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2015.3.15

宮本君“意匠コン”入賞


■多面体の回転式パズルをデザイン
表彰される宮本君(右)
表彰される宮本君(右)
 立方体の面をひねって色を合わせる回転式パズル玩具はよく知られているが、宮本圭佑君(機械サイエンス学科4年・手嶋吉法研究室)は、球に近い形の回転式パズルをデザインして「平成26年度デザインパテントコンテスト」(文部科学省、特許庁、日本弁理士会、工業所有権情報・研修館が共催)に応募。入賞作(支援対象)として1月26日、東京・霞が関のイイノホールで表彰された。
 宮本君が考えたのは準正多面体の1つをベースに、ルービックキューブのように回転する多面体。
 3Dプリンターで作ることを前提に、CADで設計。CADでの多面体づくりにひと苦労した。各構成面に回転機構を付けるのがさらに大変だった。部品数も多く、ことに外側の部品には少し歪みを付けたので設計が難しかったという。
 類似品がないか調査の上、図面を付けた意匠書を提出。一次審査を経て毛利衛・選考委員長(宇宙飛行士・日本科学未来館館長)や弁理士らで構成する選考委員会によって入賞作に選ばれた。
 宮本君は「時間をかけてCADで図面を作製した苦労もあり、受賞できてうれしく思っています」と語った。
 同コンテストは今回で7回目。今年度は31件が支援対象に選ばれた。特典として、弁理士が特許庁への出願から意匠権取得までをサポートしてくれる。

熊谷さん学生優秀発表賞


■妨害音の到来方向と作業しにくさの関係
音響室で熊谷さん
音響室で熊谷さん
 音環境情報の処理を研究する熊谷直登さん(電気電子情報工学専攻修士2年・飯田一博研究室)が、日本音響学会の第10回(2014年秋季)研究発表会(昨年9月3〜5日、札幌市の北海学園大豊平キャンパスで開催)で「妨害音の到来方向およびタスクの種類が作業のしにくさに及ぼす影響」を口頭発表。学生優秀発表賞に決まり3月17日、東京都文京区の中央大後楽園キャンパスで行われた授賞式で表彰された。
 オフィスや教室で、妨害音と作業との関係を明らかにすれば、より快適な作業空間を創ることができる。熊谷さんらは妨害音の来る方向が、作業のしにくさに与える影響を検討。妨害音に朗読CDを用いて実験した結果、妨害音が前や右から到来すると作業がしにくくなる傾向をつかんだ。
 さらに実験環境を実オフィスに近づけ、単語音声+不規則ノイズ(妨害音)の中で、被験者に単語記憶の課題(作業)を与えて確かめた。
 直接音と反射音、ノイズによる音声のマスキング効果などを考慮し実験を重ねた結果、前と右方向からくる音が作業をしにくくする傾向を再確認した。
 実験には飯田研の熊谷さんら3人に、鹿島技研から2人が参加した。
 発表に当たり、熊谷さんはスライドを簡潔に、落ち着いて説明するよう心がけたという。330件を超す学生口頭発表中、優秀発表賞20件のうちに選ばれた。
 熊谷さんは受賞の感想を「光栄です。ご指導くださった飯田先生や鹿島技研の方々に深く感謝します」と語った。

藤本さん奨励賞


■「お手伝いキッチン」提案
藤本もも子さん
藤本もも子さん
 公益社団法人インテリア産業協会主催の平成26年度キッチン空間アイデアコンテストで、藤本もも子さん(デザイン科学科3年・白石光昭研究室)が、募集3テーマのうち〈団らんキッチン空間〉を選んで「お手伝いキッチン」を提案し、奨励賞を受賞。1月19日、東京都新宿区の京王プラザホテルで行われた授賞式で表彰された。
 藤本さんは、子どものお手伝いから家族の団らんが生まれるキッチン空間を考えた。菜園のある庭と台所を土間で結び、採った野菜はそのまま調理場へ。子どもらは料理ができなくても、野菜を収穫し洗うことでお手伝いでき、食育にもつながる。
 誰もが負担なくキッチンを使えるよう配置などに配慮。キャビネットを兼ねた椅子は、座面の高さを調節できる。両方向から使える引き出しの下段は、小さい子どもの踏み台にもなる。
 「子どもと大人が併用できるようにしたかったので、寸法を決めるのに苦労しました」という。パース(立体完成予想=下図)の着彩は、質感が感じられるよう工夫した。藤本さんは「苦労した点が多かったので受賞できてよかった」と喜んだ。
 コンテストは、同協会が資格試験で認定する「キッチンスペシャリスト」を育てるため、平成23年度から毎年作品を公募。今回は300作が応募した。
 審査した上野美雪教授は「これまでとは異なる視点で新たなアイデアを加えることで、時代に合致しグレードアップした提案になることが実証された作品が多くみられた」と述べている。

石川さん最優秀賞


■「迫る期日」へ危機感促す“渦巻き”装置
石川さん
石川さん
 産業技術大学院大学(AIIT=石島辰太郎学長、本部・東京都品川区東大井)が新製品につながるデザインを募集した第8回デザインコンテストで、石川和也さん(デザイン科学専攻修士1年・佐藤弘喜研究室)が最優秀賞を獲得。2月26日、東京・天王洲のクリスタルヨットクラブのクラブハウスで行われた表彰式で、審査委員長の石島学長から表彰状を授与された。
 今年度のテーマは「回転」。石川さんは掛け時計のように壁に掛ける、渦巻き形のシンプルな装置「mind CYCLONE」を提案した。
 試験日や、提出物の締め切り。日常には期日に迫られることがよくある。石川さんの装置は、期日までの時間を可視化し、焦りや危機感から、やる気を誘い出すもの。
 「締め切りまであと○日(時間)!」――渦巻きの一番外側に赤い球をセットする。例えば「15日後」や「3時間後」と、期日目盛りを合わせると渦巻きの遅速が決まる。
 スイッチで渦巻きが回り出し、赤い球が徐々に真ん中へ吸い寄せられる。時が進み、赤い球が中心に近づくにつれ、渦の色も次第に濃くなっていく。「速くやらないと!」
 例えばコンテストまでの「テーマ決め」「コンセプト決定」「アイデア決定」「資料づくり」の付箋を書いて渦巻き上に貼れば、重要な通過点、残り時間が一目で分かる。もうすぐ吸い込まれる!「急げ!急げ!」
 “渦巻き”には、台風や渦潮に巻き込まれるような恐怖や焦り、事態に備えようとする心理が誘発されると考えたという。壁に掛ければ、近くを通る度に見え、気づかせられる。インテリアとしての存在感も十分だ。
 幅広く生まれたアイデアを、一つに絞ることに苦戦した、と石川さん。
 講評で「期日が迫る焦りや危機感を、渦巻きの吸い込まれるような動きで巧妙に表現した」と称賛され、今年度の国内外学生の応募作128点のトップに推された。
 石川さんは「世界で展開されているコンテストで最優秀賞を頂け、とてもうれしい。産技大学長や審査員から、来年も期待しているといわれた。これからもコンテストに参加し、私の名を知っていただける機会を積極的に求めたい」と話した。
  産技大は首都大学東京が設置する専門職大学院。未来のデザインプロフェッショナルを育成しようと2008年からコンテストを開いている。
作品説明(部分)
作品説明(部分)
作品説明(部分)