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2013.10.15

水陸両用 「櫻弐號」
fuRo開発、三菱重工が生産販売


原発対応 強力ロボットを発表
 本学未来ロボット技術研究センター(fuRo)が開発し、三菱重工業が生産・販売する原子力発電所向けの水陸両用ロボット「櫻弐號」(サクラニゴウ)が9月25日、報道陣に公開された。産学連携に新たな時代を画する第一歩として、大学関係者や産業界から熱い視線が注がれている。
がれきを走行する「櫻弐號」
がれきを走行する「櫻弐號」
 「櫻弐號」は、東日本大震災の津波で破壊された福島第一原発の原子炉建屋内で、事故収束支援のための調査に活躍した「Quince(クインス)」のソフトウエア群を継承しながら、ボディーやモーター、電気制御系は完全に新規開発。手作り感たっぷりの「Quince」とは打って変わったスマートな姿に生まれ変わった。
 開発に当たっては「Quince」を運用した現場からの「さらなる耐久性・信頼性の向上」「大規模かつより重い計測機器の搭載」「さらなる機動性の向上」などの要望を取り入れたが、最大の特長は水中でも作業ができる完全密閉の「防水性」。
 三菱重工業原子力事業本部の宮口仁一・原子力機器設計部長とともに記者会見した古田貴之fuRo所長は「原子炉建屋内で階を超えて自在に動き回り、水中でも作業ができる世界で唯一のロボットだ」と胸を張った。
 この公開に先立ち、本学と三菱重工業は原子力分野向けロボットを共同で開発・生産していくための技術協力協定を締結した(今年8月1日付)。「櫻弐號」はその第一弾で三菱重工業が生産し、電力会社やプラントメーカーなどに使途に応じた仕様を施して販売する。
 さらに今後は、両者が協力して広くCBRNE(化学、生物、放射性物質、原子力、爆発物)災害の収束支援に貢献するロボットを開発・生産していく計画だ。
 このような大学と企業との協力関係について、古田所長は「大学・研究所が長い時間をかけて開発した技術を企業が製品化して販売する“ウインウイン”の関係こそが、これからの産学連携にとって重要だ」と語った。
 fuRoは1年前から「櫻弐號」開発のためのチームを編成し、「Quince」で得た知見をベースに、ゼロからロボットを開発する作業に取り組んできた。チームのメンバーは、吉田智章上席研究員をプロジェクト総括に大和秀彰主席研究員、清水正晴主席研究員、戸田健吾主任研究員、小太刀崇研究員、西村健志研究員、荻原一輝研究員の7人。いずれも20〜30代の若手研究者だ。
 「原子力災害の収束には20年、30年という長い年月がかかる。その間、技術開発の継続性を維持するためには、研究者も若い人でなければならない」(古田所長)
 また、今後、千葉工大で開発する災害支援ロボットは「櫻」シリーズとする。日本の国花というべき櫻と、それに続く弐號、参號などの漢字を旧字体とすることで、見る人に『和』をより意識させ、「日本が世界に発信する技術」であることを強調する意味がある。ちなみに未発表だが「櫻壱號」も開発済みだそうだ。
 記者会見場となった新習志野キャンパス9号館には、テレビ、一般紙、専門誌など45社の報道陣が集まり“千葉工大のロボット”に対する関心の高さを示していた。
完全防水で水中でも作業できる
完全防水で水中でも作業できる
記者団に走行をデモンストレーション 説明する古田所長
記者団に走行をデモンストレーション 説明する古田所長

夢<^ペストリー


新習志野校舎図書館に
タペストリーの前で(右から)瀬戸熊修理事長、小原芳明玉川学園理事長・学園長、小宮一仁学長
タペストリーの前で(右から)瀬戸熊修理事長、小原芳明玉川学園理事長・学園長、小宮一仁学長
 新習志野校舎図書館に9月25日、新しいタペストリー(5メートル×5メートル)がお目見えした。描かれているのは昨年の本学70周年の際、シンボルマークとした「夢」の文字。本学の前身・興亜工業大学の創立に尽力した玉川学園創立者・小原國芳先生の書で「他の人より一つでも多くの夢を持ってほしい」と“夕”部分が一画多くなっている。
 全人教育を提唱した小原先生が好きな言葉として生涯もっとも多く揮毫したのが、この一画多い「夢」だった。
第64回 津田沼祭 Colorful〜僕ら色のキャンパス〜