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2013.7.15

秋田准教授が論文賞


膜構造設計の効率化を研究
石井会長(左)から表彰される秋田准教授
石井会長(左)から表彰される秋田准教授
 宇宙空間に耐える超軽量膜面構造物などを研究している機械サイエンス学科の秋田剛准教授の論文が、一般社団法人日本膜構造協会(会長=石井一夫・横浜国立大学名誉教授)の2012年度・膜構造研究論文賞に決まり、5月24日、東京ガーデンパレスでの受賞式で表彰された。
 受賞理由は「インフレータブルビームの設計およびしわ発生後の応力場に関する一連の研究」。
 インフレータブル構造とは、膜に空気を注入して膨張させ形態を維持するもの。展開機構が簡便で、展開後に内圧による圧縮剛性を持つなどの利点があり、地上構造物のほか宇宙分野でも注目を集めている。一方、設計には複雑な力学的座屈現象を精密解析する困難が付きまとう。
 受賞研究で秋田准教授は、インフレータブル膜構造の設計に有用な数値解析法の構築を試みた。円筒形態のインフレータブルビーム構造を対象として、薄肉シェルでモデル化した有限要素解析によるしわの応力場評価から、しわ発生後の応力場を微小な圧縮応力を許容する張力場で精度よく近似できることを示した。石田良平・大阪府立大准教授と共同で研究した。
 この方法により、数値シミュレーションを使ったインフレータブル膜構造設計の効率化が期待されるという。
 秋田准教授は「もともと(地上)建築を対象とする膜構造協会から、機械分野の私が賞を頂け、うれしく思います。コンピューター上で力学現象をシミュレーションし、何かをデザインするのが、私の研究の大きなテーマ。分野横断的なもので、今後も分野にとらわれることなく研究を発展させていけたらと思います」と語っている。
 日本膜構造協会は、主に東京ドームなどのような膜構造の外壁を持つ建築物を扱う学会で、性能・施工技術の向上を図ることを目的として活動している。毎年、膜構造に関する研究論文を公募し、論文集委員会で採択された論文を「膜構造研究論文集」として刊行。特に優れた論文に論文賞を授与している。

若林助教 優秀発表賞


冷却下での筋組織反応を研究
賞状を手に若林助教
賞状を手に若林助教
 工学部教育センター・体育教室の若林斉助教が日本生理人類学会の優秀発表賞を受賞し6月8日、学会の第68回大会会場(金沢市の金沢大学医学部で開催)で表彰された。
 67回大会(昨年11月17、18日、首都大学東京荒川キャンパスで開催)で口頭発表した研究「局所冷却による前腕部組織温度の低下と骨格筋酸素摂取量の変化」が、特に優秀と認められた。
 日本生理人類学会は、高度な文明に生きる現代人を対象に、人間の特性と矛盾しない科学技術の発展を目指す学会。人の生理特性を、温熱、気圧、光環境などへの「環境適応能」や、個人差とその要因を探る「生理的多型性」をキーワードに解明し、生活の質の向上に関わる研究を行っている。
 若林助教はスポーツ科学や応用人類学を専門とする博士(体育科学)。
 局所冷却の研究は、寒さで手がかじかんだ時のように末梢組織が冷えると、筋の作業能の低下が見られるところに着目した。
 口頭発表では、腕を冷却すると筋肉でのエネルギー消費量が低下することを報告。さらに、筋組織を繰り返し冷却すると筋肉でどんな適応現象が起こるかを考察した。九州大学大学院芸術工学研究院グループと共同で研究した。
 学生の頃に着想し、その後、仮説となるメカニズムを探索して、ようやく実験計画を練った研究の第一報という。
 若林助教は「まだまだこれからが面白くなる研究です。研究を発展させて、筋組織冷却を併用したトレーニング手法を開発し、ウインタースポーツや寒冷地作業者の巧緻動作性の向上や高齢者の筋機能維持・回復などへの応用を考えています」といい、「興味をお持ちの方はご意見をお聞かせください」と呼び掛けている。

JABEE認定


新たに2コース
 JABEE(日本技術者教育認定機構)の認定で、新たに本学の機械サイエンス学科機械設計・開発コース▽建築都市環境学科建築都市エンジニアリングコース――の2コースが4月26日付で認定証を受けた。また、認定期間が切れた電気電子情報工学科総合システム工学コースの期間延長も決まった。
 本学では昨年までに、生命環境科学科環境創成工学コース▽経営情報科学科経営システムコース▽プロジェクトマネジメント学科経営システムコース▽電気電子情報工学科総合システム工学コース(今回期間延長)▽情報ネットワーク学科ネットワークコース――の5コースが認定証を受けており、これで7コースが認定された。
 JABEEは国際的に通用する技術者の育成を目的に1999年以来、高等教育機関(大学、高等専門学校など)の技術者教育プログラムの審査認定を行っている。認定を受けると、学士や修士の技術者教育プログラムの質が国際レベルであることが証明される。
 認定されたプログラムの終了者は、技術士の第一次試験が免除され、技術士補として登録する資格を得る。さらに最低4年の実務経験を経て技術士第二次試験に合格すると、国家資格である技術士の資格が与えられる。

中嶋准教授と近藤さん
設計工学会から論文賞


不整地移動ロボ 設計法で
中嶋准教授
 未来ロボティクス学科の中嶋秀朗准教授=写真=が近藤拓真さん(未来ロボティクス専攻修士2年・論文発表時)と連名で発表した論文が、公益社団法人日本設計工学会の論文賞に決まり、5月25、26日、国士舘大学世田谷キャンパス梅ヶ丘校舎で開かれた学会春季研究発表講演会会場で表彰された。
 同学会の論文賞は前年に学会誌「設計工学」に掲載された論文中、最も優秀なもの(1〜3点)に与えられる。
 中嶋准教授と近藤さんの論文は「不整地移動プラットフォームRT‐Moverシリーズの設計指針」(2012年・設計工学47号に掲載)。
 中嶋研では、段差などが散在する都市の舗装路面をスムーズに移動する不整地移動ロボット「Chariot」「チャリべえ」、「RT‐Mover」などを開発してきたが、今回の受賞はRT‐Moverシリーズの設計法に関するもの。
 RT‐Moverは、小型機から搭乗可能なP‐type3号機まで、すでに6機を開発、数々の特許を得ている。通常の舗装路面では自動車のように移動効率がよい4輪で移動するが、不整地を積載部・搭乗部を水平に保ちながら最少の駆動軸数で脚移動することもできる。
 移動路面環境や、荷物運搬用か搭乗用かの作業目的に応じて、移動プラットフォームの寸法や出力を設計する必要があり、5機目を開発した時点までの知見をもとに設計指針をまとめた。
 中嶋准教授と近藤さんは「地道に研究を進めてきた内容が評価されてとてもうれしい」「受賞をバネに、研究を発展させ、多くの人に役立つ成果へとつなげたい」と語っている。

「論文査読に貢献」
屋代教授を表彰


情報処理学会
屋代教授
 情報ネットワーク学科の屋代智之教授は、一般社団法人情報処理学会で、学会誌への掲載候補論文の査読に貢献したとして2012年度「学会活動貢献賞」に選ばれ、定時総会(6月5日、学士会館=東京都千代田区)で賞状とクリスタル製賞牌を贈られた=写真右。
 同学会は2万人近い会員を擁する情報処理分野で国内最大の学会。
 屋代教授の専門は、ITS(高度交通システム)における通信、位置情報サービスなどに関する研究。
 本学でIT技術を駆使して「ぶつからない車」の開発を目指す傍ら、2000年以来、同学会のITS研究会幹事、主査、論文誌編集委員会ネットワークグループ主査などを歴任。査読委員やさまざまな特集号などの編集委員として随時、論文の査読などを担当してきた。
 屋代教授は「活動がこのような形で評価され、大変うれしく思います。今後ともさらに貢献できるように頑張っていきます」とコメントしている。