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2010.11.15

学内コラボの成果
デザイン山崎研究室とfuRo


論議・実作積み重ね
人が乗れる世界最大級ロボット「core」
デザイン山崎研究室のメンバー。後列左から若菜恵太君、黒川幸伸君、脇屋玲央君、黒坂晋君、前列左から石田貴昭さん、木村友昭さん fuRo大和上席研究員(左)に指導を受ける
デザイン山崎研究室のメンバー。
後列左から若菜恵太君、黒川幸伸君、脇屋玲央君、黒坂晋君、前列左から石田貴昭さん、木村友昭さん
fuRo大和上席研究員(左)に指導を受ける
 9月16日に津田沼キャンパスで行われた“人を乗せることができ、世界最大級の可搬重量性能を持つ”大型二足歩行ロボット「core」のお披露目。ロボットと同時に集まったマスコミ関係者70人の注目を集めたプロジェクトは、本学デザイン科学科山崎研究室と、未来ロボット技術研究センター(fuRo)とのコラボレーションの成果だった。
 デザイン科学科の山崎和彦教授がfuRoから話を受けたのは今年の2月。「core」は下半身だけで192センチ、重量230キロ、可搬重量100キロで、いずれ人を乗せて歩くことを目指したモビリティロボットのプロトタイプ。
 これを社会の人たちに「どう見せるか」(展示・プロモーション)、「このロボットをどう発展させどう使っていくのか」(用途と未来・プロダクション)――について一緒に考え、つくっていこうという要請だ。
 山崎研究室は山崎教授と7人の学生がチームをつくり、幾度も会合を重ねた。学生リーダーは修士2年の木村友昭さん。
 coreは、fuRoの「搭乗型二足歩行ロボットプロジェクト」の一環で、今回の開発品はプロトタイプ。古田貴之所長らは高齢化社会や環境問題をにらんで、このロボットを未来の乗り物の“ランドマーク”と位置づけている。また、各学部・学科の学生たちが参加する「皆で創ろう」プロジェクトのテストケースとも考えている。
 fuRoのメンバーから徹底的に話を聞き、その「夢」も語ってもらった。このロボットが、これからの社会の「核」になってほしいという願いを込めてcoreと命名された。
 「見せる」チームは、修士1年・石田貴昭さんがブランディングと会場の構成を担当。説明パネルなどにも注力した。
 学部4年・黒坂晋君はcoreのロゴ担当。全員でプロジェクトの意味や意義などについて意志統一を図った。「テクノロジーと自然の調和、共存」というテーマが見えたという。同時に、ロゴに使ったフォントをAからZまでつくり、core技術から新ロボットが誕生したら使う。ウエブサイトも制作した。
 「つくる」チームは、5体のロボットをつくりデザイン科学科の「スマイル・エクスペリエンス2010」で展示、coreの記者会見の会場でも披露した。
 学内の異なる学部・学科、研究所のコラボレーションについて、木村友昭さんは「大学内ではモノづくりのあらゆる分野を扱っているのに、学科同士の関わりがないのはもったいない、という声が多い。今回の二足歩行ロボットは、形を考えるだけではない高度なデザインが求められた。デザインにも構造や力学などの知識が必要だし、デザインはどこともコラボレーションしやすい学科。技術をどうやって社会に広げるかという部分で、デザインは関わっていける。得るものは大きかった」と話している。
 学部生たちは、デザインという仕事が違う分野の人たちと関わることを初めて経験し、コラボレーションをさらに広げていきたいと話している。
 山崎教授は「今回のプロジェクトでは、技術とデザインや、他学科とのコラボレーションを考慮して、関連する全員の相互理解と共創という視点から推進した。そのために、デザイン思考手法、ブランディング手法、発想手法や視覚化手法を活用して、みんなで考え、みんなで形を創ることができた。まさに、学科を超えた学生、教員、研究員のコラボレーションの成果だ。今後も推進していくことが千葉工大のパワーだと思います」と語っている。
黒坂晋君作成のロゴ
黒坂晋君作成のロゴ
RABITY(木村友昭)人とロボットモビリティが一緒に生活する姿を想定、「人と馬」の関係に近くした CLALA(木村友昭)未来のベビーカー。二足歩行技術はモノを人に近づける。タイヤ走行と二足歩行を切り替える
RABITY(木村友昭)
 人とロボットモビリティが一緒に生活する姿を想定、「人と馬」の関係に近くした
CLALA(木村友昭)
 未来のベビーカー。二足歩行技術はモノを人に近づける。タイヤ走行と二足歩行を切り替える
VOYAGE(脇屋玲央・デザイン科学科4年)子ども用の冒険ロボット。川を渡り木に登る。人とロボットの調和。私にとっては「懐かしさ」 FARMWORKER(若菜恵太・デザイン科学科4年)農作業を支援するロボット。トラクターの行けない畑にも。先端の交換で耕作、水撒き、草刈も MARON(黒川幸伸・デザイン科学科4年)駅の階段で高齢者を助けるロボット。人間との調和は「ちょっと手助け」だと考える
VOYAGE(脇屋玲央・デザイン科学科4年)
 子ども用の冒険ロボット。川を渡り木に登る。人とロボットの調和。私にとっては「懐かしさ」
FARMWORKER(若菜恵太・デザイン科学科4年)
 農作業を支援するロボット。トラクターの行けない畑にも。先端の交換で耕作、水撒き、草刈も
MARON(黒川幸伸・デザイン科学科4年)
駅の階段で高齢者を助けるロボット。人間との調和は「ちょっと手助け」だと考える

デザイン科学科がオープンラボ


キャンパスにギャラリー空間
fuRoとのコラボも
会場を彩る展示物
会場を彩る展示物
 本学デザイン科学科山崎研、原田研、fuRo主催によるオープンラボ「第6回SMILE EXPERIENCE2010」が、9月17、18両日、津田沼キャンパスで開催された。副題は「うれしい体験のためのデザイン展示と発表」。
 7号館の吹き抜けフロアには、この展示のため寝ずに仕上げたキューブ・ギャラリーが誕生。ミラノサローネ、KDDI研究所、地域、ものづくりなど8プロジェクトが出展した。
 フレキシブルワークスペース内には、卒業研究や修士研究のパネル発表を、また、暗室を設置して照明や風鈴などの展示も行われた。
 17日の夕刻からは第6回情報デザインフォーラム「情報デザインのみらい」を開催。各大学や企業代表によるパネルセッションやポスター発表、オープンディスカッションが行われた。
 18日にはデザイン科学科3年生前期発表と大学院研究発表を行った。
 また両日にわたり、fuRoとのコラボレーションである「コア・ロボットデザインプロジェクト」の展示と特別セッション・デモが行われた。タイトルは「未来を歩く」。学生らの未来プロトタイプの展示は、来場者を魅了した。
 リーダーの大学院デザイン科学専攻修士課程2年の青木孝太朗さんは、「回を重ねるごとに違う顔になるギャラリーは後輩への刺激になる。学内には活動を知ってもらえれば」と話していた。
オープンラボの様子
オープンラボの様子