NEWS CIT ニュースシーアイティ

2014.3.15

研究会 第1回シンポ開く


研究開発にもPM技法を
 「研究開発(R&D)にもプロジェクトマネジメント(PM)の技法を適用して、生産性を飛躍的に向上させよう」
 本学PM学科の久保裕史教授が中心となって活動している「ものづくりR&D PM研究会」と日本生産管理学会関東支部共催の「ものづくりR&Dプロジェクトマネジメント第1回シンポジウム」が2月14日、津田沼校舎で開催され、折からの大雪にもかかわらず、産業界や大学、官公庁などから約50人が参加した=写真。
 この研究会は2012年6月に発足。R&DにPM技法を適用することで、革新的な製品やサービスが次々と産み出される仕組みや組織作りの知識体系を構築することを最終ゴールに活動してきた。
 参加メンバーは、本学社会システム科学部の教員有志と、日立、東芝、パナソニック、ソニー、NEC、リコー、三菱化学、富士フイルムなどの大手企業や医療機器ベンチャー、理化学研究所や科学技術振興機構など公的機関の研究者や技術者、研究・経営管理者など22人。
 今回のシンポジウムは「研究開発を成功させるプロジェクトマネジメント」というテーマで、研究会のこれまでの成果を報告し、今後の活動の方向性を参加者とともに議論することが目的。
 第1セッションでは、まずPM界の大御所、冨永章氏が「カベを越えるためのR&D PM」と題して講演。わが国におけるR&Dの現状とPMの必要性を、世界的視野から具体的事例を交えて分かりやすく語った。
 次いでリコー研究開発本部主幹研究員の清田守氏が「リコーでのR&DにおけるPM推進」と題して、リコーのR&DにPMを根付かせるための取り組みと成果を報告。
 第2セッションでは本年度の研究会の成果が4つのワーキンググループ(WG)から報告された。
 まず「啓蒙WG」(リーダー=本学・下田篤准教授)からは、分野によってR&Dの特徴が大きく異なること、およびそれらに適合するPM技法の事例がデータに基づいて報告された。
 「定義・ツールWG」(リーダー=清田守氏)からは、まず事業化プロジェクトとR&Dプロジェクトの特徴の違いが対比的に示された。さらにR&Dプロジェクトの規模と確定度に応じた目標の決め方や、それに適合するPM技法開発の必要性が報告された。
 「ステージゲート(SG)WG」(リーダー=金子浩明・グロービス経営大学院教授)からは、SG導入に伴うわが国固有の問題点と業種別SG運用の必要性が指摘された。SGは使い方次第でR&Dの意志決定のスピードアップと、限られた経営資源の有効活用の切り札となりうるツールだという。
 4つ目の「人材育成WG」(リーダー=本学・五百井俊宏教授)からは、これまで用いられてきた業績主義の目標管理制度(MBO:Management by Objective)に、個人の信念や熱意に基づく目標管理制度(MBB:Management by Belief)を組み合わせた、新たな知識創造プロセス(SECI)の提案があった。これにより、SG法導入に伴う技術者の行動や育ち方のゆがみの是正が期待される。
 第3セッションはパネルディスカッション形式で行われた。その重要な結論としては、1わが国のイノベーションの創発にR&D PMは欠かせない取り組みである2複数のプロジェクトを統合的に展開するプログラムやポートフォリオの視点が不可欠である3PMにマーケティングを組み入れた統合管理を推し進める必要がある――などが挙げられる。
 この研究会は来年度から本格的なR&D PMの知識体系づくりの段階に入る。このため研究会の枠組みも、よりオープン化される予定である。

金融・越山研が展示


消費者生活の安全訴え
 越山健彦教授(金融・経営リスク科学科)の研究室は、今年も「習志野市みんなの消費生活展」(2月15、16日の土・日曜日、モリシア津田沼1階センターコートと2階特設会場で開催)に参加した。
 46回目の今年は、市制施行60周年と重なり▽食育、防犯、防災、環境、安全などの展示▽起震車による地震体験▽心肺蘇生法の講習――など各コーナーが盛大に展示され、来場者でにぎわった。
 越山研究室は「消費生活の安全性」をテーマに、展示コーナーに▽子ども用品の安全▽欠陥住宅問題への対策▽新しくできた消費者教育推進法の周知や啓発――を出展。
 卒業研究やゼミ研究の成果をまとめたもので、越山教授と研究室の森田舜君(3年)、中曽根愼君(2年)、岡本将宙君(同)ら学生10人がポスターや製品サンプルなどで、訪れる市民に説明した。
 同展は、身近な消費生活の問題について、地域の公共機関や消費者団体が市民に情報提供し啓発するため、習志野市と実行委員会が主催して毎年開催している。
来場者にポスターで説明 越山教授とゼミ生たち
来場者にポスターで説明 越山教授とゼミ生たち

出版


移動の本質 しっかり学ぶ
佐野教授
佐野教授
はじめて学ぶ移動現象論 運動量・熱・物質移動を統合的に理解する
はじめて学ぶ移動現象論
運動量・熱・物質移動を統合的に理解する
著者= 佐野正利・千葉工業大学機械サイエンス学科教授、杉山均・宇都宮大学教授、永橋優純・高知高専教授、加藤直人・宇都宮大学助教
発行= 森北出版
価格= 3360円(税込み)
  ニュートンの粘性法則、フーリエの法則、フィックの拡散法則……運動量・熱・物質の移動にアナロジーが成り立つことを知っていても、さまざまな物理量、係数、方程式を誤りなく使いこなすことは、簡単ではない。
 本書は、著者らが長い期間、大学、高専で教えてきた経験に基づき、学生が理解不足に陥りやすい点や誤解しやすい点を把握したうえで、移動現象を分かりやすく学習できる構成を目指している。
 内容は▽移動現象の基本概念▽運動量の移動▽乱流における運動量移動▽熱の移動▽定常熱伝導▽非定常熱伝導▽層流における熱伝達▽乱流における熱伝達▽相変化を伴う熱伝達▽放射による熱移動▽物質の移動▽乱流における物質移動。
 流体力学と伝熱工学を別々に学んできた読者は、両者に共通するエッセンスを身につけることができるはずだ。
 項目を精選し、教員が“教えやすい”教科書を目指した。多くの例題、演習問題で思考力を高め、理解を深めながら、自主学習も可能な構成。移動現象に広い知識が得られるように、図解と丁寧な数式展開を、日常的なトピックスで紹介。機械設計に大いに役立つ1冊に仕上がっている。

現代を見る動体視力養う
古賀准教授
古賀准教授
教師のための現代社会論
教師のための現代社会論
著者= 宮崎猛・創価大学教職大学院教授、古賀毅・千葉工業大学工学部教育センター准教授
発行= 教育出版
価格= 2310円(税込み)
  グローバル化、IT化、高齢化、科学技術の超高度化――現代社会は質量ともに著しく変化し、捉えにくくなっている。次世代の人材を育てようとする教育者には、社会変化についての見識と構えが不可欠だ。
 本書はそうした未来の、教師へのガイドとして編まれた。本学の教職課程で指導にあたる古賀准教授が、宮崎氏とともに編集した。
 第I章 現代社会をどう見るか▽第II章 4つの位相から見る現代社会(1・現代化の時代を読み解く、2・環境・生命問題と科学技術の時代を読み解く、3・グローバル化の時代を読み解く、4・情報化の時代を読み解く) ▽第III章 現代社会と学校教育――から成る。
 古賀准教授は長年の高校社会科(公民)教師としての知見も生かしながら第I章と第II章3の複数項目(グローバル化と消費生活/地域統合の進展)を執筆した。第I章では教師や大学生の「学び方」にも踏み込み、未来に対するアクティブな視座と思考を促している。
 全体として、現代を見つめる“動体視力”のための視点を抽出することが中心となっており、一般社会人にとっても好適な現代社会論の入門書と言えそうだ。
第34回祝勝・奨励会