と学生との触れ合いは授業が中心。そこで図書館事務課の高池宣彦さんらのスタッフは、本学の教育目標前文に掲げられている「師弟同行・師弟共生」を実現するためにも、授業以外でも教員と学生が触れ合う場を作ろうと「シンナライブ」を企画した。
 本学の前身の興亜工業大が発足した頃には、校舎に使っていた玉川学園の校地の芝生の上で教員を囲んで外国語の授業が行われたこともあったと伝えられており、そんな開放的な雰囲気の中で教員と学生がともに学び合う機会にしたいという思いもあったという。
 当面は月に1回開催。11月9日は菅原昌彦教授が「原子核の形を調べる〜形は物理への入り口〜」と題して話した。12月3日は河田明久教授の「戦争とアート」、来年1月15日は松澤秀則教授の「宇宙における物質の誕生から生命の進化へ!〜宇宙で起こる化学反応をコンピューターで解明する〜」を予定している。
 竹内教授はプロレタリア文学の代表的作家である中野重治と中野を尊敬する戦後文学の旗手、大江健三郎に流れる民主主義思想について分かりやすく話した後、自分が研究者の道に進んだ契機についてこう話した。
 「大学の授業で中野重治の詩や小説を読んだことがきっかけです。授業で自分の将来が決まることがあるかも知れない。皆さん、授業に出てください。図書館で本を読んでください」

思考・創造力促すスポーツ


▼子どもプロジェクト 夏企画開く
 「子どもプロジェクト夏企画2015」が夏休みの8月24、25日、“考える、創る、感じる、つながる”をテーマに新習志野キャンパスのデザイン、ロボット製作室などで開かれた。小学生延べ62人が参加した=写真
 子どもプロジェクトは、子どもの発育発達(出生時〜17歳)を追跡研究している本学教育センター(体育教室)の引原有輝准教授、若林斉准教授に、松崎元デザイン科学科教授、青木岳史未来ロボティクス学科准教授、茨城大教育学部教員らが協力し共同で企画された。スタッフに本学学生22人、茨城大生4人が加わった。
 初日は、デザインと遊び・スポーツのコラボ体験。午前は松崎教授と学生たちの協力で「デザイナーになってチームオリジナルTシャツを作ろう!」。チームに分かれ、パソコンを使ってエンブレムを描き、Tシャツに転写。午後には、各チームが自作のTシャツを着て▽加速度センサー内蔵サッカーボールを使ったシュート体験▽スラックラインを使った綱渡り体験▽Xジャイロや楕円型ボールで投動作体験▽チーム対抗アルティメット試合――を楽しんだ。
 2日目はロボットと遊び・スポーツの組み合わせ。青木准教授と学生たちの指導で、はんだごてを使って1人1人が小型ロボットの製作に挑戦。人工知能ロボットのサッカー試合を観戦し午後にはスポーツで交流した。
 引原准教授によると、幼少期の道具操作を要する遊びやスポーツは、思春期以降の身体機能の発達やメンタルヘルス(自己肯定感など)に好影響を与え、学力(脳の実行機能、記憶)にも影響することが世界的に認められつつある。半面、最近では、幼少期から特定のスポーツに偏って活動したり、低学年時から学習塾に時間を割かれ、子どもの可能性を制限してしまう懸念があるという。
 そこで夏企画は、思考力・創造力と遊び・スポーツとのコラボを盛り込み、新しい児童教育への取り組み方を保護者や子どもたちに示した。
 引原准教授は「このような意図の大学主催イベントは類がなく、工業大学の本学が発信するからこそ面白いと考えています。学歴偏重が残る中、幼少期に遊びやスポーツに夢中になった子どもたちが将来、さまざまな分野で活躍するよう期待しています」と語っている。

環境保全へ多彩に展示


▼「エコメッセinちば」に本学の各研
 「エコメッセ2015inちば」が9月23日、幕張メッセ国際展示場で開かれた。市民団体・大学・企業・行政など112団体が出展し、約12000人が来場した。今年は20周年の記念すべき開催となった。
 本学からは▽生命環境科学科生物圏環境研究室(村上和仁教授)▽「環境科学研究会」(代表・村上教授)▽同社会圏環境研究室(五明美智男教授)▽化学第4実験研究室(谷合哲行准教授)▽教育センター・南澤研究室(南澤磨優覧准教授))▽CITものづくりプロジェクトの3チーム(アドバイザー・谷合哲行准教授)――が参加し、多岐にわたる内容を展開し多くの人々と交流した。
 村上研は、バイオ・エコエンジニアリングを活用した環境保全、特に微生物生態学の立場から水環境の保全研究に取り組んでいる。今回は生物指標による県内河川環境マップの作成やマイクロコズムを用いた化学物質や外来生物の環境リスク影響評価の研究などを発表。また、各種ミネラルウオーターを飲み比べる「利き水」を催した。
 環境科学研は、継続して調査を実施している印旛沼の水環境健全性指標や水質調査による環境評価について展示した。
 五明研は、4年生9人の研究成果と研究室が進めている千葉県内でのフィールド活動を集め▽魚とりによる環境評価▽水辺の楽校の地域展開プロセス▽水辺の友達度と安全度▽内房海岸の漂着物を活用した環境教育と海浜植物・海岸林の生息場評価▽水田地域のホタル生息場の再生や棚田の環境価値▽都市域をねぐらとするムクドリとの共生▽一般ごみ有料化の合意形成――などをパネル展示。採集した漂着物、学生が作成した海藻おしばなどの展示にも多くの来場者が関心を寄せた。
 谷合研では、研究成果と関連する事業についてパネル展示した。
 南澤研は、植物や食品、家畜糞などの廃棄系未利用材料を原料にした、水や大気の簡易浄化剤を展示し、その機能や性質を紹介した。
 “CITものづくり”は▽“PCに使われる人”から“PCを作れる人”になろう!!プロジェクト▽廃棄食品由来の学内燃料生成プロジェクト▽学内未利用資源発掘プロジェクト 3Rlab――の3つが参加し、日頃の研究活動成果をパネルで紹介するとともに、子どもから大人まで参加できる電子工作体験ワークショップを開設。また、日本エコトイ協会/エコトンボの会と協働で、家庭から出される牛乳パックなどの廃棄物を使ったエコトイ・エコトンボ製作ワークショップを開き、2つのワークショップで延べ300人以上の参加者が集まり好評だった。
村上研の展示 終始にぎやかな会場
村上研の展示 終始にぎやかな会場

出版


現場で心の健康 保つには
五百井教授
五百井教授
プロジェクト現場のメンタルサバイバル術〜16の物語から読み解くプロジェクトマネジメント術と人間術〜
プロジェクト現場のメンタルサバイバル術
〜16の物語から読み解くプロジェクトマネジメント術と人間術〜
著者= プロジェクトマネジメント学会編(学会のメンタルヘルス研究会委員である五百井俊宏・プロジェクトマネジメント学科教授ら14人が共同執筆)
出版= 鹿島出版会
価格= 2376円(税込み)
 企業間競争にさらされる営業や研究開発、製造などの現場――。プロジェクトメンバーは厳しい制約条件や顧客との人間関係から、ストレスや強い悩み、不安などを覚え、メンタルヘルス不調に陥ることが多い。
 プロジェクトマネジメント学会メンタルヘルス研究会は2009年から、国内外でワークショップを開き、心の健康を確保する方法を検討してきた。本書は、ワークショップで得られたメンタルヘルスマネジメントに関する実践的知識をまとめたもの。
 ▽第1章 16の物語▽第2章 物語から読み解くプロジェクトマネジメント術▽第3章 物語から読み解く人間関係術――の3章に分類し、プロジェクト炎上/背伸びした私/他人任せじゃ動かない/寝る間も惜しんで頑張ったのに報われず/体が悲鳴をあげている/威圧的な上司/木曜日は会社に行けない/マシン室ひとりぼっち/執念が病気を超える日/正社員じゃないのに……と、現場から上がってきた具体的な問題を解説。
 プロジェクトメンバーが心の健康を保つためには▽人とつながること▽声を上げること▽自分のこととして捉えること――の重要性を指摘している。A5判、226ページ。