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2011.7.15

クインス、2号建屋に


 本学未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長らを中心に開発された原発対策ロボット「Quince(クインス)」について、東京電力は6月24日午前、福島第1原発の2号機原子炉建屋に投入したと発表した。国産ロボットの建屋内使用は初めて。
 建屋内に溜まった放射性物質汚染水の除去作業へ向けて、有線コントロールのクインスが建屋階段を昇降して、水位計設置やサンプル水の採取、放射線を測定監視するなどのミッションをこなす予定だ。
 クインスは引き続き調査目的に応じた改良が施され、今後も必要な機会に、東電作業員を放射線被ばくから守る任務に投入されるとみられる。
 写真は6月20日、芝園校舎11号館前でトラックに積み込まれ福島へ向かう「クインス」

木内さんに人間・環境学会発表賞


場所選びの「きっかけ」を考察
表彰される木内洸雲さん(左)
表彰される木内洸雲さん(左)
 屋外空間の設計をめざすデザイン科学専攻修士2年、木内洸雲さん(橋本都子教授研究室)の論文「場所の選択と『きっかけ』に関する考察―都市のパブリックスペースにおける行動観察から」が5月21日、人間・環境学会の第18回大会で発表賞を受賞した。
 研究は、ストリートファニチャー(ベンチなどの街路備品)のある都市の公共スペースで、人がある行為をする場所をどのように選ぶか、その「きっかけ」(原因・動機)と環境要素との関係、選択プロセスを知ることで、環境デザインの知見を得ることを目的とした。
 対象行為を「飲食」とし、被験者(学生2人組5グループ)に弁当と飲み物を渡し、広場で自由に食べる場所を探してもらった。各人の肩にIC録音器を付けて会話を記録。気づかれないようビデオカメラで撮影した。
 調査員5人が3日、6時間ずつ観察。浮かび上がった行動は▽どのグループも場所探しの際、日当たりや喫煙所の位置、興味を引かれる物を遠くから見て判断▽近づくにつれて景観、通行人の視線、素材を判断し、実際に使用してベンチの使い心地とその場の居心地のよさを判断▽1人のときは通行人の主動線から離れた場所や、植栽などで囲われた場所に▽4人以上のグループは主動線に近く目立つ場所に、滞留していた。
 場所選びのきっかけとなる環境要素を抜き出すと周辺状況(時間帯、人の視線、主動線からの距離、囲われた場所、喫煙所からの距離など)気象条件(日当たりなど)ストリートファニチャーの形、素材景観(全体が見渡せる、植栽がある、人を客観的に見る)――などが影響していた。
 実験では、リアルタイムで人の気持ちを理解するため発話思考法(被験者の言葉を録音し分析する方法)を取り入れたが、音声と映像のデータが膨大で、整理にひと苦労。また対象地を何度も視察し、手順を計画したという。
 本学附属総合研究所の助成を受けて行われた研究で、人間・環境学会から「将来性のある発表」と高く評価された。
 木内さんは「世の中に役立つ研究として自信を持つことが出来た。将来、ランドスケープの設計に携わりたいと考えており、研究を被災地復興の街づくりにも役立てたい。橋本教授や友人たち、被験者になってくれた後輩に感謝します」と語った。
 表彰は会場の名古屋大学東山キャンパス・環境総合館で行われた。

林さん技術研究「優秀発表者」に


生態系リスク評価の手法研究で
賞状を手に林秀明さん
賞状を手に林秀明さん
 生態系への汚染物質や、移入種のリスクを正確に測るには――生命環境科学専攻修士1年の林秀明さん(村上和仁教授研究室)が学科4年時に発表した研究が、土木学会関東支部の第38回技術研究発表会優秀発表者に選ばれ、5月19日、同支部から表彰された。テーマは「各種マイクロコズムにおけるP/R比に着目した生態系機能の比較評価」。
 水圏微生物の生態系は、生産者(微細藻類)、捕食者(繊毛虫類・ワムシ類・貧毛類の微小動物)、分解者(有機物等摂取細菌類)から構成されている。従来から、マイクロコズム(制御環境下で生物群集を培養した系)を用いて、これを構成する微生物の個体数の動態から生態系への影響評価が行われてきたが、システム全体の生態系機能に着目した影響を評価するためには不十分。そのためP/R比(光合成による生産/呼吸量の比)のような生態系機能に基づいた規格による評価が必要となる。
 林さんは成因・種構成の異なる3種のマイクロコズムを三角フラスコに用意して、構造(生物相)と機能(P/R比)面から生態系機能の比較評価を行い、生態系リスク評価試験法としての有効性を検討した。
 その結果、Naturally derived(自然由来)型マイクロコズムでは、系の転移が連続的に生じ生態系構造が安定しないことStress selected(選択的ストレス下)型マイクロコズムでは、P/R比が安定せず、生態系機能が安定的に維持されないことGnotobiotic(純粋隔離群)型マイクロコズムは、機能(P/R比)、構造(生物相)のいずれのパラメータも極めて高い再現性を示し、標準モデルとしての必要条件を備えていると考えられること――などが示された。
 これらから、生態系機能に着目した生態系リスク評価を行う際には、Gnotobiotic型マイクロコズムがツールとして有効であると結論付けた。
 研究は環境省の環境研究総合推進費課題の一環として行われた。
 林さんは「環境や外来種生物に関わる研究なので、さまざまな分野に関係していきます。発表はイメージしやすさ、見やすさを工夫し、特に研究内容を図や写真で示すことに重点を置きました。受賞を励みにステップアップしたい。ご指導いただいた村上研究室のみなさんに心から感謝します」と話している。

夏季 節電にご協力を


 東日本大震災の影響で、夏の電力不足が懸念されています。本学でも政府の要請を受け、対策を行うことにしました。

▽実施期間 6月27日(月)〜9月22日(木)

▽主な取り組み

●事務室、講義室などのエアコンは室温28℃を下回らないよう調整。ロビーや廊下のエアコンは停止。照明は自然光を利用して昼間はなるべく消灯。

●エレベーターの稼動台数を間引く。自動販売機の約50パーセントを停止。

●職員による節電パトロールを実施。

●期間中、津田沼新1号棟20階ラウンジ、芝園7号館2階の教職員食堂を閉鎖。

●実験機器の利用はピーク時(11〜16時)を避けるよう努める。

詳細は本学ホームページを参照してください。教職員・学生の理解と協力をお願いします。

節電に伴う学事日程の変更
クールビズ実施中