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2009.7.15

「笹川科学研究奨励賞」を受賞


博士後期課程工学専攻1年
相澤さん、最年少で
笹川科学研究奨励賞を受賞した相沢さん(後列右端)
笹川科学研究奨励賞を受賞した相澤さん(後列右端)

 科学研究の将来を担う若手人材の育成と、その研究を奨励、科学研究の振興を図るため、財団法人日本科学協会(大島美恵子会長)と日本財団(笹川陽平会長)が設けている「平成20年度笹川科学研究奨励賞」を大学院博士後期課程工学研究科工学専攻1年(受賞時・修士課程工学研究科生命環境科学専攻2年)、相澤由花さんが受賞した。相澤さんは平成20年度、応募者1443人の中から同財団が研究助成した337人の一人に最年少で選ばれた。研究成果が認められ、科学研究奨励賞を受賞した。
 相澤さんの研究は、学術研究部門の「一般科学研究(化学系)」。受賞テーマは「気液混相流を微小反応場とした富栄養海水からの機能性リン酸カルシウム塩の創製」。
 古代海水中で偶発的に誕生した生命体は、陸上での生息の場を獲得するため、海水中からカルシウムと低濃度であるリンを自身に取り入れ、脊椎を創製した。生物が創出したその反応は、海洋中では局所的かつ選択的であり、微小反応場と形容できるほどだが、現在の科学技術を持ってしても、同様な場を人工的に創作するのは非常に困難。本研究は、その根本的素過程を解明しようと考え、実践された。
 本研究の成果は、日本セラミックス協会からも注目され、「ソフト溶液プロセス」としての新規展開技術として、同協会誌の特集論文として本年8月に掲載される。
 相澤さんは「多数の応募の中から採択されたことに自信を得ました。その研究成果が名誉ある賞になり、本当にうれしい。今後も本学博士課程の学生として努力していきたい」と喜びを語った。

「安藤博記念学術奨励賞」受賞


関准教授
「電動アシスト車椅子」研究で
関准教授
関准教授

 エレクトロニクスの振興を図るため、有能な若手研究者を顕彰する「第22回安藤博記念学術奨励賞」表彰式が6月20日、東京・渋谷で行われ、本学電気電子情報工学科、関弘和准教授が受賞した。
 同学術奨励賞は、エレクトロニクスとその関連分野において、大学の若手研究者で独創的、萌芽的研究を行っている有能な研究者に贈呈される。
 関准教授の研究テーマは「福祉用電動アシスト車椅子の多機能走行制御システムに関する研究」。高齢者や障害者の行動範囲を広げる移動支援機器として注目される電動車椅子の中で、左右輪の電気モータによりアシスト力を発生させて楽に走行できる「電動アシスト車椅子」に焦点をあて、1操作性向上制御2最適加減速走行制御3電力回生ブレーキ制御4段差踏破走行制御――など、新しいモーションコントロール技術、知的制御技術の考え方を導入した走行制御アルゴリズムを数多く提案・開発し、実機実験を行い、その先駆的、独創的な研究成果が評価された。
 関准教授は「これまでの研究が客観的に評価され、うれしい。今後も少子高齢化社会に貢献できるような新しい技術を生み出していけるよう頑張りたい」と話していた。

「惑星科学会最優秀研究者賞」受賞


和田上席研究員
天体衝突過程の研究活動で
和田上席研究員
和田上席研究員

 本学惑星探査研究センター、和田浩二上席研究員が「日本惑星科学会2008年度最優秀研究者賞」を受賞、9月29日、都内で開かれる惑星科学会秋季大会席上で表彰される。
 この賞は、最近5年間での惑星科学への寄与が顕著な若手研究者に贈られるもので、和田研究員が取り組んできた、天体衝突過程に関する一連の数値シミュレーションを駆使した研究活動が評価された。
 和田研究員は最近5年間、衝突クレーターの形成過程と、原始惑星系円盤におけるダストアグリゲイトの衝突による構造進化・成長過程に関する研究を続けてきた。
 衝突クレーターは天体上に普遍的に存在し、その形成過程を解明することは、詳細な惑星探査データから惑星の起源・進化を探るうえで重要。和田研究員は、離散要素法という数値シミュレーション法により衝突のシミュレーションを行い、衝突クレーターの形成過程や、飛び散る破片の運動を明らかにした。
 また、原始惑星系円盤では、ダストアグリゲイトと呼ばれるサブミクロン粒子の集合体が衝突合体していくことで微惑星に成長し、微惑星の集積で惑星が形成される。和田研究員は、粒子シミュレーション手法でダストアグリゲイトの衝突シミュレーションを行い、その結果、高速衝突でも、ふわふわな状態でダストが成長していくことが分かり、低密度な微惑星が形成され得ることが示唆された。
 和田研究員は「楽しく行ってきた研究で賞をいただけるのは望外の喜び。引き続き、惑星探査研究センターにおいて、惑星科学に関する理論的な研究を行う所存。受賞したという自覚のもと、惑星科学の面白さや発見の驚きなどを広く伝えていきたい」と話していた。